数日前にzero hedgeとreutersがアメリカ政府のデフォルトについての記事を載せていたが、今日の時点でBloombergでも同様の記事が出ている。
個人的には、アメリカはこのまま計画通りに緊縮財政をしていく中で財政健全化を実現するようには思えず、デフォルトするような感覚がある。
サッチャリズムの二の舞か、DOGE「緊縮財政」で米景気後退の恐れ - Bloomberg
コラム:打ち砕かれたトランプ相場期待、政策と経済の転換点を考える=熊野英生氏 | ロイター
最悪の場合、アメリカ政府は8月ではなく、5月下旬にデフォルトすると言われている。
もしそのような事態になれば、米国債は暴落し、金利は急上昇するはずだが、それによって日米金利差が急拡大するからといってドルが大幅高になるとは思えない。
「FRBが買うからデフォルトなんてしない」とよく言われているが、債務上限の引き上げがされなければデフォルトすることになる。
アメリカの債務上限問題は恒例の茶番劇イベントのように捉える向きがあるが、恐らく今回はそうではない。
もし本当にアメリカ政府がデフォルトすれば、日本は巨額の不良債権を抱えることになり、さらに超円高にもなることで大不況になると言われている。
「年中行事のただの茶番劇」なぜアメリカでデフォルト騒ぎが頻繁に起こるのか | (2/3) | PRESIDENT WOMAN Online(プレジデント ウーマン オンライン) |
レイ・ダリオ氏によればアメリカ政府の「心臓発作」は3年後であると予想しているが、もしかすると2か月後にはそうなっているのかもしれない。
ダリオ氏、米国が債務危機による「心臓発作」に見舞われるリスク警告 - Bloomberg
【参考】2025年3月27日の記事
[ワシントン 26日 ロイター] - 米議会が連邦債務上限引き上げに動かないと早ければ8月、場合によっては5月下旬にも一部借り入れの返済ができなくなり、政府がデフォルト(債務不履行)に陥る恐れがある――。議会予算局(CBO)は26日、こう警告した。
CBOによると、財政資金が枯渇する「Xデー」到来時期として可能性が大きいのは8月か9月だが、想定以上に借り入れニーズが多くなれば、5月下旬ないし6月にも国庫が空になってもおかしくない。
ただCBOは、歳入と歳出の規模やタイミング次第で状況が変わってくるため、Xデーの正確な予測は困難だと指摘。例えば4月15日の確定申告期限前後に政府が詳しい計算をするまでは、短期的な国庫への流入資金の規模も分からないと説明した。
上下両院ともに多数派を占める与党共和党は、債務上限引き上げを盛り込んだ法案の審議をいつ進めるのかまだ明らかにしていない。
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/ZVYAK5VBGFORHB3UTLN7ULFJ3E-2025-03-26/
※以下の記事では、「議員らが債務上限の引き上げや停止に失敗すれば、早ければ8月にも連邦政府はすべての請求書を期日までに支払うのに十分な資金がなくなる可能性がある」という議会予算局の警告が書かれているが、アメリカの債務上限問題は「引き上げ」以外にも「適用停止」や「暫定延長」という手法で資金繰りが行われることもあるらしい。
https://www.smd-am.co.jp/market/ichikawa/2017/09/irepo170906.pdf
【参考】2025年3月27日の記事
今週初め、私たちは財務省の現金残高が過去18か月間平均約8000億ドルで推移し、先月は4800億ドルも減少したことを指摘しました。
Treasury cash down $480 billion in the past month. pic.twitter.com/uV4GDNGheO
— zerohedge (@zerohedge) March 25, 2025
定期的に読んでいる読者なら、この急落の理由を知っているだろう。バイデン政権の最後の数日間に米国が債務上限に達して以来、米国財務省は新たな債務を発行できず、日々の業務に資金を供給するために現金を取り崩さざるを得なかったのだ。
明らかに、この状態がどれだけ長く続くかには限界がある。結局のところ、現金残高がゼロになれば、財務省は支払いを優先せざるを得なくなり、最終的には利息の支払いや元本の返済を遅らせざるを得なくなるかもしれない。これはデフォルトとしてよく知られている。
そこで、今朝発表された議会予算局の最新報告書では、議員らが債務上限の引き上げや停止に失敗すれば、早ければ8月にも連邦政府はすべての請求書を期日までに支払うのに十分な資金がなくなる可能性があると警告している。
