※一部訂正と追記をしました
アメリカで利下げを開始したということはこれからリセッションに入ることを意味していると言っていい。
大方の予想としては2024年内にそうなるはずだったが、大統領選絡みで粘っていた感がある。
来年は確実に商業用不動産問題や銀行の未実現損失がいよいよ表面化し、多くの問題を引き起こすのだろう。
【参考】2024年11月9日の動画
【大統領選後の株価急騰!】更なる利下げ - youtube.com
ノンリコースローンの期限を迎える際に借り換えによって返済すれば延命できることになるが、既にAAA格付けでデフォルトした例があり、投資家や銀行の巨額損失は免れないようだ。
また、株価が完全にバブルとなっており、これも来年には大きく下落することは避けられそうもない。
「トランプトレード」によってさらに株価は上昇したが、恐らくこれが最後になる。
トランプ政権はバイデン政権のツケを払うことになる。
しかし、株価の下落は一時的な調整入りに留まるのか、歴史的大暴落になるのかは分からない。
いずれにしてもそれなりに大きく下げる場面はあるのだろう。
トランプ政権はウクライナ支援を継続するという情報があるが、もしそれが事実なのだとすれば、ウクライナの土地や資源を保有するブラックロックなどが働きかけた可能性がある。
ウクライナ紛争はアメリカの新政権によって終わるのかと思っていたが、そうならないのであれば、世界大戦に発展するリスクがある。
最近言われている停戦案(ロシアの占領地域は現状のまま維持、NATOに少なくとも20年間は加盟しない)はウクライナ側が認めない可能性がある。
https://mainichi.jp/articles/20241108/k00/00m/030/097000c
【参考】2024年8月4日の記事
国際格付け会社S&Pがウクライナの信用格付けをSD/SD(選択的デフォルト)に格下げしたことを受け、フランスではウクライナへのさらなる資金供与を要求されることに懸念が高まっている。
フランス愛国者党のフィリポ党首はSNSに投稿し、「さらに多くの金を払えと言われるだろう!これはウクライナを救うためであり、もちろん『平和』のためだと言われるのだろう」と記した。
しかし、これは民間の投資会社、とりわけニューヨークに本社を置く世界最大の資産運用会社Black Rockを「太らせる」ことが目的だとも指摘した。Black Rockはウクライナ危機により資産を増やし、ウクライナの土地を買収、その豊かな資源を手にしたとされている。
フィリポ党首はウクライナを裏で操るエリートをさらに富ませてはならないと主張、兵器供与を中止し、平和交渉の速やかな実施を呼びかけた。
ウクライナのデフォルトを受けてフランスの政治家が懸念、「さらに多くの金を払わせられる」 - sputniknews.jp
グリーンスパンがFRB議長だった時、クリントン大統領再選後にアメリカの株式市場は1年で26%上昇し、FRBはその「根拠無き熱狂」にバブルの懸念を抱いていた。
今のS&P500がどうなっているのかというと、2023年10月27日には4117だったが、2024年11月11日には6001に達し、約1年で45%も上昇している。
これはAIバブルや「トランプトレード」などによるものだが、当時よりも遥かに危険な雰囲気がある。
「トランプトレード」も「根拠無き熱狂」なのかもしれないが、それよりもAIバブルが非常に危険であり、ITバブル(ドットコムバブル)の時よりも無理のある相場であるような印象を受ける。
インターネットは誰にとっても必要なものだが、AIはそういうものではなく、まだ利益にも繋がらず、投資費用や電気代などの維持費も莫大な額になっている。
このAIバブルが崩壊するのは時間の問題であることは誰の目からも明らかだと言える。
OpenAIはAIの進化の頭打ちで戦略の転換を余儀なくされている、高品質なデータ枯渇の問題が急激に顕在化 - gigazine.net
さらに、商業用不動産問題がソフトランディングするとは思えず、これも重大な影響を及ぼすことが予想される。
日経平均株価は2023年3月には28041円だったが、2024年3月には40369円に達し、1年で44%も上昇している。
2023年の安値と2024年の高値で見れば、25661円から42426円まで上昇し、上昇率は65%だった。
日銀はこの株式市場の熱狂をまだバブルだと認めておらず、今後も一部の政治家が言うように「投資の流れを加速」させるつもりらしい。
やはり、日本の株式市場は低い金利のままバブル崩壊するのかもしれない。(日本だけリセッション期に利下げで対応することができない)
