以下の動画では2025年に約10兆ドルの米国債が借り換え(ロールオーバー)されると言っているが、少し調べてみたところ、実際には去年の時点で「誰かが10兆ドル以上の米国債を購入する必要がある」という記事があった。
どうやらその巨額の借り換えは、外国人投資家が米国債の保有を減らしている時期にあるらしく、近年、その傾向が強まってきている。
しかも、アメリカ政府は毎年、高い利払いをしなければならず、その利払い負担だけでも毎年1兆ドルにも及ぶ。
米国の年間利払い額、推定1兆ドル突破-国債への売り圧力強まる恐れ - Bloomberg (2023年11月8日)
今年はそのようなアメリカのソブリンリスクもある中で、アメリカ経済はスタグフレーションに陥っているのではないかといった懸念もされている。
金20倍、銀30倍の暴騰は起こるのか?1970年代より「現在の方が金銀上昇材料が多い3つの理由」を解説します。 - YouTube
【参考】2025年2月10日の動画
金価格の背後で静かに時を刻む”目に見えない爆弾”があります。それが、2025年にロールオーバーされる約10兆ドルの米国債です。これは人類史上、他のどの国も経験したことのない”超巨大な負債の津波”です。この爆弾を抱えているのは、トランプ政権の新たな財務長官スコット・ベッセント氏。彼の手元に残されたのは、前任のジャネット・イエレン氏が置き去りにした”時限装置”です。この装置は、もう誰にも止められません。アメリカは今、典型的な”債務の罠”に陥っています。利払いは膨張し、借金を返すためにさらに借金を重ねるという「自転車操業」の末期症状です。もはやFRBも米財務省も、この暴走する赤字をコントロールする術を失いました。投資家たちはその現実を見抜き、米国債の入札で”さらに高い金利”を要求しています。つまり、アメリカは借金を続けるたびに、より深い沼へと沈んでいくのです。抜け道は存在しません。これは45年間にわたる金融緩和と膨張した負債の”ツケ”が一気に回収される瞬間なのです。
https://youtu.be/vL6g7A45JzM?si=iii_JoP5vax2u8Qm&t=113
【参考】2024年2月6日の記事
結局のところ、2024年には誰かが10兆ドル以上の米国債を購入する必要がある 。これは米国政府の未払い債務の3分の1以上、そして米国のGDPの3分の1以上だ。
この傾向は、近い将来、毎年繰り返されるでしょう。2030年まで毎年11兆ドル近くになります。これは、2015年以降、外国人投資家が米国債の保有を減らしている時期に起きています。
金利は常に低いので、借金の蓄積を心配する必要はないという理論はこれで終わりだ。米国の債務の需要はいくらでも無限であるという理論は、これから大規模に試されることになる。いずれにせよ、それは連邦政府が債務を高利率で返済していることを意味する。
注目すべきことは他にもある。明日、議会予算局(CBO)が予算の新たな基本予測を発表する。ダグラス・ホルツ・イーキンが今日のデイリー・ディッシュで述べているように:
2017 年の減税・雇用法のほぼすべての条項は 2025 年末に失効し、今後 10 年間で約 3 兆ドルの増税となります。予算の観点からは、これにより赤字が大幅に削減され、全体的な債務状況がより良好になります。経済の観点からは、この急激な増税は成長に対する強い逆風となります。しかし、これが起こる可能性はないため、予算と経済の見通しはどちらも誤解を招くものとなります。CBO の予測はそれに応じて解釈してください。
税制措置のすべてが失効することはあり得ないという彼の意見は正しい。財政軌道に関心を持つ我々が議会を説得して減税延長の一部を相殺しなければならないと納得させない限り(幸運を祈る)、上述の債務繰り越しに加えてさらに借金が増えることになるだろう。 これらすべての理由とその他の理由から、私は今のところ金利引き下げを期待しないし、インフレに対する勝利を早急に宣言することもしないつもりだ。
https://www.nationalreview.com/corner/10-trillion-in-u-s-government-bonds-for-sale-in-2024/
【参考】2024年2月3日の記事
過去最高の8.9兆ドルの政府債務が今後1年間で満期を迎える。下の最初のグラフを参照。CBOによると、2024年の政府予算赤字は1.4兆ドルとなり、FRBは毎月600億ドルずつバランスシートを削減している。
結局のところ、2024年には誰かが10兆ドル以上の米国債を購入する必要がある。これは米国政府の未払い債務の3分の1以上、そして米国のGDPの3分の1以上だ。
これは、米国債の最大保有者、つまり外国人が保有シェアを縮小し続ける場合には特に困難となる可能性がある(2番目のグラフを参照)。
