※一部訂正と追記をしました。

 

バークシャー・ハサウェイ傘下のナショナル・インデムニティが日本の商社株を最初に取得したのは2020年であり、その時の出資比率は約5%だった。

現時点では約8%取得しているため、大部分は2020年に取得している。

2020年当時のドル円は1ドル106円ぐらいだったが、今は157円まで円安が進行してしまっている。

これは4年間で約32%*も円が対ドルで下落していることになるのだから、一見するとバークシャー・ハサウェイ(ナショナル・インデムニティ)は巨額の為替差損を出しているように思える。

しかし、バークシャー・ハサウェイは円建ての社債を発行して資金を調達しているため、それは「円を借りること、円を売ること」になり、今後、円高にはならないと予想していることになるらしい。

ナショナル・インデムニティが日本の商社株を取得したのは、2020年、2022年、2023年だが、いずれも株式取得後に円安が進行している。

商社株はナショナル・インデムニティが最初に買った2020年以降、150~350%程度も上昇している。

つまり、バフェットは2020年の新型コロナウイルス騒ぎがあった頃に、日本の商社株の爆上げと異常円安のどちらも予想しており、結果として全て的中していたことになる。

 

* 円の対ドルでの騰落率は円ドルで計算することになり、1ドル106円なら0.009433、1ドル157円なら0.006369。

騰落率(%)={( 当日の終値 ÷ 前日の終値 )-1 }× 100 に当てはめると、-32.48%。

 

【参考】2024年4月12日の記事

 「ウォーレン・バフェットのバークシャーが日本の商社を買ったりしていますが、社債を円建てで発行している。ということは、為替がそんなに円高に振れないと彼は読んでるってことですよね」   

これに対してポールさんは、バフェットは公にそういう発言をしていないけれど、そういう考え方だと思うと答えた。   

バフェットは円の債券を発行して、それで日本のグローバル企業、主に商社を買っている。日本の商社が持っている資産は円より米ドルや外貨の方が大きいため、円を売って他の通貨を買っていることになるそう。   

もちろん商社という会社なので生産性の面もあるけれど、円で債券を発行するということは円を借りること、円を売ることであるため、バフェットは円高にならないと見ているという見方でいいようだ。   

為替はある程度動くものの、過去の100円、110円、120円といった円高はあり得ないとバフェットは見ていて、8回目の円債発行ということは、円高にならないという信念を強めていることに他ならないようだ。

バフェットの8回目の円債発行は、円高にならない自信を深めている証拠! 資源そのものより資源会社を買おう。バフェットは円を売って日本の商社を買っている - diamond.jp

 

 

・追記

以下の記事ではバークシャー・ハサウェイは「通貨の値動きは予測できないので、日本のポジションのほとんどを1.3兆円におよぶ社債で調達してきた」とあり、バークシャー・ハサウェイは円安に賭けているというわけではなく、単に為替リスクを避けるために円建て社債を発行していたような内容になっている。

しかし、それは「円を借りること、円を売ること」になり、後で「円を返すこと、円を買うこと」にもなるため、為替リスクがないわけではないようにも思える。

結局は借金をして日本株を買っていることに変わりはないのだし、「円を借りること、円を売ること」というのは円キャリートレードと同じことのようにも思える。

円建て債券で為替リスクがないというのは、その社債を買っている側であって、発行している側は償還する際に円を調達する必要があるのだから、その時に円高になっていると損をするらしい。

バークシャー・ハサウェイは日本の商社株を長期保有するようだから、株を売って償還資金を調達するのかどうか不明。

(海外企業の円建て債券については詳しいことは分からないため、またどこか間違っているかもしれない。為替ヘッジなどを利用していることも考えられるがこちらはよく分からない。)


【参考】2024年4月18日の記事  

米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる米投資会社、バークシャー・ハザウェイが18日、円建て社債の発行条件を決めた。3年債、5年債、6年債、7年債、10年債、20年債、30年債の7本で合計2633億円。円建て債の起債は2023年11月以来8回目。4月25日に発行する。 

3年債が1690億円と最も発行額が多く、利率は0.974%だった。次いで多いのは7年債の353億円で利率は1.457%。5年債は220億円で1.143%などとなっている。今回の合計発行額は23年11月の1220億円を上回り、19年9月(4300億円)以来の大きさとなる。 

バークシャーは今年2月に公表した恒例の「株主への手紙」で日本に言及する中で「通貨の値動きは予測できないので、日本のポジションのほとんどを1.3兆円におよぶ社債で調達してきた」と指摘している。
米バークシャー、円建て社債2633億円 3年債など7本 - 日本経済新聞