議会予算局は、債務上限が変更されない場合、政府の非常手段による借り入れ能力はおそらく2025年8月か9月に枯渇すると見積もっている。その間の歳入徴収と支出の時期と額が議会予算局の予測と異なる可能性があるため、予想される枯渇日は不確実である。(出典)
超党派政策センターは月曜日、公開データによれば、財務省は7月中旬から10月初旬の間に債務不履行に陥らざるを得なくなるだろうと述べた。
CBOはまた、政府の借入ニーズが「CBOの計画を大幅に上回る場合、6月中旬に納税期限を迎える税金が支払われる前、または6月30日に追加の特別措置が利用可能になる前に、5月下旬または6月中に財務省の資金が枯渇する可能性がある」と警告した。
税収は予測不可能なため日付は不確定だが、下院歳入委員会の委員長であるミズーリ州選出のジェイソン・スミス下院議員は今月初め、早ければ5月中旬になる可能性があると述べた。
ヴェーダ・パートナーズの経済政策担当ディレクター、ヘンリエッタ・トレイズ氏は、月曜日の顧客向けメモの中で、「Xデー」の早期設定は下院共和党議員や、トランプ大統領の税制改革案ができるだけ早く単一の法案として発効することを支持する人々にとって有益だと記した。
財務省は、今年初めに導入された36兆1000億ドルの債務上限の突破を回避するため、1月21日から特別会計措置を講じている。しかし、同省はこうした措置がいつ終了するかについて、まだ具体的な指針を示していない。
「債務上限引き上げが必要になる前に共和党が税制改革法案を可決できない場合、別途対処する必要があり、民主党の支持が必要になる」とスタイフェルの政策アナリスト、ブライアン・ガードナー氏は月曜日の顧客向けメモで述べた。
トランプ大統領と共和党は、さまざまな分析によると、主に富裕層に恩恵が及んだ2017年の個人減税の4兆ドル超の延長案を可決しようとしている。大統領はまた、チップ、残業代、社会保障給付への課税を廃止するなど、政治的に受け入れやすい改革も盛り込みたいと考えているが、連邦予算責任委員会によると、そのコストは10年間で11兆ドル以上に膨れ上がる可能性がある。
共和党は、これらの削減を施行するために、予算調整と呼ばれる手続きに頼っている。上院の内部規則によれば、この手続きにより、上院はわずか50票で法案を通過させることができる。共和党は、この法案を利用して同時に債務上限を引き上げることもできるが、多くの共和党議員は、超党派の支持という政治的裏付けなしに、何兆ドルもの新たな債務に連帯保証人となることを避けたいと考えている。
下院共和党は、メディケイド削減によって部分的に賄われる減税法案を迅速に可決し、トランプ大統領に勝利をもたらし、2026年11月の中間選挙前に政治的な反発が沈静化することを期待したい。
「上院共和党は、和解による債務上限引き上げに特に関心がない」とトレイズ氏は書き、上院の共和党は「税制改革法案の作成に一年中かかっても全く問題ないと考えている」と付け加えた。
トレイズ氏は、上院共和党議員団には、税金削減と同じくらい支出削減に関心を持つイデオロギー主導の議員がそれほど多くはいないと指摘した。上院共和党議員団は今週会合を開き、メディケイドやその他のプログラムへの削減をはるかに少なくした税制改革案を推進できるかどうかを検討している。
「債務上限引き上げが必要になる前に共和党が税制改革法案を可決できない場合、別途対処する必要があり、民主党の支持が必要になるだろう」とスティフェルのガードナー氏は警告した。
このシナリオでは、上院民主党が今月初めに政府資金法案を可決した決定を受けて民主党支持者からの反発に直面し、民主党上院少数党院内総務のチャック・シューマー氏は譲歩を成立させるよう強い圧力を受けることになるだろうとガードナー氏は述べた。
そうなると、双方にとって激しい瀬戸際政策が政治的に必要だと見なされるシナリオが生まれ、財務省が国債保有者への利払いを優先し、他の連邦債務の支払いを控えることができるかどうかという議論が再燃する可能性がある。「そのようなシナリオが実現すれば、市場のボラティリティは高まるだろう」とガードナー氏は言う。
この問題についてはすでに戦線が張りめぐらされており、下院民主党議員団のピート・アギラール委員長は火曜日、債務上限に関しては「何も無料で与えられるべきではない」と記者団に語った。
https://www.zerohedge.com/economics/cbo-warns-us-treasury-could-default-soon-august
【参考】2017年9月6日の記事