より根本的には、家計、年金、保険などの金利に敏感なバランスシートが2023年に米国債の最大の購入者となっており、FRBが金利引き下げを開始した後もこれらの購入者が引き続き購入するかどうかが問題となっている。
https://www.apolloacademy.com/10-trillion-in-us-treasuries-coming-to-the-market-in-2024/
中国はこのところ、米国債を大量売却している。
中国、1~3月に記録的な米国債売り-ドル資産離れ浮き彫り - Bloomberg (2024年5月16日の記事)
日本と中国が米国債を大量売却、トランプ氏勝利前の7-9月 - Bloomberg (2024年11月19日の記事)
中国、ドルの代わりに金の買いだめに…米国債保有高、15年ぶりに最低 | Joongang Ilbo | 中央日報 (2025年2月21日の記事)
中国黄金協会のデータでは去年の中国での金消費量は9.58%減少したとのことだが、以下のリンク先の動画によれば爆発的な需要増となっており、銀行やJD.com(世界最大の金小売電子商取引プラットフォーム)では金地金の在庫不足に陥っているとのこと。(中国では多くの投資家が銀行でゴールドを購入しているらしい)
最近、中国では、中央銀行、保険会社、消費者などの間でゴールドの需要が高まっており、ゴールドバーや金貨だけでなく、ジュエリーショップでも行列ができるほどの人気ぶりで、転売屋が「金を購入する為の順番待ち」を800人民元(約18,200円)で売っているらしい。
中国の金消費量、24年は-9.58% 価格高騰が需要圧迫 | ロイター (2025年1月24日の記事)
【参考】2025年2月14日の動画
中国は長年にわたり、世界最大の金生産国ですが、保険会社が1%投資開始するだけで、中国の生産量の80%の需要が生まれるということです。しかしたった1%で自国の生産量の80%の需要が生まれるなら、これが2、3%と上昇した場合、どこから金を入手するのでしょうか?1つLBMA(ロンドン貴金属市場協会)から購入する可能性です。中国は米国債を大量に売却しているかわりに、金を大量に購入していますが、これはLBMAから購入しているとされています。去年に中国の金購入が停止したのですが、中国は再度購入を再開しており、現在の金準備高は過去最高です。しかし私が気になるのが、ここ最近動画で解説していますが、LBMAへの金が枯渇しつつあるのではないか?という疑惑です。トランプ大統領の関税発動により、ロンドンから米国のCOMEXに大量の金銀現物が移送されており、現在、大量に米国に流入している状況は続いています。私の個人的な予測ですが、トランプ大統領が関税を発動した理由の1つは、金や銀の現物をロンドンから米国に移送させるためなのではないか?と予測しています。まあ、断定はできませんが。根拠については過去の動画で何度も解説しているので、サクっと解説しますが、トランプ大統領は金本位制、もしくはそれに近い金融システム構築を計画しているのではないか?このように予測しています。レイ・ダリオやドラッケンミラー氏など、数々のヘッジファンド投資家らも指摘するように、米国は36兆ドルの債務、そして1兆ドルの利払い費に達しており、GDPよりも債務額の増加ペースが上回ってます。そして、このタイミングで世界中の中央銀行は米国債ではなく、金を大量に購入しています。簡単に言ってしまえば、米国の債務増加に懸念を感じ、米国債の信頼性が落ちているので、金を購入しているということです。債務が増加しても、それと共にGDPも成長すれば問題にはなりにくいですが、遂にパンデミックショックによる債務急拡大で臨界点に達しつつあります。つい先日もパウエル議長は「国債の流動性に懸念している」と発言し話題になりました。イーロン・マスク氏の政府効率化省は少なくとも1兆ドル程度、支出を削減できるとしていますが、それが実現できたとしても、債務利払い費程度にしかならず、36兆ドルもの債務が減るわけではありません。では、米国は失った信頼をどうやって取り戻すのか?ですが、以前何度か紹介したジュディ・シェルトン氏が提唱する金と兌換可能な米国債です。少し前は陰謀論的な論説でしたが、ファイナンシャル・タイムズやCNBCでも報道し出して、少し驚きましたね。
【中国でも金枯渇?】中国4.2兆円規模の金投資!バンク・オブ・アメリカ「金需要は300トンに及ぶ可能性」 - YouTube
中国の保険会社、最大4.2兆円の金投資可能に-試験プログラム始動 - Bloomberg (2025年2月10日)
普通に考えれば、36兆ドルもの債務を抱え、年間1兆ドルも利払いが発生している国の国債が安全資産であるようには思えず、実際、債務の増加ペースがGDP成長率を上回るようになってから、各国の中央銀行の純ゴールド購入量が急激に増えている。