 

【参考】

・円建て債券

為替リスクがないので、決まった額での利金・償還金を受けることができる

https://info.monex.co.jp/bond/beginner/faq/qa02.html

 

 

・ドル円

https://www.google.com/finance/quote/USD-JPY?sa=X&ved=2ahUKEwiEjLm-09eGAxUcjq8BHcotH7YQmY0JegQIBxAw&window=5Y

 

https://www.google.com/finance/quote/8001:TYO?sa=X&ved=2ahUKEwi_ss6z9MWGAxVnha8BHbHdDEkQ3ecFegQIMBAh&comparison=TYO%3A8058%2CTYO%3A8031%2CTYO%3A8053%2CTYO%3A8002&window=5Y

 

【参考】

https://www.buffett-code.com/shareholder/8eba6bc448bdc573005cd1092afad63b

 

 

・追記

以下の動画のコメント欄には次のような投稿があり、海外企業が円建ての社債を発行して資金調達する場合、償還する時に円高になっていると円の調達コストが多くなるため、損をすることになるらしい。

バークシャー・ハサウェイは日本の商社株を長期保有する目的で買っているため、株を売って得た円で償還するのかどうかは分からない。

 

【参考】

「日本株を買った分は、その日本株を売れば円が戻るので、その円で償還すれば為替の影響はないです。しかし円キャリトレードの分は、最終的に円を買い戻すので、円高になると損をしますね。」

「円建債券は円を調達することなので、円高になると、その価値が上がって儲かるような気がしますが、償還時にはその円を買って返さないといけません。その時、円が上がっていると損をします。債券は発行側にとっては借金なので、保有し続ける、ということはできません。」

【バフェット】バークシャーまた円建債券1000億円発行へ!日本株を買うのか!- youtube.com

 

 

・追記

以下の参考記事では「円安が止まらなければ投資しても損になる」と書かれているが、バークシャー・ハサウェイの場合は円建てで社債を発行して資金調達し、その上で外貨を多く持つ日本の商社を買っているため、どうやら円安になる方が都合がいいらしい。

 

【参考】20221121日の記事

いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は、円安が止まらなければ投資しても損になるため、米国での金利上昇が終わり、円安も止まるとの観測が市場で広がる中、保有を増やす「タイミングはばっちり」だと指摘した。さらに、分散投資の観点から米国以外での投資を増やす意向があり、日本特有のバリュー株として買い増したのではないかと推察した。 

https://shikiho.toyokeizai.net/news/0/634399

 

 

・追記

商社と言えども、全てが順調というわけではなく、三井物産はロシア企業「ノバテク」などと共にLNGを採掘する事業「ロシア・アークティックLNG2プロジェクト」を進めているが、2023年11月にアメリカからそのプロジェクトが制裁の対象にされてしまっている。

それによって事業の停止や産出物が利用できなくなる可能性があり、今後、減損などの事態に陥るのかどうかが注目されている。

住友商事はマダガスカルでのニッケル採掘・精錬事業「アンバトビー・プロジェクト」でプラントの不具合が相次いぎ、減損を計上している。

この事業からは撤退する可能性もあるらしいが、まずは生産を正常化しないと売却もままならず、「われわれが望むような生産体制が整っていない。まずは通常の生産体制に戻すのが最優先事項。(住友商事社長)」という状況になっている。

商社は円安を望む!? 明暗分かれた5大商社の決算を斬る!【経済記者インサイト】(2024年5月24日) - youtube.com

 

 

 

 

 

円安の時に日本の株式や不動産に投資し、その後、円高になってくれれば外国人投資家は為替差益がある。

しかし、円安だと思って日本に投資したが、実際はその後もどんどん円安が進行してしまうと為替差損が出る。

この理屈を分かりやすい例で言えば、外国人観光客が1ドル100円の時に日本に来ると1ドルを100円に両替することができるが、1ドル150円の時に日本に来ると1ドルを150円に両替することができるため、円安で50%も多く日本円を得ることができる。

一方、日本人観光客が1ドル100円の時にアメリカに行くと100円を1ドルに両替することができるが、1ドル150円の時にアメリカに行くと150円が1ドルにしかならないため、円安で50%も多くコスト(日本円)が掛かることになる。

外国人投資家が日本で株式や不動産に投資した後で円安になってしまうと、自国に利益を戻す際に為替差損が出てしまうため、円安が止まらなくなれば外国人投資家は日本市場から誰もいなくなってしまうことになる。