債務上限とは、米連邦政府が国債発行などで借金できる債務残高の枠のことです。債務が法定上限に達すると、政府は議会の承認を得て、上限を引き上げる必要がありますが、引き上げられないと、国債の新規発行ができなくなり、債務不履行(デフォルト)に陥ります。米国では金融危機後に債務が膨れ上がり、財政健全化を求める議会の声も多いことから、ここ数年、債務上限の引き上げは政治問題となっています。
過去、債務上限が市場の材料となったのは、2011年、2013年、2015年でした。2011年は8月2日に債務上限引き上げに関する法案が、ぎりぎりのところで成立しました。しかし、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は8月5日に米国債の格下げを発表し、市場に動揺が広がりました(図表1)。また2013年は、10月16日に暫定予算および債務上限に関する法案が成立し、瀬戸際でデフォルトが回避されました。
なお2013年は、暫定予算の成立が遅れたため、政府機関の一部が10月1日から閉鎖するという事態が発生しました。また債務上限については、「引き上げ」ではなく、2014年2月7日まで「適用停止」となりました。2014年2月以降は、債務上限の「暫定延長」などで資金繰りが行われました。また2015年も、10月30日に債務上限の適用を2017年3月15日まで停止する法案が可決、11月2日に制定され、デフォルトは回避されました。
https://www.smd-am.co.jp/market/ichikawa/2017/09/irepo170906.pdf
※以下のBloombergの記事では、DOGEによる支出削減やトランプ関税が「予測を下回る税収の一因」となり、デフォルトするかもしれないようなことが書かれている。しかし、DOGEや関税による財政赤字の削減を進めて予算を小さくし、「借り入れニーズ」を減らしていかなければデフォルトすると一部で言われている。
米自動車関税、10年で税収最大97兆円 エール大が試算 - 日本経済新聞
【参考】2025年4月1日の記事
米政府税収が減少傾向、支払い不能「Xデー」は予想より早まる恐れも
Jarrell Dillard、Alexandre Tanzi、Alex Harris
2025年4月1日 0:30 JST
→Xデーは8月または9月の予想、税収低迷なら5月か6月の可能性
→DOGEよるIRS職員削減、予測を下回る税収の一因にも-専門家
税収予測が減少する一方、納税者への還付金は増加している。これは米政府の歳入を減少させる要因で、これが続けば、連邦議会が債務上限を引き上げる期限が早まる可能性がある。あるいは、連邦政府の支払いが不能に陥るリスクもある。
この傾向が続くと、債券市場ウオッチャーや経済全体にとって、潜在的に憂慮すべき兆候となるだろう。 ほとんどの予測では、米国は夏の終わりから秋の初めにかけて、すべての義務を期限内に履行するための資金が底をつくとみられているが、一部の予測では、税収の低迷により、早ければ5月か6月には債務不履行に陥る可能性があると警告している。
財務省の最新データによると、27日に同省の現金残高は2810億ドル(約42兆円)に減少。それ以外では、金融債務を履行し続けるための特別措置として残された調整余地があるが、26日時点で2070億ドルほどしかない。
イーロン・マスク氏率いる「政府効率化省(DOGE)」による内国歳入庁(IRS)職員の削減や、消費者と企業の景況感を悪化させている関税政策など、政治的な混乱が予測を下回る税収の一因になっている可能性があると専門家は指摘している。
米議会予算局(CBO)は26日、「債務上限が変更されない場合、特別措置を活用した政府の借り入れ能力は2025年8月または9月に尽きる可能性が高い」と声明で指摘。「政府の借り入れニーズがCBOの予測を大幅に上回る場合、財務省の資金は5月下旬か6月中にも底をつく可能性がある」とした。
関連記事:米財務省、早ければ8月にも支払い不能に陥るリスク-議会予算局 (1)
確定申告の統計によると、IRSが受け取った申告書の数は、2024年の同時期と比較して1.1%減少。追加で納税する義務のある申告者は、できるだけ遅くまで納税を先延ばしにする傾向があるため、4月15日の締め切り直前の数週間に税金の支払いが急増する傾向がある。一方、還付金の総額は昨年よりも4.6%多くなっている。
共和党の駆け引き
財務省の資金が枯渇するいわゆる「Xデー」が予想よりも早く訪れた場合、議会には債務上限に関する計画がまだない。
スーン共和党上院院内総務は現在、トランプ大統領の減税案とともに、少なくとも4兆ドルの債務上限引き上げを含む共和党主導の予算決議案の推進に取り組んでいる。しかし、議会共和党は時間がかかり政治的に複雑な交渉の初期段階にあり、2カ月でまとまる可能性は低い。