アメリカ政府はその高い利払いをするためにまた債務を抱えるという「債務のデス・スパイラル」に陥っており、外国人投資家離れが続いている。
今後、アメリカでインフレが再燃すれば、またFRBが利上げせざるを得なくなり、それに伴って債券価格の大幅な下落がまたあるのかもしれない。
そうなれば、アメリカ政府はさらに高い利払いをしなければならなくなり、米国債を保有する投資家も含み損を抱えることになる。(直近の動きは、投資家が米景気減速に備えるために米国債を積極的に買っている)
また、ペーパーゴールドは「再評価」によって無効化されるとも一部で言われており、ETFや先物でゴールドを保有することは利口ではないようだ。(真偽不明)
フランクリン・ルーズベルト大統領は米国市民からゴールドを没収して紙幣を配り、「金の再評価」をしたことがあったが、一般市民がゴールドの地金を保有していても、政府の権限でどうとでもできてしまうのであれば、資産の保全にはならないことになる。(今の社会でそのような禁じ手を使うことはないはずだが、悪い前例があるため、絶対にないとも言い切れない)
しかし、ネックレスなどのようなアクセサリーという形であれば、最悪の事態に陥っても何とかなるのかもしれない。
※以下の動画で言われていることは、あまりにも大胆な話であるため、本当に「金の再評価」をするのかどうかは分からない。個人的には、FRBが利下げしてくれない場合の奥の手として、トランプ政権が一つの案として考えていることなのではないかと思っている。
【参考】2025年2月12日の動画
4.ペーパーゴールド崩壊 – 実物金だけが生き残る!
あなたの”金”は本物ですか?それとも、ただの数字に過ぎないのでしょうか?今、多くの人々が手にしているのは、実物の金ではなく、ペーパーゴールドと呼ばれる紙切れです。ETF、証明書、先物契約・・・これらはすべて、”金に基づいた資産”だとされています。しかし、それは本当に金なのでしょうか?ただの数字が並んだ紙切れが、本当に”富"と呼べるのでしょうか?近い未来、金が再評価される瞬間、ペーパーゴールドは”無効化”される可能性が高いのです。紙の上の約束事に過ぎないこれらは、再評価が行われる前に凍結され、その時点の価格で強制決済されるでしょう。つまり、本物の金が再評価されて価値が何倍にも跳ね上がっても、ペーパーゴールドの保有者は1セントの恩恵も受けられないということです。「紙の約束」と「実物の重み」 この違いが、歴史的な再評価の瞬間において、富の差を決定付けるのです。ペーパーゴールドは、あくまで”金を所有している気分”を与えるだけの存在です。しかし実物金は、その手に持った瞬間、揺るぎない価値として実感できる真の資産なのです。”本物”を持つ者だけが、生き残る。再評価のXデーが訪れるその瞬間、あなたが手にしているのは、ただの紙切れか、それとも永遠の価値を持つ金属か?選ぶのは、あなた自身です。
5.アメリカ新・黄金時代の始まり
アメリカは再び黄金時代へと向かうのか?トランプ大統領が目指すのは、単なる経済の再建ではありません。それは”お金”という概念そのものを再定義する壮大なプロジェクトなのです。彼の構想は、アメリカを憲法に基づく通貨制度、つまりC$(憲法上のドル)へと戻すことにあります。これは現在流通しているF$(連邦準備銀行のドル)とは異なり、金と銀という実物資産によって裏付けられた”本物の価値”を持つ通貨です。しかし、それだけでは終わりません。新たな時代では、C$、F$、そしてビットコインが並び立ち、自由市場での熾烈な競争が繰り広げられることになるのです。「お金の価値は、国家が決めるのではなく、市場が決める」 この革命的な考え方が、私たちの知る経済秩序を根底から覆そうとしています。トランプ大統領が掲げるのは、アメリカの栄光を取り戻すだけではありません。それは、「新たな黄金時代」の幕開け、そして世界経済の支配構造そのものを塗り替える挑戦なのです。あなたは、この新しい時代に備えていますか?変化の波は、もうすぐそこまで迫っています。
1オンス=1万ドル!? 金再評価のXデーが迫る! - YouTube
【参考】2021年2月16日の記事
民主党のルーズベルト大統領は、1933年に大統領令6102号で国民の金保有を禁じ、20.67ドルの金価格で強制的に没収した。そして、翌1934年に、外国の通貨当局に対し金価格を1オンス35ドルに固定した。
金価格を引き上げ、米ドルの価値を引き下げることによって経済を刺激しようとしたとされる。「金本位制」を採用していたため、インフレ政策が難しかったからだ。
大恐慌対策が名目ではあるが、「国民の私有財産の没収」は民主社会における禁じ手ともいえ、ルーズベルト大統領や民主党の黒歴史とも言える。
民主党政権は、1年ほどで約7割の利益を得たわけだが、その資金を投入したとされる数々の政策はほとんど失敗に終わり、結局、第2次世界大戦が大恐慌の問題を解決したというのが現在の通説だ。
