日銀総裁と高校・大学時代の同期の大学名誉教授が、旧友に苦言を呈している。以下のBloombergの記事で

「現在の政策金利の低さは異常」

「日銀はできるだけ早めに利上げをした方がいい」

「すでにビハインド・ザ・カーブに陥っているとも言えると思う」

「少し慎重に過ぎるのではないか」

「日銀が利下げしなければならない局面がいつか来る」

「金融政策は機動性が命だ」

と語っている。

利上げは「インフレ抑制に最大のクスリ」だと言っているが、恐らく日銀がそれを認識していないのではなく、「親会社」が利上げを阻止しているために円安・インフレ対策が遅れているのだろう。

将来的なことを考えれば、今、利上げをしなければ後でどうなるのかも分かっているはず。

また、日本政府はインフレ率について大嘘を吐いているため、日銀は間違ったデータを元に金融政策を考えていることになってしまう。

 

【参考】2024年12月10日の記事

・政策金利の低さは異常、正常化ペース「慎重に過ぎる」と旧友に苦言

・将来的な利下げ余地の確保も必要、マイナス金利の限界はすでに学習

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-12-10/SO7K0IT1UM0W00

 

 

 

現在の日本の金利水準は相当低く、実質金利で-1.0~0.5%、中立金利で1~2.5%であると言われている。

しかし、政府の統計データを元に算出されたインフレ率2%台というのは誰もが疑問視する数字であり、実態としては2桁台になっているというのがほとんどの国民の実感になっている。

また、日銀のバランスシートは今も「異次元」性があり、長期債の大量購入と大量保有、ETFのようなリスク資産の大量保有も続けているため、本当に正常化していくのであればそれらもいずれは処分していかなければならない。(国債はいずれ償還されるが、ETFは処分しなければ永久に残ることになる)

もし正常化に失敗すれば中央銀行としての信用を失うことに繋がり、「日銀に対する信認の崩れは、当座預金の減少という姿ではなく、通貨価値の下落となって現れる」ことになる。

現時点でも実態としてはかなりのインフレになっているはずだが、その状況で金融緩和策をもっと続けるというのであれば、これからさらに深刻なインフレと通貨安になるだろう。

 

【参考】2024年11月17日 の記事

金利引き上げがどこまで進むかを考えてみよう。市場参加者は1%程度までを視野に入れる。例えば6月のQUICK月次調査〈債券〉。「向こう5年の日銀の政策金利のピークをどのように予想するか」と質問したところ、「1%」を強く意識した結果になった。背景にあるのは実は日銀自身の情報発信だ。自然利子率の推計値としてマイナス1.0〜プラス0.5%程度という数字を紹介しているのだ。

自然利子率とは、経済を刺激することも冷やすこともない実質金利(名目金利から物価上昇率を差し引いた金利)。この自然利子率に持続的・安定的に実現する物価上昇率を上乗せしたものを中立金利(経済を刺激することも冷やすこともない名目金利)と呼ぶ

日銀が目指す2%物価目標が持続的・安定的に実現するなら、マイナス1.0〜プラス0.5%程度に2%を上乗せした12.5%程度が中立金利のレンジになる理屈。下限はおよそ1%。少なくともこのくらいまでの利上げはありうると想定する市場参加者が多く、背景には日銀自身の情報発信があるという話なのだ。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD225US0S4A021C2000000/

 

【参考】2024年11月22日 の記事

中央銀行は、みずから定めた資産の健全性の原則を維持することで、国の信用力にプラスして独自の信用力を上乗せしている。原則に従う資産を買い入れ対象としていれば、いざという時には、短期のうちに市中から資金を回収して、為替相場の急落や物価の高騰を回避することができる。これが、短期で流動性が高く、かつ信用力の高い資産だけを保有していることの意味合いである。

中央銀行は、資産の健全性の原則が脅かされることのないよう、いくつかの制度的な仕掛けを用意してきた。財政ファイナンスの禁止や中央銀行の独立性維持といった制度設計は、そのためのものであるし、日銀はさらに前述の銀行券ルールも設けていた。

しかし、異次元緩和はこれらの原則を根底からひっくりかえした。財政ファイナンス酷似の国債買い入れによって、巨額の国債残高を抱え込むことになった。しかも、意図的に長期の国債を買い入れたために、約590兆円の国債の平均残存期間は6~7年に達している。中途売却は難しく、資産としての流動性も低下している。さらに、ETFのように元本保証のない資産も積極的に買い入れ、資産の一項目として計上している。「資産の健全性維持」の原則は大きく崩れた。異次元緩和の「異次元」たる所以(ゆえん)は、実は、資産の健全性の原則を崩した「異次元」性にあった。 