8月の急落ではたった2~3日下落しただけで、その翌日からは3217円の上昇という異常な相場が始まり、また大暴騰しているのだから調整をこなしてから上昇が始まっているようには見えず、できるだけ早く株価を回復させなければならないといった具合に吊り上げたような動きになっていた。
つまり、急落したり急騰したりしているだけで、安定性のある相場ではなく、本当の調整はこれから始まるのだろう。(安定性のある相場は調整後に始まる)
※アメリカの株価指数を見てみると、まだ調整をこなしているようには思えない。
https://www.google.com/finance/quote/.INX:INDEXSP?window=MAX
https://www.google.com/finance/quote/.DJI:INDEXDJX?window=MAX
https://www.google.com/finance/quote/.IXIC:INDEXNASDAQ?window=MAX
【参考】
1992年の大統領選挙では民主党が勝利し、ビル・クリントンが大統領に就任した。景気回復のためには財政赤字を削減し、長期金利を下げることが必要だというグリーンスパンの意見が容れられ1400億ドルの支出削減が政府の経済政策として発表されると長期金利は低下した。1994年に景気が拡大を始めると、FRB内部では0.5%の利上げが検討されたが、グリーンスパンは5年ぶりの利上げであることから市場にショックを与えないために0.25%の利上げを主張し、理事会を説得して指導力を発揮した。1995年は金利を5.5%前後に置き、失業率・インフレ率が低く抑えられ1.5%の経済成長と好調な株式市場という理想的な状態になった。
1996年にグリーンスパンはクリントン大統領から3期目のFRB議長として再任された。大統領選挙でクリントン大統領が再選を果たした後の12月に株式市場が高騰し、1年で26%上昇していたため、日本のバブル崩壊から教訓を得ていた財務省やFRBは危惧を抱いていた。グリーンスパンはスピーチで「根拠無き熱狂」という言葉を使用して株式市場に疑問を提示した。1999年5月の上院銀行委員会では、「金(ゴールド)の、売却はいたしません。ゴールドは究極の通貨だからです」と述べている。2000年にはクリントン大統領に4期目の再任の指名を受けた。
2004年5月18日には共和党のブッシュ大統領から米国史上前例のない5期目の連邦準備制度理事会議長に任命され、2006年1月31日まで同職を務めた。
金融政策の行方について多弁を費やしながら、含みをもたせ、言質を取らせなかった言葉で市場関係者を幻惑しつつ、巧みに市場金利を望ましい水準に誘導し、「金融の神様」「マエストロ」の名をほしいままにした。
しかし、2007年以降の住宅バブル崩壊に端を発する世界金融危機を巡っては、グリーンスパンによる数度にわたる金融緩和が一因との指摘が強く、功罪共に盛んに議論されている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/アラン・グリーンスパン
米商業用不動産はAAA格付けの債券が既にデフォルトしている。
この問題は明らかに投資家や銀行側が不利な契約をしており、債務者は最悪でもあまり価値のなくなった不動産を手放すだけで済むらしい。
今となってはもう借り換えなどする必要もないのかもしれない。
【参考】2024年10月30日 の記事
・投資家、最上級格付けの商業用不動産担保証券で損失被る
・不動産が時代遅れになることはないという考えは間違いだった
ウォール街の金融関係者にとって、ブロードウェイ1407番地のビルは、考え得る限り最も盤石な資産だった。ニューヨーク市マンハッタンの歴史あるガーメントディストリクトの中心に位置する43階建てのビルは、リッチな企業テナントが尽きることのない収益を生み出すマシンだった。
そのため、2019年の賃貸収入を担保に3億5000万ドル(約540億円)相当の債券が発行された時、その大半は格付け会社から最上級の「AAA」相当の信用格付けを得た。
世界の金融市場の指標となる米国債でさえ、これほど安全とは見なされていない。ブロードウェイ1407番地は景気循環の影響を受けないため、デフォルト(債務不履行)はあり得ない、そんなことは5000年に一度の異常事態だ、と考えられていた。
債券発行から4年と212日後の今年6月17日、AAA格付け債の保有者たちは、その月に支払われるべき100万ドルの利息が満額は支払われないことを知らされた。保有者らは現在、投資した資金の回収を目指してビルを差し押さえようとしている。