その後、1971年のいわゆるニクソンショックまで金価格は1オンス35ドルに固定されたままであった。なお、米国民(民間)の金保有が可能になるのは、1974年末以降である。
これ以降、金価格が上昇を始め、現在では1933年当時の100倍近い水準に到達しようとしている。 ただし、3月13日の記事「最強通貨・ドル、じつは間もなく『紙くず』になるかもしれないワケ…!」の1ページ目で述べたように、実際には「『金価格が上昇』したのではなく、『通貨価値が下落』した」ということを意味することには注意すべきだ。
「ドルが紙くずになるかもしれない」時代に考えるべき、これからの金の価値(大原 浩) - 3ページ目 | マネー現代 | 講談社
※先月の時点で、前財務長官はアメリカ経済が好調だから米国債が売られ、金利が上昇していると言っているが、直近の債券利回りを見ると、米消費者信頼感指数は大幅に落ち込み、経済全般の先行きに対する懸念などで金利はやや低下している。投資家も以前とは異なり、今では米国債の大幅値上がり(金利低下)を見込んで米国債のロングポジションを高水準まで積み上げている。
米消費者信頼感、2021年8月以来の大幅低下-経済先行きを懸念 - Bloomberg (2025年2月26日)
債券は上昇、消費者信頼感指数の悪化で米長期金利が低下 - Bloomberg (2025年2月26日)
米国債、投資家が大幅値上がり見込む動き-景気減速に備え始める - Bloomberg (2025年2月26日)
【参考】2025年1月9日の記事
イエレン米財務長官は、予想を上回る経済指標が金利見通しの再考を促し、米国債の売りにつながっているとの見方を示した。
イエレン長官は8日、経済専門局CNBCとのインタビューで、「統計が予想を上回り、予想外の景気上振れを示せば、金利の今後の道筋は予想よりもやや高くなるだろう」と語った。ここ数週間の米国債下落・利回り上昇の背景に関する質問に答えた。
8日の米国債市場で10年債利回りは4.73%前後と、昨年4月以来の高水準を付けた。金利先物市場では、2025年の利下げ見通しが後退している。
イエレン米財務長官、利回り上昇の背景を説明-退任後は古巣に復帰へ - Bloomberg
※以下の記事によれば、今後、米10年債利回りは自然に低下するとのこと。つまり、日米10年債利回り差は自然に縮小していくことになり、自然に円高ドル安方向に動いていくということなのだろう。
【参考】2025年2月26日の記事
ベッセント米財務長官は25日、トランプ政権は経済における政府の役割を減らすことに注力しているとの考えを示した。
ワシントンにあるオーストラリア大使館でのイベントで、ベッセント氏は「民間セクターはリセッション(景気後退)に陥っている」とし、 「われわれの目標は経済の再民営化だ」と述べた。
トランプ大統領の経済政策は規制緩和や財政健全化、公正な貿易、エネルギー支配から構成されると、ベッセント氏は説明。トランプ氏の政策が実行されれば、米10年債利回りは時間とともに「自然に低下するはずだ」と述べた。自身とトランプ氏は米国債の「魅力を高める」ことにも注力していると続けた。
ベッセント氏は国債市場の健全性と強靱(きょうじん)性を確保することに全力を尽くしているとし、現行の米国債発行計画により、同省は「向こう数四半期」にわたり好位置にいられるとの考えを改めて示した。
また連邦政府の人員削減と公的支出の抑制を目指す「政府効率化省(DOGE)」の取り組みを巡る不安の解消に努め、DOGEは「Department of Government Elimination(政府廃止省)」の略語ではないと述べた。
米財務長官、トランプ政権の目標は経済の再民営化-国債利回り低下へ - Bloomberg
以下の記事によれば、「金の再評価」よって得られるとされる数千億ドルの資金は「ガザの占領、グリーンランドの買収、パナマ運河の買い戻しなど」に使われるのではないかと書かれている。
また、「何百万エーカーもの土地」やその他の資産売却によって、「最も差し迫った債務を返済する」ことにも言及されており、「破産を回避するために大規模なガレージセールをすべきだ」とも主張している。
また、これまでにアメリカで起きた「通貨リセット」についても言及されており、近いうちに「金の再評価」があると確信しているという話が出ている。
【参考】2025年2月22日 の記事
トランプ氏は、莫大な資金を必要とする支出計画を数多く用意しているようだ。
それには、ガザの占領、グリーンランドの買収、パナマ運河の買い戻しなどが含まれる。数千億ドル(数十兆円)規模の話だ。古い歪みを解消して、新たな歪みと異なる政府介入に置き換えるだけだ。
大きな通貨問題は、システムがリセットされたとき、金(ゴールド)はそれにどう関係するのかということだ。