米国FRBがイールド・カーブ・コントロールのアイデアを棄却したのも、まさしくこうした操作が財政ファイナンスにつながりかねず、中央銀行の独立性を脅かしかねないとの判断からだった。

幸い、日本国や日銀に対する信認はいまも厚く、いまのところ信頼が崩れる兆候は見当たらない。これまでの円相場の下落が信認低下を表すものではないかとの見方もないわけではないが、現時点では日米金利差を反映したものとみてよいだろう。 

しかし、いつまでもこの状況に甘えているわけにはいかない

https://gendai.media/articles/-/141538

 

 

 

日本は既に過度のインフレになっているはずだが、それを放置していれば確実にスタグフレーションになるのだろう。

 

【参考】2024年11月15日の動画

「適度なインフレというのは基本的には景気・経済・人々の暮らしにとっていいとされるんですね。

これは2%前後であればいいんだけど、一旦インフレが発生したら2%に収まるとは限らない。

場合によってはこれから9%になるかもしれないし、10%になるかもしれないし、例えばトルコやアルゼンチンの場合はハイパーインフレって言って年間80%のインフレだそうです。

100%のインフレが発生したりする。

つまりハイパーインフレが起きた時には今年100円のものが来年に200円になる。

それがまた1年経つと200円のものが400円になると。

これがだから2年で物の価格が4倍になったってことですよ。

そうすると実は給料、賃金というのはそれに合わせなきゃいけない。

年収も4倍ぐらいに上げなきゃいけないけれども、どうしても企業というのはハイパーインフレが起きてしまうと後からやらなきゃいけなくなるので賃上げというのは遅くなる。

賃上げが行われるまでの間というのは非常に皆さんの生活が苦しくなります。

つまり一定以上のインフレというのは逆に今度は消費を圧迫するんですね。

いい循環で2%程度だったら問題なかったけれども、自分が買おうと思っていたスマホが8万円から12万円に価格が上がりました。

じゃあもう買うのを諦めようと。もうちょと待とうと。

逆に今度買い物をする意欲がなくなるんです。

これは適度なバランスでキープするのは良くて、インフレが一旦発生してしまうと適度に抑えるのは難しいんです。

日本でも一応名目インフレがまだ2%台とか3%前後ではあるもののアイテムによっては大きく実はインフレが発生しているものもある。

例えば日常生活品・食料品というのはこれはほとんど日本は輸入に頼っていますので円安も相まって非常に日本の食料品とか日常生活品の価格が上がりました。

生鮮食品を除く食料品のインフレって9%です。

国民が感じているインフレ率というのは現時点で約14%なんですよ

つまり名目インフレではなくて国が出しているインフレ率というのはいろんな項目を採用して平均をとります

その項目の中にはあなたが全く使わないものもあるかもしれない。

けれども一応全部平均化するんだけど一般的にはよく皆さんが毎日買い物をしているもの、たまにしか買わないものとかではなくて、毎日買い物をしているものにおいては少なくとも日本というのは2桁のインフレがここ2年間発生している

アメリカでも同じことが起きていて、アメリカも結果的にはインフレ率自体は落ちたんだけど、インフレ率はあくまで物価の上昇スピードのことであり、つまり一回上がったものというのは元に戻らないんですよ。

