アメリカでは特に製造業で仕事が減っており、雇用者もかなり解雇されている。

今のFRBは物価より雇用を重視していることから、このような労働市場の悪化は予想されているよりも利下げ幅が大きくなる可能性を示している。

日銀も徐々に利上げしていくことは規定路線であり、再来年には政策金利が1%1.25%ぐらいに上昇しているシナリオが恐らく最も現実的なのだろう。

現在のドル円の水準は様々な面から明らかに円安過ぎるし、日経平均株価はそれ以上に不自然な上昇をしており、かなり相場に歪みが生じている。

ファンダメンタルズから乖離すればするほど歪みが解消される際に為替や株価は大きく動いてしまうことになる。(地震発生のメカニズムにどことなく似ている)

来年、日米金利差が縮小していく中でドル円が150円〜160円になっているとは考えづらく、やはり120円〜130円ぐらいになっている可能性が高い。

今のようなドル高はアメリカ経済(特に輸出企業や海外で事業展開する企業)にマイナスの影響が大きいため、アメリカ政府やFRBもドル高を放置することはないように思える。

 

 

※ 国内主要10社の今期想定ドルレートは平均で142.6円となっているため、直近の値動きは、円安の恩恵を受ける企業と取引のある銀行がドル円を必死になって買い支えているのかもしれない。

 

【参考】2024年5月21日の記事

10社平均の今期想定ドルレートは142.6円と10円以上の円高となっている。計算にはユーロなどドル以外の通貨を含んでおらず、実際の増益効果はさらに大きくなる可能性もある。

この試算は、現在の円安が10社に代表される外貨建てでの稼ぎが多い大企業が享受する円換算での利益押し上げ効果の大きさを示している。一方、国内中心に展開する中小企業や家計は円安に伴う物価上昇などで打撃を受けており、輸出型の大企業からも国内事業環境の悪化を懸念する声が出ている。

https://shikiho.toyokeizai.net/news/0/755793

 

 

※今後、遅かれ早かれドル高の修正がされるようだが、歴史を見ると1ドル95円~100円ぐらいまで行ってしまう可能性もゼロでないようだ。

 

【参考】2022年9月21日の記事

実質実効ドル指数は、価格面からの企業の国際競争力を示していることを踏まえると、現在のドル高は米国の輸出企業の国際競争力を損ない、経済に打撃となる可能性が考えられる。それが明らかになった時点で、ドルの信認は揺らぎ、ドルが大幅に下落するリスクがあるだろう。

 

https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2022/fis/kiuchi/0921

 

 

 

【参考】2024829日の記事

最新の地区連銀調査で雇用の指標が米雇用市場へのリスクを浮き彫りにしたことで、米連邦準備制度は利下げにかじを切った。

  最近発表された5つの地区製造業報告の8月の指数はいずれも工場における雇用者数の減少を示し、サービス業の雇用者数の指標は軟化しつつある。労働時間の指標も低下している。

  これらの調査は、実際の雇用の変化というより業界のセンチメントを測るものだ。しかし、7月の雇用者数の伸びが期待外れだったことや、3月の雇用者数の大幅な下方修正を示す別のデータに続くこれらの調査結果は、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が政策決定者にとって最重要だとする労働市場の減速を示している

  製造業では、カンザスシティー連銀の指数が2020年半ば以来初めて3カ月連続で雇用者数の減少を示し、リッチモンド連銀の指数は新型コロナウイルスのパンデミック期を除けば09年以降で最も弱い。

  サービス業とその他の非製造業では、フィラデルフィア連銀地区のフルタイム雇用者数が今月、過去4年余りで最も大きく減少した。リッチモンド連銀の雇用指標は、20年以来初めて2カ月連続で縮小を示した。

  ダラス連銀の雇用指標は、3年にわたる落ち込みから安定化の兆しを示したものの、テキサスのサービス業雇用が過去2カ月に事実上停滞したことを示した。ニューヨーク州では8月に、年初来で初めて雇用者数が減少した。

  米国人自身も雇用機会が限られていることに気づいている。27日に発表されたコンファレンスボードのリポートによると、仕事を得るのが難しくなっていると答えた消費者の割合は今月、21年3月以来の高水準に達した。

  地区連銀調査によれば、工場労働者の労働時間も幅広く減少している。ニューヨークでは、製造業の労働時間は過去1年余りで最も大きく減少した。テキサス州、フィラデルフィア連銀とカンザスシティー連銀の調査対象地域でも、週労働時間の減少が長期化しており、人員削減のリスクが高まっている。

  カンザスシティー連銀の製造業調査によると、調査対象企業の約3分の1が24年末までに雇用者数を年初より減らすと回答した。

  コロラド州、カンザス州、ネブラスカ州、オクラホマ州、ワイオミング州、ミズーリ州西部とニューメキシコ州北部の一部を含む地域のある製造業者は「7月にすべてが反転した。注文に追いついたのと同時に仕事がなくなった。先週、時間給労働者の30%を解雇した」と述べた。

  同地域の別の企業は「業界の仕事は2035%減少しており、営業部門が苦戦している。従業員に十分な仕事を維持するのが難しくなっている 」と説明した。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-08-29/SIYYHXT0AFB400

 

2024年8月31日の記事

アメリカでは、いよいよ9月17~18日に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げが決定される見込みだ。焦点はすでに、利下げの有無ではなく、利下げ幅が25bps(0.25%)か50bps(0.50%)かに移っている。