シカゴのリバーノースポイントと呼ばれるビルも同様の状況だ。サンフランシスコのカリフォルニアストリート600番地とロサンゼルスのウエスト5番街555番地も同じだ。
マンハッタンに戻ると、ブロードウェイ1407番地から少し歩いたところにある旧MONYビルは正式にデフォルト(債務不履行)している。
この建物は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前と比較し、評価額が激減。一部の債権者は投資資金を全て失い、AAA格付け債の購入者でさえ26%の損失を被った。これは、金融危機以来のことだ。
「AAA」債がデフォルト、米オフィス市場の底知れぬ落とし穴 - Bloomberg
【参考】2023年11月16日の記事
ノンリコースローンとは非遡及型融資ともいわれ、責任財産の収益力(キャッシュ・フロー)から算定される金額を基に融資を行い、その範囲内に返済責任を限定する貸付方法をいいます。責任財産とは、収益力のある不動産が一般的ですが、継続的に収益を生み出す企業や動産、債権の場合もあります。責任財産のこうした収益力を裏付けに貸出を行い、返済が不能になった場合は、その責任財産の処分を超える返済を求めない手法です。
https://www.ma-cp.com/about-ma/nonrecourse-loan/
【参考】2024年5月20日の記事
担保価値低下で与信枠が縮小しており、借り換えのハードルは一段と高まっている。借り換え不能になれば、そのローンは貸し手である銀行の不良債権となるため、米地銀の経営はますます苦しくなる。米商業用不動産ローン問題は、米国株式市場の潜在的なリスク要因として燻り続けている。
https://www.pictet.co.jp/investment-information/market/deep-insight/20240520.html
アメリカ全体のオフィス空室率は今年の1~3月で19.6%になっており、ムーディーズの予測では2026年にはそれが24%に上昇する。
実際にそうなれば家賃がもっと下がることになるため、商業用不動産の所有者は借金の支払いがさらに困難になる。
アメリカの商業用不動産全体を見ると、この1年で価格が4割下がっている。
欧米ではノンリコースローンで不動産を取得したり建設するのが主流となっているが、その期限は5~7年になっている。
ノンリコースローンでは責任財産の収益力を基に融資を行い、範囲内に返済責任を限定している。
もし返済できない場合はデフォルトとなってその不動産を売ることになる。
それを保有する企業の他の事業や資産には影響しないメリットがあるが、投資家や融資をしている銀行に巨額損失が発生することになる。
今年と来年で約1.5兆ドル(約200兆円)のノンリコースローンの期限を迎えるが、うまく借り換えができればさらに5~7年継続できる。
しかし、その間に予測どおり価格が下がり続ければ次々とアメリカのオフィスビルでデフォルトが起きる。
日本のあおぞら銀行はアメリカのノンリコースローンで324億円特損計上しているが、韓国やドイツなどでも同じような状況になっている。(実際はあおぞら銀行だけではないのではないかと言われている)
不動産市場は中国で最も深刻化しているが、欧米でも今後さらなる暴落をしていく可能性が高い。
【不動産市場が抱える爆弾】225兆円のローンが米国商業用不動産に迫る/日本が「対岸の火事」ではいられない理由/世界の金融とリンクする不動産市況/不動産価格の先行指標はある?- youtube.com (2024/08/30の動画)
アメリカの雇用統計は1stについては改ざんされているとよく言われるが、それは事実であり、最終的な数字である3rdはとんでもない下方修正を出すことがある。
また景気先行指数(LEI)も歴史的な悪化をしているが、米政府や主要メディアなどは好景気であると度々主張している。このLEIが悪化している時はリセッションに入っている時であり、実態としてはリセッション入りしているが、政府の都合でひっくり返してしまっているようだ。
ISM製造業PMIも「長期にわたって50を下回っているのは2000年のITバブル崩壊と2008年のリーマンショック時くらいですね。そして現在は2022年11月以降1回を除いてほぼ2年間ずーっと50を下回っているんです。」と動画で言われているが、やはり特に製造業の景況感が悪化しているらしい。
バフェットもますます保有株式の売却を進め、現金の保有額を増やし続けているが、これはバフェットに限ったことではなく、多くの著名投資家が同じようなことをしている。