5月に支払い不履行になるリスクが高まるようであれば、共和党は減税法案を一時的に保留し、債務上限の問題だけに集中するよう圧力がかかるだろう。減税とセットにならないのであれば、債務上限の引き上げを支持する共和党議員が十分に集まる可能性は低く、民主党に頼らざるを得なくなる。そうなれば、債券市場を不安にさせるような、政治的に危険な「チキンゲーム」が再び始まることになる。
ベッセント財務長官は、税収の大半が入り始める5月初旬に債務上限に関する最新情報を提供すると述べている。
最大の未知数は、DOGEによるIRSの人員削減が、税金の徴収能力と納税者の納税意欲に悪影響を及ぼすかどうかだ。エール大学予算研究所の最近のリポートによると、IRSの人員削減は「違反の劇的な増加」を招く可能性がある。
同研究所の政策分析ディレクター、リチャード・プリシンザーノ氏は「税金の申告に関して態度が変わるかもしれない。税金を回避しようとして、控除をより積極的に利用するようになるだろう」と指摘。「納税額の増加が見られなければ、納税者の態度が変化した可能性が高い。納税者は『IRSが監査を行う立場が弱くなるだろう』と見越している」と続けた。
原題:Slow US Tax Collections Spark Angst About Debt Ceiling X-Date(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-03-31/STZN55T1UM0W00
【参考】2021年12月31日の記事
ではここで、もし米国債のデフォルトが本当に起こったらどうなるか考えてみましょう。まずアメリカ国内では、国家公務員への給与が支払えなくなり、政府機関の一部は閉鎖、職員は自宅待機となるでしょう。さらに、社会保障も一部機能しなくなります。
でも本当に怖いのは、世界経済への影響です。おそらく米国債がデフォルトすれば、1929年の世界恐慌や2008年のリーマン・ショックに匹敵するほどの、グローバルな金融危機に発展してしまうでしょう。まず米国債は投げ売られ、利回りは急激に上がります。「米国債の利回りが急上昇する」なんて景気のいい話に聞こえますが、逆です。結論だけ言うと、国債利回りの上昇とは「国債価格の暴落」を意味します。そうなると当然、米国債の格付けも下がり、ますます売りが加速するでしょう。
ちなみに米国債の大量保有国は、1位が中国、2位が日本ですが、おそらく中国は、米国債がデフォルトしたら、一気に売りに出る気がします。なぜなら中国は、ゆくゆくは人民元をドルに代わる国際通貨に押し上げたがっていますから、短期的な損得を度外視してでも、米ドルの地位が揺らぐことをしてくる可能性があるからです。しかし日本は、アメリカとの関係性でがんじがらめになり、結局売れない。すると、どうなるか? 日本は、とてつもない額の「不良債権」を抱えることになります。
こうなると、誰もアメリカを買い支えなくなるため、国債安だけにとどまらず、ドル安・株安まで合わさった、いわゆる「トリプル安」が進行します。そしてドルが下がれば、次に来るのは「超円高」。これは日本の輸出産業に大きなダメージとなります。このように、多額の不良債権に超円高が重なれば、これはもうバブル崩壊直後の1990年代半ばと同じ。つまり日本は、あの深刻な不況期に逆戻りする可能性が高いのです。
以下の動画では、「もし増税も支出削減も実行されなければ、最終的に政府は『債務再編』、つまり『準デフォルト』という最悪のシナリオに追い込まれる」というレイ・ダリオ氏の警告を紹介しているが、現時点ではトランプ政権はその2つを実行し、デフォルトを回避しようと努力している。
しかし、一部でこれに猛烈に反発する動きがあり、デフォルトリスクは高まってきている。
米財務省がいくらデフォルトはさせないと主張したところで、現状のトランプ政権叩き、イーロン・マスク叩きを見れば、税制改革法案の可決や債務上限引き上げが滞りなく進むようには思えず、一般市民も一部メディアに翻弄されてトランプ政権への不満を募らせ、妨害工作はエスカレートしていき、結果としてデフォルト回避のための努力は水泡に帰す可能性がある。
共和党内でも全ての議員がトランプ大統領の方針を支持しているわけではないようであり、共和党と民主党の対立によって最悪の事態に陥るという単純な問題でもないらしい。
トランプ政権による財政健全化が失敗した場合、アメリカは自国をデフォルトに追い込み、債権者に多大な損害を被らせることになり、それによってアメリカ政府の信用は失墜することになる。
増税と支出削減は財政再建やデフォルト回避のために必要なことなのだし、トランプ政権もそんなことをやりたくてやっているわけではないはずだが、どうやらアメリカ政府のデフォルトは不可避であるように思える。