8月28日時点のCME FedWatchツールによれば、25bpsの利下げ確率が65.5%、50bpsの利下げ確率が34.5%である。

FOMCは9月を含めて年内にあと3回開かれるが、その3回トータルでは100bpsの利下げがコンセンサスだ。つまり、毎回利下げが行われ、そのうちのどこかでは50bpsの利下げが想定される。現時点で景気後退に陥っているわけではないことを考えれば、これはかなりのハイペースだ。

さらにその後、来年末までには計225bpsの利下げが見込まれ、その通りになれば政策金利は現行の5.25~5.50%から3.00~3.25%にまで下がる

https://shikiho.toyokeizai.net/news/0/819047

 

【参考】2024612日の記事

ドル円レートが160/ドルを超えるような円安が進んだ場合、企業が投入コストを販売価格に転嫁する傾向を強める結果、インフレ率が押し上げられる度合いが非線形的に高まる。だが、実体経済に強さが見られない中で日銀が短期金利を引き上げれば、賃金・物価の循環的な上昇の芽を摘みかねない。

この点、長期金利は短期金利に比べて為替レートへの影響が大きい一方、実体経済への影響は小さい。

日銀は国債買入ペースの柔軟化または買入額の減額によって長期金利を上昇させることで、景気への悪影響を抑えながら円安圧力を緩和することが可能となる。すなわち、インフレ率の上振れリスクに効率的に対応できるということだ。

いずれのシナリオにおいても国債保有残高は減少するとはいえ、そのペースは比較的緩やかであり、日銀は引き続き大量の国債を保有し続けることになる。このため、「国債買入縮小要因」による当面の長期金利の上昇幅はいずれのシナリオにおいても限定的だ。

他方、長期金利の先行きを考える上では、短期金利の動向にも注意を払う必要がある。当社のメインシナリオでは、日銀は24年 10-12月期に短期金利を0.25%に引き上げ、25年以降は年0.50pt(年2回)のペースで追加利上げを行うと想定している(24年度末で0.25%、25年度末で0.75%、26年度末で1.25%)。緩やかなペースとはいえ、利上げが進むことで長期金利にかかる上昇圧力は徐々に強まる見込みだ。

https://www.dir.co.jp/report/research/economics/japan/20240612_024445.pdf

 

【参考】2024829日の記事

政策金利からインフレ率を差し引いた実質的な政策金利を大幅なマイナス圏に放置すれば、再び円安と輸入インフレを助長し、実質賃金の前年割れが消費の低迷を招く悪循環に逆戻りしかねない。「金融緩和の度合いを調整する」とは、実質政策金利をマイナス圏にとどめつつ、マイナス幅を徐々に縮めることであり、日銀は年内に追加利上げに踏み切る公算が大きい。年末に向けてドル/円は日米金利差の縮小により、徐々に上値を抑えられていく可能性が高い。

https://jp.reuters.com/markets/commodities/EDSKBCOQO5NUTPWW4X7ICPGPSY-2024-08-28/

 

【参考】2024821日の記事

バンガードとRBCルーベイ・アセット・マネジメントもナッシュ氏と同様の見方で、日本の金利がさらに上昇する可能性が高いとみている。対照的に、市場では年内の日銀追加利上げの観測が急速に後退している。

円相場予想がこれほど重要だったことはめったにない。円安を見込む巨額のポジションは、8月初めの円急伸で総崩れとなった。

日銀は金利を「ある時点で1%に引き上げるだろう。今後1年間に四半期に1回程度の利上げをするのではないか」と話すナッシュ氏は、利上げに伴い円が1ドル=130円程度まで上昇する余地があるとみている。

ナッシュ氏は、金利が上昇するとの自身の見方を反映させ、日本の10年国債に弱気のポジションを増やした。日本の30年国債には強気だ。

同氏はまた、円で借り入れて高利回りの資産に投資するキャリートレードの大部分が一掃されたとみている。米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、この取引の主要プレーヤーであるヘッジファンドは8月13日までの週に、21年以降で初めて円に対して強気に転じた。

「今や事態は変わったので、再びキャリートレードに飲み込まれることはないと思う。日本の政策は間違った位置にあるため、円相場が回復するのは理にかなっている」とナッシュ氏は語った。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-08-20/SIJGZ7T1UM0W00

 

【参考】20248月31日の記事

投機筋がドルに関して2月以来の弱気に転じた。米金融当局は9月に緩和サイクルを開始するとみられている。

米商品先物取引委員会(CFTC)が30日発表した27日終了週の建玉(未決済約定)報告によれば、投機筋のポジションは、ドルの買い越しから売り越しに転換した。ドル下落に賭けて投じられた資金は約98億ドル(約1兆4000億円)と、1月以来の最大となった。

投機筋のポジションが前回ドルの売り越しだったのは2月で、市場は当時、年内約6回の米利下げを織り込んでいた。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-08-30/SJ1QW6DWLU6800

 

2022年10月21日の記事

ある金融関係者は通貨安を次のように例えます。

「通貨価値はゴルフのハンディキャップに似ている。上手なゴルファーとうまくないゴルファーが一緒のホールで競い合うためのもの。世界経済というホールで一緒に戦うために通貨を安くしないとモノが輸出できないということだ。日本の今の円安はそれだけ安く、ハンディをつけないとモノが売れない、国の競争力低下のあらわれなのではないか」

いつかアメリカのインフレが落ち着き、景気が減速すればFRBは利下げに転じ、円高に向かうのではないかとの見方もありますが、根底に流れるものから目をそらさないようにしたいものです。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/international_news_navi/articles/qa/2022/10/21/26374.html