私の推測では、リセットでは金が大きな役割を果たすことになるだろう。
聞き手: 米国の歴史上、過去にどのような通貨リセットが起こりましたか? また、それらは今日の状況とどのように比較されますか? 米ドルにとってそれは何を意味するのでしょうか。
ダグ・ケイシー: 歴史上最大のリセットは、1933年にルーズベルト大統領が米国民から金を 1オンス当たり 20.50ドルで没収し、その後 35ドルに再評価したときに起こった。
これは大規模な窃盗犯罪であり、議会の法律ですらなく、大統領令によって実行された。
次のリセットは 1964年で、ジョンソン大統領は米国の 10セント硬貨、25セント硬貨、50セント硬貨から銀をすべて取り除き、それを一見銀のように見える陶磁器製の貨幣に不正に置き換えた。
次の大きなリセットは 1971年、ルーズベルト大統領がアメリカ国民への金の換金を拒否したのと同様に、ニクソン大統領が外国政府への金の換金を停止したときだった。
1982年には、ペニー硬貨から銅が取り除かれるなど、より小規模な通貨詐欺が長年行われてきた。銅の代わりに銅コーティングを施した亜鉛が使用され、見た目が似通ったものになった。
(中略)
聞き手: 米国政府は依然としてバランスシート上で金の価値を 1オンスあたり約 42ドル(約 6200円)と評価しており、これは市場価格を大幅に下回っています。
この金の価値を実際の市場価値を反映して再評価することは可能でしょうか? もし可能であれば、どのような影響があるでしょうか?
ダグ・ケイシー: 何事においても、その本当の価値を認識することは常に良いことだ。
政治的に割り当てられた価値観はたいてい偽物であり、市場に歪みを生み出す。嘘を真実であるかのように装っても、決して良い結果にはならない。
私は、米国、そしておそらく他の政府も、近いうちに金を少なくとも市場価格まで再評価すると確信している。あるいは、一定量の金で通貨を償還できるほど、はるかに高い価格に再評価するかもしれない。
人々はドルをその額面価格の 10%、20%、あるいは 40%の金で「裏付ける」と話している。しかしそれは馬鹿げている。重要なのは 1対 1で償還できる可能性だ。
ドルは、1オンスの 20分の1という特定の量の金の現物に対する領収書として始まった。トランプ氏が金の価格をドルが再び換金可能なレベルまで引き上げる可能性はあるだろうか?
私はあると思う。それは 37兆ドル (5500兆円)の国家債務の解決策の一部となるだろう。
彼はすべての政府資産の再評価を計画しているのではないかと思う。
米国政府は、土地管理局と森林局の何百万エーカーもの土地の所有権を持っているが、帳簿上は基本的にゼロとされている。
これは米国の総陸地面積の約 3分の 1にあたるが、今や死んだ資本だ。その価値に見合うように再評価されるべきだろう。さらに良いのは、米国民に分配するか、少なくとも売却すべきだ。
余剰の軍事基地も加えておこう。閉鎖すべき基地は数百ある。トランプ氏が軍事費を 50%削減すれば、それらは閉鎖されるだろう。トランプ氏はそのことをほのめかしている。
米国政府には、最も差し迫った債務を返済するために売却すべき資産がたくさんある。破産を回避するために大規模なガレージセールをすべきだ。
https://indeep.jp/the-coming-monetary-reset-2025/
以下の動画でレイ・ダリオ氏はアメリカの債務について、「とてもとても深刻な状況です」と語っている。
さらに、現在、多くの人がレバレッジを掛けてロングポジションを取っていることに警告を発している。
最近では「リセット」とか「破産」といった表現を目にするようになったが、やはりアメリカ政府は年内に何かしら実行に移さなければ破産するような状況にあるということなのだろう。
「破産」については、イーロン・マスク氏も言及しており、「米国は破産しつつある」「財政赤字は解消しなければならない。選択の余地はない。それが私がここにいる理由だ」と発言している。
ベッセント財務長官も「12ヶ月以内に米国のバランスシートの資産側を現金化する」と発言しており、財源確保について具体的に時期を指定しているため、やはり今年はアメリカを中心に経済面で何らかの大きい変化があるのは間違いないようだ。
【参考】2025年2月24日の動画
(2025年2月17日 CNBCインタビュー)
現在、プライベート市場や信用市場では、いわゆる「債務のデススパイラル」について話されています。債務のデススパイラルとは、債務者が債務の利払いを行うために、さらに借金をしなければならなくなり、そのサイクルが加速する状況のことです。そして、それを周囲が見て、誰もその債務を保有したくなくなる状態です。そして今、私たちはその局面に近づいています。
(インタビューワー)その局面に到達するまで、あとどれくらいでしょうか?