ではなぜ株価の上昇が続き、今も高値圏を維持できているのかというと、それは今回もまた個人投資家が買っているからであり、借金をして株を買ったり信用買いをしている者が多数存在しているらしい。
今回のバブルも個人投資家がまたババを掴むことになったようだ。
アメリカで株を買う:M1ファイナンス|ほんのわずかな資金でもアメリカ上場株・有名株の株主になれる!しかも手数料無料! - us-rich.com
米国の異常な株高を支える投資アプリ「ロビンフッド」の危険なカラクリ(小林 雅一) - gendai.media
これは政府、中央銀行、大手メディアなどにも責任があるが、最終的には自己責任で片付けられてしまうのだろう。
【参考】2024年11月4日の動画
日銀が利上げしなければ国債の安定消化ができなくなるようだが、本当に日銀は長い時間をかけて少しずつ利上げしていくのか疑問がある。
個人的には来年以降、欧米の経済は金融危機やリセッションに陥っている可能性が高いと思っているが、そういう状況で利上げするのは難しくなるはず。(実態としては既にリセッション入りしている)
専門家の予想としては12月か1月に利上げするといったものが多いが、10月18日に発表された日銀ワーキングペーパーでは「10月は現状維持、次回利上げは12月」という方針に変更がないことが分かるような内容になっていると言われている。
日銀が来年以降も少しずつ金利を引き上げていくことは事実上不可能であるように思えるため、12月と1月にやや大幅に利上げするか、あるいは利上げを断念するか、どちらかになるような気がする。
市場では今年の12月に0.25%の利上げを予想しており、来年に4回利上げすると見込んでいるらしい。
(最近は急激に円安が進行しているため、利上げを急ぐ必要性が出てきている可能性がある)
【参考】2024年10月23日の記事
日銀の利上げスタンスと投資家や金融機関の投資スタンスにはズレが生じていることになる。なぜなら、日銀が政策金利を中立水準まで引き上げるのは今回の正常化の最終局面であり、しかもそこまでには時間的余裕があることを示唆している一方、投資家や銀行はそこまで行かないと国債投資の本格化には踏み切りにくいとの考えを示しているからだ。
それでも、国債の安定消化を日銀に依存する構造を将来にわたって維持することは決して望ましい状況ではない。それは、国債市場で醸成される景気や物価の見方という重要な情報を日銀が金融政策の運営において活用できないことに意味するだけでなく、長い目で見れば、国債の安定消化の持続性にも疑問を招きかねないからだ。
https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/ISFLTNHFYFLZLDPWJCY7RYM25U-2024-10-23/
【参考】2024年10月23日の記事
先週のレポート(「石破政権が目指す実質賃金引上げの本当の意味~生産性を上げなければ日本は変わらない~」)で、実質賃金は労働生産性に依存するからその引き上げが必要だと述べましたが、日本銀行から同じようなワーキングペーパーが出ていて驚きました。
そのワーキングペーパーは、日銀が非伝統的金融政策を検証する「多角的レビュー」の一環として書かれたもので、同日一気に3本発表されています。今週はその政策的な含意を含め、 日銀の金融政策の当面の見通し(10月は現状維持、次回利上げは12月)が変わっていない ことを、いくつかデータを確認しながら整理します。
まず、日本銀行の金融政策に対する見通しですが、10月金融政策決定会合(30~31日)は現状維持、12月に利上げ(場合によっては来年1月)で変えていません。
ポイントは、(1)物価指標が日銀の見通しに沿って推移しているか、(2)金融市場動向の不安定性(その背景にある米国経済)、(3)円安による物価上振れリスク、の3点です。
https://media.rakuten-sec.net/articles/-/46814
【参考】2024年11月13日の記事
日本の国債市場で金利上昇の勢いが増している。米国の大統領選挙でトランプ氏の再登板が決まり、インフレ政策発動への警戒から米金利の上昇と円安・ドル高が同時に進み、円安の抑制に向け日本銀行が早期に追加利上げに動くとの観測が広がっているためだ。
フランクリン・テンプルトンの債券担当最高投資責任者、ソナル・デサイ氏は日銀の金融政策について「現時点で12月の利上げを予想しており、来年1年間であと4回の利上げを見込んでいる」と言う。今後は「インフレ目標が持続的に達成されていることがますます明らかになるだろう」とも予想した。