 

(・追記 実際には為替ヘッジを利用することで為替の変動による損を避けることができるらしい。為替変動リスクを避ける戦略を取っている外国人投資家は日本株が上昇する分だけ円売り為替ヘッジをする必要があるため、日本株が上がれば上がるほど円安が進行していくと言われている。つまり、多くの日本人にとって日本株の上昇は都合のいいことではないようだ。)

https://moneyworld.jp/news/05_00101027_news

 

さらに、日本円の価値がどんどん下がっていくことは当然、日本人にとっても不都合なのだから、日本人富裕層は日本円を売って外貨を獲得し、通貨が下落していない金利の高い国で預金したり株式や不動産などを買ったりすることになる。

1980年代はプラザ合意などによる影響で急激な円高・ドル安が進行していたため、アメリカの国債などに投資していた日本人投資家は為替差損が生じ、アメリカ市場から撤退したことがあった。

今、日本で起きていることはその逆のことなのかもしれない。

現時点では外資の撤退はまだ起きていないようだが、これからそれが始まる可能性が考えられる。(既に巨額の為替差損が生じているはずだが、メディアや政治家や一部の経済学者はただ単に円安は日本経済にプラスだと主張し続けている。)

 

【参考】2023年6月12日の記事

33年ぶり高値で盛り上がる日本株への投資にも海外勢は為替ヘッジを利用しているようだ。財務省のデータでは4月と5月の2カ月間で計7兆7000億円あまりを買い越した。海外投資家が日本株を買ったとしても円安・ドル高が進めば、ドル建てでみると利益が目減りしてしまうため、為替ヘッジをすれば為替の面での損を避けられる

ドルの保有者からみた円の調達コストが安いことも日本株投資を促す。シティグループ証券の高島修氏は6日付のリポートで、海外勢の日本株投資に関し「一部は円調達されていると考えられ、ドル資金を使った投資でも為替ヘッジ付きのものが相応にある」と分析する。

為替の影響を中立にする戦略を取っている海外勢は日本株が値上がりした分だけ新たに円売りの為替ヘッジを積み増す必要があり、株高・円安の同時進行につながっている円資金の調達環境が魅力的なうちは、海外勢による日本市場の見直しも続きそうだ。

https://moneyworld.jp/news/05_00101027_news

 

【参考】

1米ドル=100円のときに円を米ドルに替えて外貨預金に預け入れ、1米ドル=105円のときに円に戻して引き出すと、お金が1米ドルあたり5円増えます。このように、為替レートの変動で増えたお金を為替差益といいます(ただし、換金する際は為替手数料・税金を考慮する必要があります)。

1米ドル=100円のときに外貨預金を預け入れ、1米ドル=95円のときに円に戻して引き出すと、お金が1米ドルあたり5円減ります。為替レートの変動で減ったお金を為替差損といいます(換金する際は為替手数料も考慮する必要があります)。

外貨預金で円安になったら、円高になったら、どうなる? - 三菱UFJ銀行

 

【参考】

ドル円レートが110円の時に手持ちの100ドルを日本円に両替すると11000円になります。円高で100円になると手持ちは10000円に目減りします。外国人観光客の使うお金は同じ100ドルでも、使えるお金は減ってしまいます。おのずと日本に落とされるお金も減ることになります。

円安でドル円レートが110円から120円になると、訪日外国人観光客の手持ちの100ドルは12000円になり1000円増えます。その分、土産店や飲食店の売り上げも増えます。外国人観光客の中には、円安のチャンスを活かしてより多くの買い物をする人もいるでしょう。

円安は外国人観光客にとってはメリット、そのワケは - weblio英会話

 

 

自国通貨安政策というのは一種の麻薬のようなものなのだろう。

それをやれば確かに一部の業種で業績が改善するが、実力が上がってそうなるのではなく、為替差益でそうなるだけなのだから、何もせずとも楽して儲かることになる。

しかし、いつまでもそれ(通貨が下落し続ける状態)を続ければ結局は誰も得はしない。(外国人観光客や強い外貨を持つ者を除く)

自国通貨安が続くことは海外資本の撤退、キャピタルフライト、海外からの労働者の減少などが起きるだけではなく、自国から労働者が流出することにも繋がる。

実際、日本の若年層が海外に出て行って現地で働き、現地から日本に送金することで大きい収入を得るという動きが始まっている。

自民党は株価のことばかり喧伝しているが、自民党がやっていることは国力の衰退になることばかりだということに本人たちは気づいていない。

自国通貨安が続いて喜ぶのは外国人観光客ぐらいであり、万が一、これから1ドル200円ぐらいにまで円が暴落してしまったら外貨を持つ外国人観光客は王侯貴族のように日本で遊ぶことができるが、日本人や日本に投資している外国人投資家は大変なことになってしまう。