たとえるなら、私は医師で、あなたに病状を説明しているようなものです。今の状況を説明するとしたら「これは今、とてもとても深刻な状況です」と言うでしょう。これらは本当にすべて重大な問題です。必要なのは、GDP比約7.5%の財政赤字を3%程度に削減することです。そしてそれは可能です。適切な方法で削減すれば、財政はより健全になります。知っての通り、私は分散投資の重要性を強く信じています。そして、多くの人は(現在の状況に対応できるほど)ポートフォリオに、十分な量のゴールドを持っていないと考えています。もし市場全体の動きを考慮しなかったとしても、ゴールドは非常に効果的な分散投資手段です。特に景気が悪化したとき、ゴールドはポートフォリオを安定させる役割を果たします。ですので、ポートフォリオの10%程度、あるいはもう少し多く、10%から15%程度をゴールドに配分することを検討する価値があると思います。つまり債務はお金であり、お金は債務です。そして、私たちは(米国債)その供給と需要に関する問題を抱えています。ですから、典型的なポートフォリオにとって良い分散投資先はそれ(ゴールド)です。(今後、市場が下落する理由について) 市場には多くの人がいて、多くの人がレバレッジを掛けてロングポジションを取っています。みんなすべて上がることを望んで、興奮してレバレッジをかけて投資しています。しかし、それがリスクの高い状況を生み出す可能性があるのです。
(中略)
米国の債務は増加し続け、36兆ドルを超え、現在も増加し続けています。債務が増加すると何がまずいのか?1つはダリオ氏が「債務者が利払いを支払うために、さらに債務をする状況」と指摘するように、利払い費の増加です。債務額が増加すれば、利払費も増加します。現在は利払費だけでも1.1兆ドルを超えており、150円で換算すると、165兆円もの凄まじい額が利払い費だけで消えるということです。あまりにも桁が大きいので分かりにくいかもしれませんが、日本の2024年の税収が過去最高で約78兆円です。1年間日本国民が、血と涙と汗を流して収めた税収の約2倍もの額が”利払い費”だけで消えているということです。もちろん、経済規模は米国の方が日本の約7倍大きいですが、それにしても利払い費は急激に増加が危機的状況なのは間違いないです。それを示すのがこのグラフです。
赤の線は米国債務の利払い費ですが、既に医療支出、国防費を超えています。そして、利払い費を支払うために、債務をさらに発行する必要があり、元本とも言える債務が増加すれば、またさらに利払い費が増加する・・・このような借金で借金を返すような状態に陥り、もはや返済不可能になることが、レイ・ダリオ氏ら投資家からが警鐘を鳴らしている、「債務のデス・スパイラル」ということです。もちろん、世界の中央銀行もこれに気づいていないわけではなく、米国財政が持続不可能リスクに備え、2024年は史上最速ペースで金を購入しています。
グラフを見れば分かりますが、中央銀行が金を購入開始しているのは何も2024年からではなく、リーマンショック後に急激に米国債務が増加し、GDP増加ペースを上回った時点で、大量に金を買っています。そして、パンデミックショックにより、さらに債務増加ペースとGDP増加が乖離したことで、史上最速ペースで金を買っているのがよく分かりますね。インドや中国、ロシアなどBRICS諸国の中央銀行も購入していますが、実はポーランドやハンガリーなども大量に購入していますし、最近では西側とされる、台湾中央銀行も金を購入しています。中央銀行らは今何が起こっており、今後何が起こり得るのか?理解しているからこそ、紙幣を増刷しつつ自らは金を購入しているということです。しかし、トランプ大統領やマスク氏は政府効率化省、通称DOGEによって米国財政赤字を解消しようとしています。果たして、米国財政赤字は削減できるのでしょうか?