SMBC日興証券の奥村任シニア金利ストラテジストは、円安がさらに進むことを前提に日銀が12月に0.5%へ利上げし、来年の春闘での賃上げを確認すれば、4月に0.75%へ利上げするとのシナリオを用意できると指摘する。
もっとも奥村氏は、円安進行を抑制したいモチベーションがある半面、金融市場や実体経済に混乱を発生させない範囲で為替対応を行わなければならず、「短いスパンでの追加利上げはかなりハードルが高い」との見方も示す。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-11-13/SMV6J2T0AFB400
今のような円安・株高の流れというのは、基本的に日米金利差が4%以上開いている時にできるようだが、今後、アメリカ経済が好景気になることは考えづらく、やはり大方の予想通りにFF金利は来年に3.5%程度になっているのだろう。
日本の政策金利も0.5%にはなっている可能性が高いため、その時に日米金利差は3%まで縮小していることになる。
それぐらいの金利差であればヘッジプレミアム狙いで円安進行が止まらなくなっている日本に対して海外投資家が日本株を買うということはないのだろうし、その頃には金融危機が現実味を帯びているはず。
そういう状況下でいつまでもバブル相場を続けることは考えづらく、来年には確実にバブルが崩壊しているのだと思われる。
さらに、ウクライナ紛争や中東情勢が悪化したり、台湾有事・朝鮮有事なども勃発するようなことがあれば、経済への悪影響は避けられない。
中東情勢は大規模な戦争に発展すればエネルギー価格の高騰によってアメリカでインフレが再燃し、経済状態が悪化していく中で利上げに踏み切る可能性もあるのかもしれない。
もしそんなことになればアメリカ経済は大変なことになっているのだろう。
(しかし1990年8月にイラクがクウェートに侵攻した際には景気悪化によってFRBは利下げをし続けた。また、原油価格はこのところ下落傾向にあり、中東情勢の悪化がインフレに結び付くかどうかは不明。)
トランプ政権が中国に対する関税強化によってインフレになるシナリオも取り沙汰されているが、実際にはバイデン政権が既に高い関税をかけており、トランプ政権による関税案は政治的な意図が強く、経済的にはあまり影響はないのかもしれない。
もし本当に「中国からの輸入品に60%余り、また全輸入品に対しても10%の関税を課す計画」を実行に移すのであれば、確かに大変なことになるのだろう。
ウクライナ紛争はウクライナ側が負ける可能性が高いが、もしこのままNATOが本格的に参戦するようなことにでもなればそれは世界大戦ということになり、相当ショッキングな事態になることが予想される。
台湾有事・朝鮮有事に関しては主要な半導体関連企業がその地域に集中しているため、半導体ショックが起きることになる。
当然、日本も何らかの形で巻き込まれるのだろう。
このようなことが12月19日の日銀金融政策決定会合の前に起きれば日銀は利上げを見送ることになり、恐らく来年1月の利上げもできないはず。
つまり、日本は0.25%という相当低い水準のままバブル崩壊を迎える可能性が高まる。
(実質金利は大幅にマイナス)
【参考】2024年7月31日 の記事
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/k240731a.pdf
【参考】2024年5月22日の記事
[ワシントン 22日 ロイター] - 米通商代表部(USTR)は22日、バイデン大統領が発表した中国製品に対する関税の引き上げについて、詳細を明らかにした。30日間の意見公募期間を設け、一部は8月1日から発効する。 バイデン氏は14日、電気自動車(EV)、半導体、医療用製品など中国からの輸入品に対する関税を大幅に引き上げると発表した。EVは4倍の100%、半導体は2倍の50%になる。 ホワイトハウスによると、新たな措置は鉄鋼やアルミニウム、半導体、EV、重要鉱物、太陽電池、クレーンなど、180億ドル相当の中国製品に影響する。ただ中国製EVの輸入はごくわずかなため、実質的な影響よりも政治的な意味合いが強いとみられる。 米商務省国勢調査局によると、2023年の中国からの輸入は4270億ドル、中国向け輸出は1480億ドルだった。
https://jp.reuters.com/markets/treasury/MFZKBPZXBVJOFJHLY56PIZS3CI-2024-05-22/
【参考】2024年7月3日の記事