例えば今年10%のインフレ率で来年は2%までインフレ率が下がりました。

ということは100円の物が110円になって2%になったら112円になります。

インフレが2%に下がったからといって110円の物が102円に戻るわけではないんです。

これは単純に上昇率というのは物価の上昇率のスピードです。

価格が下がるにはデフレにならないといけないんですよ。

上がっちゃったものって元に戻らないんです基本的に。デフレでも起きない限りはね。

でもデフレが起きるということは今度はこれがほぼ景気後退なので、デフレというのは非常に厄介なもので、誰も消費しないし、失業率も上がるし、誰も欲しがらないわけね。

だけど一旦価格が上がったものは元に戻らないから、それは今度賃上げを待つしかないんですよね。皆さんの生活が改善するには。

インフレというのは非常にコントロールが難しいものです。

ただそのために日銀があって、政府があって、それをやるために彼らは給料をもらってやっている。それが仕事なんですよね。

インフレというのは構造的な要因が背景にあります。あまり一時的だと思わない方がいい。

だからその意味で日本も長期のデフレ時代が終わってインフレの時代に入ったというふうに思った方がいい。

インフレ率というのは物価が上がる=お金の価値が目減りするということはありとあらゆるリスク資産にとっては追い風です。

リスク資産の方が先に価格が上がりますので。

インフレを織り込んで株も上がります。

そして不動産も上がります。

その他の現物資産というのもインフレで価値が上がります。

なぜかというとお金の価値が目減りしているからですね。その分価格が上がるということです。

それを考えるともう既に皆さんも気づいている通り、日本株も大きく上がっていますし、日本の不動産価格も大きく上昇していますし、為替に関して言うとこれはそれぞれの国々の金融政策で決まるので日本みたいにインフレは起きたけれども今すぐに金融引き締めに動けない国だと通貨安になりますし、日本というのは金利が低いので、お金の価値が目減りして金利が低いから日本円で持ちたくない。

だから日本円が売られるんですよ。

どんどん日本からお金が出ていっちゃうんで、それは円安に繋がる。

アメリカの場合はアメリカはしっかり対応しているので、インフレが上昇するとそれに合わせて非常に機動的に金融政策を調整するので、インフレが上がればアメリカの金利は上がるだろう

実際彼らは上げましたからね。

アメリカは1年間で5%近く利上げした。

つまりアメリカで預金していたら何ももらえなかったのが1年後に5%もらえるようになったんです。

そこから考えると米ドルが買われるのが分かるよね。

日本みたいな国からアメリカにお金が行っちゃうんです。

どう考えても日本円をすぐに米ドルに変えてアメリカに預金した方がいいよねという原理から当然ながらドル円は上がっていく。

アメリカ株が日本でも人気化するんですよね。」

https://www.youtube.com/watch?v=OkG3Kzeg3mI

 

※上の動画ではインフレはリスク資産にとっては追い風だと言っているが、実際にはインフレになっていれば株が上がるわけではなく、巨額の資金流入があった時にだけ株は上がる。日本では日米金利差拡大によるヘッジプレミアム(キャリー収益)狙いの海外資金流入と新NISAによる新たな参加者の資金流入が株高の主な要因のはず。また、コロナショック時のバラマキもギャンブルなどに回った分がかなりあるのだろう。AI特需や戦争特需で一部の銘柄が暴騰しているが、これもインフレで株高になっているわけではなく、バブル的な上昇になっている。

 

【参考】2023年5月19日 の記事

海外投資家が日本株への興味を強めた背景は、2005─07年や2013年当時とは異なるが、日本株の買い方としては共通点があると考えられる。それは、今回も為替リスクをヘッジして日本株に投資しているのではないかと考えられる点である。

4月以降、円は主要通貨の中で最弱通貨となっており、海外投資家が円を買って日本株に投資しているとは考えにくい。5兆円規模の買い越しが続いた2005年10月─07年10月も、2013年4月も円は主要通貨の中で最弱通貨だった。

日本と他国の金利差を考えると、為替リスクをヘッジすることによってキャリー収益も入るため、こうした投資は理に適っている。

海外投資家が為替リスクをヘッジして多額の日本株投資を行うと、日本株とドル/円相場の相関関係が強くなると考えられる。

実際、2005年以前は日経平均株価とドル/円相場の間に安定した相関関係はなかったが、海外投資家の日本株買いが急増した2005年以降は、両者の相関関係(株高=円安、株安=円高)が比較的高く、安定するようになった。

このように相関が強くなるメカニズムは、海外投資家が為替リスクをヘッジして日本株投資を行った場合、日本株が上昇するとヘッジを積み増すために円を売る必要が生じ、日本株が下落するとヘッジを一部巻き戻すために円を買い戻す必要があるためと考えられる。

従って、「株高=円安」、「株安=円高」の相関関係が強くなるためには、海外投資家による為替ヘッジ付きの日本株投資の残高が一定程度の規模に膨らむ必要がある。海外投資家は2005─06年と2013─14年の2年間でそれぞれ約20兆円の日本株を買い越した。

今回同様、海外投資家の日本株買いが進み、株高=円安の相関が強まった2005─06年と2013─14年は、過去20年間の中でも円のファンダメンタルズが悪化し、大きく円安が進んだ時期だった。

https://jp.reuters.com/article/world/-idUSKBN2XA0AA/