直近の金融市場を見る限りでは、これから始まるリセッションへの対処として株を売って債券を買う動きが出ており、まだ米国債の大暴落などが起きる気配はないが、恐らくアメリカはリセッションを伴う財政健全化ではなく、デフォルトの方を選択する。(厳密に言えば、それは「選択」ではなく、「事故」なのだろう。)
【参考】 2025年3月22日の動画
6.財政再建の選択肢:「増税」か「支出削減」か
財政破綻のスパイラルから抜け出すために、政府は何をすべきなのか? レイ・ダリオ氏は、その答えを明確にしています。「財政赤字を抑えるには、増税と支出削減の両方が不可欠だ」 この提言は、数字だけを見れば明白です。国家債務は2035年までに60兆ドルへと膨らみ、年間2.1兆ドルという前代未聞の赤字が続く。これを食い止めるには、政府の収入を増やし、同時に支出を抑える以外に道はありません。しかし、「この当たり前の解決策」は、現実にはほぼ不可能に近いのです。なぜなら、増税をすれば企業や富裕層の資本逃避を招き、景気はさらに悪化する。一方で、支出削減を強行すれば、社会保障や公共サービスが削られ、政治的な反発が爆発する。アメリカ国内の分断はさらに深まり、政府は機能不全に陥る可能性が高いのです。ダリオ氏は、もし増税も支出削減も実行されなければ、最終的に政府は「債務再編」、つまり「準デフォルト」という最悪のシナリオに追い込まれると警告しています。政府は「デフォルト」とは言わず、「財政健全化のための最調整」などと美辞麗句を並べるでしょう。しかし、それが意味するものは1つ「米国債の価値が毀損し、投資家たちは回収不能のリスクを抱えることになる」ということです。では、この最悪の事態に直面した時、人々はどう動くのか?そして、資産を守るための最後の選択肢とは何なのか?次のセクションでは、危機の先に待つ「金の役割」について迫ります。
https://www.youtube.com/watch?v=LPIWeP124RE
【参考】2025年3月3日 の記事
ヘッジファンド会社、ブリッジウォーター・アソシエーツの創業者で億万長者のレイ・ダリオ氏がトランプ政権に警告を発した。今すぐ赤字削減に取り組まなければ、3年程度の内に深刻な債務危機に見舞われるリスクがあると論じた。
ダリオ氏はブルームバーグのポッドキャスト「オッド・ロッツ」のインタビューで、赤字削減を「しなければトラブルに見舞われるだろう。いつ起こるかを正確に言うことはできない。心臓発作のようなものだ」と語った。
「それは近づいている。私の予想では3年後だ。プラスマイナス1年程度の誤差はあるだろうが、そんなところだ」と付け加えた。
トランプ氏のチームは、巨額の減税措置を維持しながら、直近で年間1兆8000億ドル(約271兆円)に達した赤字を削減するという2つの目標に取り組んでいる。
また、ダリオ氏は最新著書「How Countries Go Broke(仮訳:国家はどうやって破産するか)」のプロモーション中で、同書では債務サイクルの仕組みを説明し、米国の赤字を国内総生産(GDP)の3%に削減する即時取り組みを提唱している。
「やらなければ、責任を取るのはあなた方だ。結果に対して責任を取らなければならない」とダリオ氏は政権に呼び掛けている。「経済が心臓発作のような事態に陥った場合、有権者はそれを良しとしない。従って、責任を取らなければならない」と論じた。
ポッドキャストの中で、ダリオ氏は以下について語っている。
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チキンマックナゲットの発明における自身の役割
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負債削減のための政治的コンセンサスの構築方法
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高負債時代におけるポートフォリオの分散
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マールアラーゴ合意についての考え
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ビットコインと金についてどのように考えているか
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ユーロ圏債務危機時に行った取引
ダリオ氏は、歴史と長期債務サイクルのメカニズムを理解することが、ブリッジウォーターを成功に導き、2008年の金融危機を乗り切り、その直後のユーロ圏債務危機で利益を上げるのに役立ったと主張している。