トランプ前大統領が提案する全面的な関税が現実となればインフレ加速を招き、米金融当局による約5回の追加利上げにつながる可能性がある。ゴールドマン・サックス・グループのチーフエコノミスト、ヤン・ハッチウス氏が予測した。
トランプ氏は大統領に返り咲いた場合、中国からの輸入品に60%余り、また全輸入品に対しても10%の関税を課す計画を示している。
ハッチウス氏は2日、ポルトガルのシントラで行われている欧州中央銀行(ECB)年次フォーラムでの講演で、トランプ氏の関税案は「米国の平均関税率を16ポイント引き上げ、20%近くにする可能性がある。これは戦後最高となるだろう」と述べ、世界的な報復関税につながり、貿易戦争に発展する恐れがあると続けた。
さらに「貿易戦争がない場合のわれわれの基本シナリオは、ECBと米連邦公開市場委員会(FOMC)は今後2年間で計150-200ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げを実施するというものだ。世界的な貿易戦争が起これば、金融政策の乖離(かいり)が拡大する可能性がある」との見方を示した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-03/SG1S7AT1UM0W00
しかし、予定としてはどうやら国内の保険会社が日本国債を購入するためにレパトリエーションを行うらしい。
また、ニューヨーク連銀総裁は利下げに前向きであることを述べているが、やはり来年の年末にはアメリカの政策金利(FF金利)は3.5%ぐらいまで下がっているのだろう。
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/P5VAZVKP45KXVP44DTXKT37Y6I-2024-10-10/
日本の利上げとアメリカの利下げによって来年は日米金利差が確実に縮小していくのだから、円キャリートレードが終わりを迎えていることは明らかであり、為替差損が生じる前に保険会社以外の日本企業のレパトリエーションも始まるのだろう。
(日本企業のレパトリエーションは3月に行われることが一般的だと言われている)
https://www.moneypost.jp/237211
【参考】2024年10月10日
米資産運用大手フランクリン・テンプルトン傘下のアクティブ債券運用会社ウエスタン・アセット・マネジメントは、足元のマクロ環境から日本銀行が利上げすることはほぼ間違いないと判断、金利が上昇していく中で、イールドカーブ上の相対価値(レラティブバリュー)を見ながら債券投資を進める方針を示した。
日本拠点投資運用部長兼ポートフォリオ・マネジャーの木村浩幸氏は9日のインタビューで、賃金と物価の上昇率、実質金利がマイナスで極端に緩和的なこと、米国経済の軟着陸見通しなどを挙げ、日銀が利上げする条件は整っていると指摘。「次の利上げは12月か来年1月」と予想し、政策金利は少なくとも0.75-1%になるまで「半年に1回のペースで引き上げる」とみる。
日銀が国債の保有残高を減らしていく中、「財務省は国債をどの投資家に買ってもらうか真剣に議論しているはずだ」と話す一方で、国債利回りが適正な水準に上昇してくれば新たな投資資金が流入すると指摘。「国債投資の復元が難しくなっている銀行でも収益が上がるなら資金を入れるだろうし、生保が大量に保有している外国債券を円債に戻す可能性は十分ある」との見方を示した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-10-10/SKPXG9T1UM0W00
・追記
(最近ではFRBが利下げしたにもかかわらず米10年債利回りは上昇している。それによって円安も進行していたが、直近の値動きを見ると円高方向に動いている。完全に憶測だが、これは日本の保険会社が米国債を売ってレパトリエーションを行っているからなのかもしれない。一部ではステルス介入なのではないかとも言われているが、恐らく財務省は関わっておらず、日銀が12月に利上げするという予想から民間が動いている可能性がある。「『利下げ開始も金利上昇』の謎を解く」という以下のリンク先の記事では、「『景気堅調下での利下げ』や、『トランプ氏の政策による景気刺激やインフレ圧力、財政赤字の拡大』が利回り上昇の背景と考えられているようです。」と書かれているが、個人的には日本側が関わっているのではないかと勘繰っている。2024/11/16)
「ミンスキー・モーメント」というのは、チューリップバブルとあまり変わらないような気がする。
結局は、吊り上げられた資産価格は金欠やその異常性から勝手に崩壊が始まることになる。