2.DOGEでも米国債務を完全に解消するのは難しい?
イーロン・マスク氏はDOGEに採用される以前から、「米国は破産しつつある」と発言し、デス・スパイラルを何とか引き留めるため、政府支出を削減しようと、政府効率化省が数々の政府部門を閉鎖しています。そして、最新のインタビューでは次のように述べています。「財政赤字を解消しなければ、医療費も社会保障費も捻出できない。財政赤字を解消しなければ、医療も社会保障も何もなくなる。財政赤字は解消しなければならない。選択の余地はない。それが私がここにいる理由だ。」 先ほどのグラフと合わせてみれば、マスク氏やダリオ氏が何も大げさに発言しているわけではないことが分かると思います。そして、トランプ大統領は先日、「中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領と最初に会談したい」「三国間協定で相互に軍事予算を50%削減しようと提案したい」 このような発言をしています。もちろん、平和に向けての交渉という意味合いもあるとは思いますが、利払い費はすでに国防費を超えており、国防費に捻出できる予算が限られているから、和平的な交渉を取っているようにも見えますね。DOGEが急ピッチで政府支出を削減していますが、過去の債務が減るわけではありませんし、イーロン・マスク氏はDOGEにより政府赤字は2兆ドルから1兆ドルに削減できるとしてますが、債務の増加ペースを遅らせる一歩としては重要ですが、36兆ドルの債務と利払い費の問題を直ちに解消するものではありません。もちろん、個人的には仕事をしない役人を大量に解雇するなど、かなり賛成できます。しかし、政府支出を削減するということは、直接的にGDPを減少させることにもなります。GDPの計算において、政府支出が削減されれば、他の要素(消費、投資、純輸出)が変わらない限り、GDPは削減額分だけ減少します。また、政府支出削減が景気を冷やし、民間部門の活動も落ち込むと、GDP減少は4%を超える可能性もあります。先日、トランプ大統領やマスク氏はDOGEによって削減できた、節約分20%を全国民に配布すると発言していましたが、もしかすると、削減による景気悪化を見越し、前もって景気刺激策としてこのような発表をしているのかもしれませんね。ただ、現在のところですが1人あたりに配布される金額は日本円にして75万円程度とされています。そうなると今度は気になるのがインフレです。
このグラフはM2マネーの増加と金価格の相関を表しています。M2マネーとは市中に流通するお金の総量ですが、通貨が増加するほどインフレを招き、それが金価格上昇をもたらします。そして、グラフを見れば分かりますが、パンデミックショック後に完全にストップした経済を支えるため、大量の補助金がばら撒かれ、M2マネーは急激に上昇していますね。このばら撒きが起こった後、インフレ率が急激に上昇し、2022年には9%もの急激なインフレ率上昇になっています。そして、FRBが政策金利を5.5%まで急激に上昇させたことで、インフレ率は低下しましたが、直近では再度インフレ率上昇の懸念が出てきています。果たして、現在、米国民全員にお金をばらまいた場合、インフレ率は上昇しないのでしょうか?仮にインフレが再燃すれば、FRBは再度金利を引き上げざるを得なくなります。金利を引き上げれば、債務の利払い費用も再度上昇することになり、結局DOGEが削減した分以上に、利払い費が増加する可能性もあるわけです。このように、引いても押しても、最終的には債務が増加してしまう状況がレイ・ダリオ氏らが提唱する債務のデス・スパイラルの正体です。
【2025年警告】レイ・ダリオ「資産の15%に金を検討の価値がある」「多くの人は債務のデス・スパイラルに耐えうる金を持っていない」 - YouTube
パウエルFRB議長は
FED'S POWELL: I'VE BEEN SOMEWHAT CONCERNED ABOUT TREASURY LIQUIDITY.