同氏は、米国が既存の債券の償還や利払いに充てるために新たな債券を発行する必要があるにもかかわらず、米国債の買い手が不足する可能性に直面していることを懸念している。
既存の債務の借り換えだけではなく、債券発行を増やさなければならなくなるととダリオ氏は指摘。「それらを個人や機関投資家、中銀、政府系ファンドに売らなければならない」と語った。
「買い手は誰か、どれだけの量を売らなければならないかを計算すると、大きな不均衡が見えてくる」という。
ダリオ氏にとって、市場に対する最終的な理解につながったのは、1971年に当時のニクソン米大統領が、金とドルの交換停止という驚きの決定を下したことだった。
それから50年以上がたった今、ダリオ氏は市場に同様の衝撃が起こる可能性を見ている。つまり、米国がある時点で米国債の大量保有者に制裁を科し、利払いを停止したり、あるいは債務再編を試みたりする可能性だ。
「政府は債務再編を行うと発表し、それをデフォルトとは言わないだろう」とダリオ氏は述べた。
仮定としてのマールアラーゴ合意に関する考えを尋ねられたダリオ氏は、米国がドル安を追求しながら、同時にグローバルな金融システムにおけるドルの「特別な地位」を維持するという仮説的な計画について、米国が自国通貨を弱体化させることに成功するという考えに異議を唱えた。
関連記事:「マールアラーゴ合意」とは何か、ドルへの影響は-QuickTake
「他の全ての通貨との関係においてドル安になるとは思わない。他の全ての通貨がドルと共に下落すると思う」と述べた。
「1970年代や30年代の状況に非常に似ている。つまり、金やその他の実物資産との比較において、全ての通貨が下落するだろう」と説明した。
自国通貨安に向けた各国・地域の「醜い」競争のリスクについてダリオ氏は、投資家は「供給が安定している代替通貨は何か」と問い掛ける必要があると述べた。ビットコインは、その一部であるかもしれないし、大きな部分を占める可能性もあるという。
ビットコインを安全資産として好む理由として、不動産とは異なり、固定されておらず、簡単に差し押さえや課税の対象となることはないとダリオ氏は説明した。
金に関する質問に対しては、必要なのはポートフォリオを適切に分散させることだと指摘。
「慎重な」金投資の量は、理論上のポートフォリオの10-15%程度が妥当だろうと付け加えた。「この程度の少量の金があれば、ポートフォリオを保護し、分散させることができる」と述べた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-03-03/SSJJ04T0AFB400
以下の動画では株式市場は大暴落し、ゴールドは2万ドルまで爆騰すると言っているが、個人的にも今の株式市場は暴落のフェーズに入っており、ゴールドはさらに上昇が続くと思っている。
【参考】2025年3月30日の動画
オープニング
世界経済の崩壊は、もはやフィクションではありません。65年にわたり市場の裏側を見つめ続けてきた男、エゴン・フォン・グレイエルツ氏は、いま明確にこう断言します。「金は2万ドルへと爆騰し、ダウ平均は1万ドルまで崩壊する」と。株式バブル、信用の膨張、そして法廷通貨という名の幻想── 私たちは、歴史上最大の”資産破壊”の引き金が、今にも引かれようとしている瞬間に立ち合っているのかもしれません。金融システム”終焉のカウントダウン”が、すでに始まっているのです。
2.株式市場、最後の宴
2008年、世界はリーマン・ショックによって金融システムの崩壊を目の当たりにしました。エゴン・フォン・グレイエルツ氏は、この年こそが長期弱気相場の始まりになると確信していました。しかし現実は違いました。中央銀行によるマネープリンティングと、歯止めの効かない信用創造が市場を”奇跡的に延命”させたのです。そして、ただ延命しただけではありません。そこから17年間、株式市場は狂乱のバブルへと突き進みました。株式対GDPの比率、いわゆる「バフェット指数」は200%を突破。2000年のITバブルでさえ145%だったこの指標が、今や未曽有の高水準に達しています。さらに、市場の勢いを示すモメンタム指標──RSIは、2018年以降、株価が高値を更新してもなお低いトップを形成。これは、長期的な強気トレンドの終焉を意味します。そして、決定的なデータがもう1つあります。ダウ・ゴールド・レシオ──ダウ平均を金価格で割ったこの比率は、2000年に「45」だったものが、今や「14」まで低下。12ヶ月のトレンドラインを終わり、これから暴落のフェーズに入るとグレイエルツ氏は警告します。つまりこれは、金と株の立場が完全に逆転する”序章”に過ぎないのです。
https://www.youtube.com/watch?v=OBZgCptLtXY