(・追記 株式に関しては為替ヘッジによって損失を避けることができる。)

 

【参考】2024年5月27日の記事

「日本円のトルコリラ化」の続きを申し上げると、トルコリラ安が続くなか、外国資本の大半がトルコ株から撤退しました。だから、いまのトルコ株はトルコ人が買っているだけです。

日本の場合も、今後も円安政策を続ける、あるいは加速させるならば、外国から日本に資本が来なくなります。 なおかつ日本人の資本が外国に逃げます。ただ置いておくだけで2115兆円の資本が目減りするのなら、少なくともドルを買うでしょう。もしくはドル建て資産になる債券や株を買う。 ただ、ここで老婆心ながら申し上げておきたいのは、外貨を買うことは基本的に投資ではないということです。

米ドルは米ドルでインフレリスクを常に抱えていますし、米国における財政問題も深刻です。外貨に換えて、外貨で何かに投資をするのであればいいのです。これならば、私は賛成します。 その一方で、岸田政権の目も当てられない支持率を見ると、もう間もなく政権交代がなされ、円安放置が無くなる可能性もあります。外貨への投資をするには、このようなことも見込んでおく必要があるのです。

無力の中小企業を苦しめ、借金だらけの大企業を助けている…異常な円安を日銀が放置する「隠れた目的」 - president online

 

【参考】2023年6月30日の記事

ポールさんが泊っているホテルに、オガワさんという方が2018年に旅行した際の体験記が、『地球の歩き方』という本に書かれていて、それを見ると、2018年の物価はなんと、今の10分の1未満だったそう。それだけモノの値段が上がっていることをポールさんは実感して、木村さんも「えーっ!」と悲鳴を上げていた。

そして、ポールさんがバザールに行くと、3種類の店がほとんどだったそう。3種類の店というのは、バッグの店、金と宝石の店、ビットコインの店で、ハイパーインフレでも価値を保つモノを、トルコ人は好むのかなとポールさんは分析していた。

また、トルコリラは、米ドルを持っている人にとって特に安く、ユーロを持っている人にとっても安いとポールさん。そういった旅行者は、トルコの物価の安さを感じていて、買い物をするときも値段をそんなに見なくていいくらいだそうだ。

そして、それは米ドル/円が144円まで上昇した日本にも、同じことが言えるとポールさんは指摘した。

トルコの人がトルコの株とトルコの通貨しか持っていなかったら、大変なことになるというポールさんの意見に、渡部さんも深く納得。同じことが日本に起きてもおかしくはなく、日本は金利を引き上げることに企業や社会が耐えられるかは未知数で、そうなると通貨がもっと安くなるかもしれないとポールさん。その対策としては分散投資しかないと結論付けた。

経済番組にトルコから生電話出演! トルコの通貨安や ハイパーインフレは、少し形が違うものの、日本にも当てはまる。その対策は分散投資しかない! - diamond.jp

 

【参考】

金融市場では、急激な円高により、米国債券などに投資していた資金に為替差損が発生した。その結果、運用資金は為替リスクのない、国内市場に向けられた。

バブル景気|証券用語解説集|野村證券 (nomura.co.jp)

 

【参考】202421日の記事

外国人投資家は日本株の約3割の株式を保有し、東証の売買代金の67割を占めています。日本株式市場の動向は外国人投資家次第であるといっても過言ではありません。

〈好調は続くのか?〉手綱を握る外国人投資家から見えてきた「日本株の見通し」【株式ストラテジストが解説】 - The Gold Online

 

【参考】

中流階級の人々は、手持ちの宝飾品や書籍などを売却して当座の資金を得て生活する一方、インフレーションで大もうけした人やマルクの下落で手持ちの外貨の価値が増大した外国人がこうした物品を買いあさっていった。外国人は、月に100ドルもあれば王侯貴族の生活をした上に、美術や骨董品を好きなだけ買うことができた。手持ち品を売っても生きていくことのできない人は、盗みや麻薬の密売などの犯罪に手を染めるほかなかった。一方で現実生活の地獄から目をそらすため、ベルリンの繁華街などはダンス、ジャズ、ヌードショーなどの娯楽で溢れかえっていた。
ヴァイマル共和政のハイパーインフレーション - wikipedia