(私は国債の流動性について多少懸念している。)
https://x.com/financialjuice/status/1889703993003094284 (2025年2月13日のポスト)
と発言しているが、よく言われているように、
「米国債は、米国政府にとっての自国通貨建ての債務(内国債)であり、中央銀行である米連邦準備制度理事会(FRB)は事実上無制限に(米国債の償還に必要な)ドルを発行することができます。自国通貨建ての債務は、1.政府が借り換えのための国債を発行し、2.これを中央銀行が買い取れば(=貨幣を発行して償還に充てれば)、名目上デフォルトすることは決してありません。」
もし米国債がデフォルトしたら?:債務上限に関するメモ | マーケットを語らず | 投資信託のフィデリティ投信
といった、これまでにやってきたことがなんとなくできなくなってきている雰囲気がある。
危機時にはFRBが無制限に国債を買えばいいと言うが、最近ではアメリカの国内外で米国債のリスクやFRBのあり方について議論があり、持続可能な財政ではなくなってきているらしい。(利払い費の負担、外国人投資家の減少、インフレなど)
危機時の米国債市場機能不全、最善の対策はFRBによる無制限買い入れ=論文 | ロイター (2023年8月28日)
「トランプ大統領の経済政策は規制緩和や財政健全化、公正な貿易、エネルギー支配から構成される」とベッセント財務長官は発言しているが、特に財政健全化は急務となっているようだ。
また、トランプ政権は予定通り高い関税をかけるとしているが、これも国内産業の保護というだけではなく、財政健全化の一環であることが考えられる。
そうなのであれば、あまり楽しくない話ではあるが、楽しい人物が新政権に集まることで楽しい雰囲気を醸し出しているということなのだろう。
※Geminiにアメリカのソブリンリスクについて質問してみた。
アメリカでは毎年、10兆ドル以上の米国債のロールオーバーがあるらしいが、それは事実なのか?また、外国人投資家が米国債の保有を減らしていく中でアメリカ政府は毎年1兆ドルもの利払い負担があり、国債の買い手不足と巨額の利払い負担という2つの問題を抱えている。このような状況は長くは持たないと言われており、アメリカは財政再建が急務になっているらしい。アメリカで今年、ソブリンリスクが顕在化することはあるのだろうか?
アメリカの国債と財政状況についてのご質問ですね。以下に、現状とリスクについて詳しく解説します。
米国債のロールオーバーについて
* 米国債のロールオーバーは、毎年10兆ドルを超える規模で行われているのは事実です。米国債は満期を迎えるたびに、新たに発行される国債によって借り換えられます。
* これは、アメリカ政府が継続的に資金調達を行う上で不可欠なプロセスです。
アメリカの財政状況とリスク
* アメリカ政府は、巨額の財政赤字と国債残高を抱えています。金利上昇に伴い、利払い負担も増加しており、財政状況は悪化の一途をたどっています。
* 外国人投資家による米国債の保有額が減少傾向にあることも事実です。これは、アメリカの財政状況への懸念や、他の投資先への分散などが要因と考えられます。
* これらの状況から、アメリカの財政状況が持続可能ではないという指摘は多く、財政再建が急務であることは間違いありません。
ソブリンリスクの顕在化について
* アメリカのソブリンリスクが今年顕在化するかどうかは、予測が難しい問題です。
* しかし、以下の要因から、リスクが高まっていることは認識しておく必要があります。
* 高水準の財政赤字と国債残高
* 金利上昇に伴う利払い負担の増加
* 外国人投資家による米国債保有額の減少
* 政治的な対立による債務上限問題の再燃
* これらの要因が重なり、市場の信頼が大きく揺らぐような事態が発生した場合、ソブリンリスクが顕在化する可能性は否定できません。
アメリカの財政問題の現状
* 2023年度の米国の財政赤字は、コロナ禍での一時的な歳出増がおさまったにもかかわらず、増加しました。
* 2023年の国債発行額は、過去最大となることが確実になっています。
* アメリカ議会予算局の推計では、2028年には利払費が1兆ドルに達し、国防費を上回る大きな支出項目となる見込みです。
* 格付け会社のフィッチ・レーティングスは2023年8月1日、債務上限問題をめぐる政治的な膠着が繰り返されていることを理由に、米国の信用格付けを最上位の「AAA」から1段階低い「AA+」に引き下げました。
まとめ
アメリカの財政状況は、複数の要因が重なり、厳しい状況にあります。ソブリンリスクが顕在化する可能性も否定できないため、今後の動向を注意深く見守る必要があります。
参考資料
* 米国の財政リスクと長期金利高止まりの可能性~赤字拡大、国債増発が金利の押し上げ要因:株式会社三菱UFJリサーチ&コンサルティング
* 債務上限問題で米政府がデフォルトに陥るXデーが近づく:景気悪化や銀行不安再燃の引き金にも:株式会社野村総合研究所
* 利払費急増に直面するアメリカ財政 ー論点と日本への示唆ー:東京財団政策研究所