株価をPERなどでバブルなのかどうかを判断することは間違っている。
重要なのは取引規模と資産価格の上昇率であり、異常な通貨安になっている国では為替差益によって見かけ上の利益が改善し、1株当たり純利益が大きくなるため、株価が暴騰しても一見すると割安に見えてしまう罠がある。
(今は低金利政策、新たな参加者の増加、金利差、AIブームといった典型的なバブルの要素がある。いつもバブルは巨額の資金流入があった時に起きている。)
【参考】2024年10月31日の記事
われわれは、財政的に不可能であるという認識が突如として生まれる「ミンスキー・モーメント」をどこかで経験するだろう。
https://media.rakuten-sec.net/articles/-/46897
【参考】
ミンスキー・モーメント(ミンスキーの瞬間)とは、信用循環または景気循環において、投資家が投機によって生じた債務スパイラルによりキャッシュフロー問題を抱えるポイントである。このポイントにおいて、どのカウンターパーティー(金融取引参加者)も事前につけられた高い提示額に対して値をつけることができず、大きな株の投げ売りが始まる。その結果、市場決済資産価格の突然かつ急激な崩壊、市場流動性における急激な落ち込みが発生する。
ミンスキー・モーメントは、長い繁栄と借金による投機を促す投資価値の増大の後にやって来る。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ ミンスキー・モーメント
【参考】2022年6月3日の記事
ひとつの大きな問題は、円安で膨らんだ利益のかなりの割合が「見た目の利益」だということだ。今の日本企業の決算は「連結決算」が主体だ。海外の子会社がドルで稼いだ利益も、連結して決算する際は円に換算する。つまり、ドル建てでは利益が横ばいでも、円に換算した場合、大幅な増益になるという「マジック」が起きる。換算上利益が膨らんでいるだけで、実態は違う、という部分があるのだ。
https://president.jp/articles/-/58223?page=2
※「インフレには金融緩和を」の奇策を主張しているのはトルコだけではなく、日本にもいる。
https://www.smd-am.co.jp/market/daily/focus/2024/focus240110gl/
【参考】2024年8月9日の記事
日銀の内田真一副総裁は7日、内外の「金融資本市場が不安定な状況」に言及し、「当面、 金融緩和をしっかりと続ける必要がある」と発言した。このシグナルは、世界的な株安の不安への対応を意識した面もあると思われるが、リスクオンを後押しと市場は受け止めた。ヘッジファンドや他の「ファストマネー」が、円を資金調達手段とする新たなキャリートレードに押し寄せたとブルームバーグは伝えた。円は2%急落した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-08-08/SHVFAYT1UM0W00
※ 為替ヘッジをするにしても資金が潤沢でなければできないと言われている。確かに当然のことではあるが、実務をやっている者でなければなかなか気づかないことなのだろう。このまま円安が進行していけば輸入業者が潰れたり外資が撤退したりするようだが、実際はどうなるのか。
【参考】2024年11月4日の記事
私の友人に食料品の輸入企業をやっている人がいて、オリーブオイルやドライフルーツなどをトルコから輸入し日本で売っています。その友人が言うには「1ドル=170円か180円くらいになったら会社は破産」だそうです。
輸入業者はある意味「卸」みたいなもので、ただでさえ1パーセントとか2パーセントぐらいの利益率でやっている。小売りとメーカーの間に挟まれているので、そう簡単には値上げできないのです。
「そんなに為替変動が嫌ならヘッジすればいい」という人もいるかもしれない。でも、一輸入業者がわざわざ為替ヘッジに資金を回すのはナンセンスです。そこまで資金が潤沢ではないし、利益率も高くないですから。
不安定な為替相場が今後も続くと、いずれ輸入業者も値上げを迫られる。それも、為替の変動リスクを織り込んだ、大幅な値上げです。すると当然ながら小売りも値上げするので、最終的には国民の購買力が痛めつけられる。実際トルコではそうなりました。
だから、日本の金融当局にはとにかく為替相場を安定させてもらいたいと思うのですが、いまのところそのつもりはなさそうです。
https://gendai.media/articles/-/139947?page=2