 

【参考】2024年5月12日の記事

外国人旅行客が増えたのは、円安のためだ。

来日外国人旅行客数は、2007年から12年までは年間800万人台だったが、2013年に急増して1000万人を超え、2019年には3188万人となった。

これは、日本の観光地の価値が急に高まったためではない。外国人にとって日本での旅行や買い物が安くなったために起きたのだ。それは、2013年に大規模金融緩和が導入されて、円安が進んだから生じた。

2023年からも急激な円安が進んだ。その結果、ドル円レートは、2019年の1ドル=110円程度から、2024年4月の155円まで円安になった。このおかげで、外国人は、2019年当時より、4割程度豊かになった。このため、前項で述べたように、2024年に外国人旅行客が急増したのだ。

超円安で激増する観光公害の悪夢~外国人観光客の洪水に押しつぶされ日本人の生活はどうなってしまうのか - 現代ビジネス

 

 

・追記

今後、アメリカが利下げをして、日本が利上げをすることで日米金利差が縮小してもあまり円高にはならないのではないかという予想も出ている。

 

【参考】2024年1月11日の記事

1990年代に、日本経済は弱かったです。日本国債(1年もの)の金利は1990年初めは7%台でしたが、そこからゼロ金利に近づいていきました。一方、この時の米国債(1年もの)の金利は5.5%ほどでした。日米の金利差はゼロ近くだったところから、約5%米国の方が高い状態になりました。

米国の方が約5%も高い金利差から考えると、本当は米ドル高・円安になるはずですが、1995年には1ドル=80円近辺までの米ドル安・円高になりました。

この例を見ると、為替は金利差だけによって動くものではないことがわかります。今回も金利差が縮んだからといって、必ず円高に戻るわけでもないと言えます。物価の要素や他の要素もあります。

確度が高いとまでは言えない予想にはなりますが、私は日米金利差が縮んでも、少しの円高に止まるのではないかと思っています。

7日間JR乗り放題のパスで日本を旅行した実感。 日本の物価は統計上の数値以上に上がっている。 物価で調整され、為替は意外と円高にならないとみる - diamond.jp

 

 

 

※結局、政府・日銀による円安政策によって一部の企業は利益を増やしたが、国全体としてはマイナスの方が大きいのだろう。日本企業も欧米と同様に便乗値上げをし続け、多くの国民が苦しむ一方で一部の大企業だけが利益を享受している。

 

【参考】2024年6月13日の記事

長引く物価高は、企業による必要以上の値上げが要因との見方が出ている。企業がコスト増加分を上回る値上げで収益を拡大させた一方、賃金に十分還元していないとして、欧米で「強欲インフレ」と呼ばれた現象だ。物価上昇の内容を分析した専門家によると、日本も同様の状況に陥りつつある。(大島宏一郎)

5月末の金曜日、スーツ姿の人が行き交うJR新橋駅前のSL広場。「食品は値上がりしたが、給料は上がっていない。景気は悪いと感じる」(東京都千代田区の30代会社員女性)、「スーパーで買うお菓子の容量や個数が減った」(港区の60代会社員男性)。働く人たちは物価高の厳しさに口をそろえた。連合総研の4月調査で、賃金が物価より上がったと答えた働き手はわずか6%台だ。

これに対しSMBC日興証券の集計によると、東証株価指数(TOPIX)に採用される上場企業の2024年3月期決算は、最終的なもうけを示す純利益の合計額が計48兆円余り。3年連続で過去最高益を更新する見通しとなった。

日本のGDPデフレーターは22年10~12月期から1年、上昇傾向が続いている。日本政策投資銀行の和田耕治氏が上昇要因を分析したところ、そのほとんどを企業収益の伸びが占め、賃上げに回った分はわずかだった。和田氏は3月のリポートで「賃金上昇が伴わない強欲インフレ型の物価上昇が続けば、消費を通じて景気を下押しする可能性がある」と指摘した。

元日銀理事でみずほリサーチ&テクノロジーズのエグゼクティブエコノミストの門間一夫氏もGDPデフレーターの上昇要因を分析し、23年の物価高を「企業は値上げで増やした収益を懐に入れ、賃金の方にはあまり波及しなかった」と指摘。物価高に賃上げが追いつかず「物価だけが上がるバランスの悪い状況になった」という。

もうけを賃上げに回さず会社が丸取り…「強欲インフレ」が日本を覆う - 東京新聞