よく「バークシャー・ハサウェイが日本の商社株を買った」と報じられているが、実際にはその子会社のナショナル・インデムニティというアメリカの損害保険会社が買っているため、バークシャー・ハサウェイのポートフォリオにはその商社株は入っていない。
ナショナル・インデムニティのポートフォリオには入っている。
そのため、大量保有報告書にも「バークシャー・ハサウェイ」ではなく、「National Indemnity Company」という名前で載っている。
【参考】
https://jp.investing.com/pro/ideas/warren-buffett
【参考】
https://www.buffett-code.com/shareholder/8eba6bc448bdc573005cd1092afad63b
【参考】
・伊藤忠商事
http://www.kabupro.jp/code/8001.htm
https://www.ullet.com/8001.html
・丸紅
http://www.kabupro.jp/code/8002.htm
https://www.ullet.com/8002.html
・三菱商事
http://www.kabupro.jp/code/8058.htm
https://www.ullet.com/8058.html
・三井物産
http://www.kabupro.jp/code/8031.htm
https://www.ullet.com/8031.html
・住友商事
http://www.kabupro.jp/code/8053.htm
https://www.ullet.com/8053.html
「株価次第では各社につき最大9.9%まで出資比率を高める可能性がある」とのことであり、現在は株価が高騰しているため、さすがにこの水準で買い増ししていない。
最後に買ったのは去年の6月だった。
逆に言えば、株価が大きく下落すれば出資比率が9.9%になるまで買い増すということでもあるのだろう。
バフェットが株価を吊り上げたのではなく、バフェットが買ったという理由で投資家が殺到していたらしい。(まず外国人投資家が買って、その後で国内個人投資家が買ったようだ)
ブラックロックの場合はブラックロックジャパンという日本法人があるが、ナショナル・インデムニティはバークシャー・ハサウェイの日本法人というわけではなく、その子会社であり、社長はドナルド・F・ウースターという人物。
メディアはその子会社のことを「バークシャー」とか「バフェット」という言い方をしている。
本来であれば、「ドナルド・F・ウースターが買った」と言うべきなのかもしれない。
しかし、この人物は自らを「私はおそらく、私が知る限り最も社交的でない人間であり、変わる気もない (「非社交的」の定義はほぼこれだろう)」と述べており、あまり表に出たくない人柄らしい。
それに加えて、バフェットという名前を使った方がブランド力があるため、株価にもプラスになるという思惑もあってバフェット自身が来日したというのもあるのだろう。
https://www.linkedin.com/in/donald-wurster-b7073a55?original_referer=https%3A%2F%2Fwww.google.com%2F
【参考】
national indemnity company - google
去年の5~6月に日経平均株価が暴騰していたのは、もしかするとこれが原因だったのかもしれない。
結局、「日銀が買っている」とか「バフェットが買っている」といった情報が流れると、それを材料視した投資家が殺到することで株価を暴騰させている。
そのような銘柄は短期間で異常な上昇率になるが、恐らく利益確定の動きが本格化するときも異常な動きになる。
(バフェットは長期投資目的で買っているが、日本の商社株を買っている投資家の全てが必ずしも長期投資家というわけではない。)
熱しやすい銘柄は冷めやすいように思える。
AI関連銘柄などがその典型例であり、その熱狂は近いうちに冷める動きが出るはず。
特にNVIDIAの場合、いくらなんでも過熱し過ぎている。
バフェットによる日本の商社株取得は、一部では「バフェットらしくない」と言われているが、「バフェットが五大商社を投資対象として選んだ一番の理由は『日本』ではない。対象となったのはグローバルに持っている事業ポートフォリオだ。」とstrainerの記事にある。
どうやら、バフェットは日本に興味があるのではなく、日本の商社が持つポートフォリオ(資産構成)に興味があったようだ。
【参考】2020年08月31日の記事
具体的な意思決定を誰が行ったかは分からないが、規模の大きさ、コメントの様子からバフェット自身も関わった本気の投資でありそうだ。もっとも、後述するように今回の投資は「バフェットらしくない」部分もある。
バフェットが五大商社を投資対象として選んだ一番の理由は「日本」ではない。対象となったのはグローバルに持っている事業ポートフォリオだ。
https://strainer.jp/notes/1704
【参考】2023年6月19日の記事
バークシャー・ハサウェイ (BRK.A.US)(米ネブラスカ州オマハ)傘下の米保険会社ナショナル・インデムニティは、日本の商社5社への出資比率を8.5%超に引き上げるという。 商社5社とは伊藤忠商事 (8001.JP)、丸紅 (8002.JP)、三菱商事 (8058.JP)、三井物産 (8031.JP)、住友商事 (8053.JP)である。バークシャー・ハサウェイが日本で公開株式を保有する企業はこれら5社だけであり、米国外では最大規模の投資先となっている。同社は長期的な投資方針を維持し、株価次第では各社につき最大9.9%まで出資比率を高める可能性があるとしている。ただし9.9%以上になる場合は各社の取締役会の承認が必要となる。
https://www.moomoo.com/ja/news/post/24188557?level=1&data_ticket=1717634000510525
1年半ぐらい前の記事にバフェットが日本の商社株を買い増したことについて、「タイミングはばっちり」と書かれているが、実際はそれから円安が進行しているため、為替差損が出ていることになる。
しかし、商社株はずっと上昇していたため、株価の上昇分を加味すれば恐らくマイナスにはなっていないのだろう。
・追記
バークシャー・ハサウェイは円建ての社債を発行して資金調達しているため、円安ではなく、円高になると都合が悪くなるらしい。
バフェットの8回目の円債発行は、円高にならない自信を深めている証拠! 資源そのものより資源会社を買おう。バフェットは円を売って日本の商社を買っている - diamond.jp
【参考】
【参考】2022年11月21日の記事
世界的投資家のウォーレン・バフェット氏率いる米投資・保険会社バークシャー・ハサウェイの完全子会社、ナショナル・インデムニティー・カンパニーによる日本の5大商社株の保有比率が上昇したことが分かった。
21日に関東財務局に提出された変更報告書によると、ナショナル・インデムニティーの保有比率が増えたのは、総合商社の三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、丸紅、住友商事。報告義務発生はいずれも14日。2020年8月末の開示資料と比べ保有比率の上昇が最も大きかったのは丸紅の1.7ポイント、最も少ないのは伊藤忠の1.2ポイントだった。
ブルームバーグは、ナショナル・インデムニティーに電話と電子メールでコメントを求めたが、現時点では回答を得られていない。
バフェット氏は約2年前、バークシャーが約1年間かけて日本の5大商社株を5%超取得したことを明らかにした上で、長期保有を意図しているとして保有率を最大9.9%に引き上げる可能性を示唆していた。今回は、為替の円安進行や資源価格の高騰などにより、商社各社の業績が足元で好調に推移している中での保有比率の引き上げとなった。
いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は、円安が止まらなければ投資しても損になるため、米国での金利上昇が終わり、円安も止まるとの観測が市場で広がる中、保有を増やす「タイミングはばっちり」だと指摘した。さらに、分散投資の観点から米国以外での投資を増やす意向があり、日本特有のバリュー株として買い増したのではないかと推察した。
バークシャーによる買い増しが21日の日本株市場に伝わった後、商社各社の株価は三菱商が一時前週末比3.6%高、丸紅は一時3.4%高、住友商事は一時2.2%高、伊藤忠商事は一時1.9%高、三井物産は一時1.8%高となった。
https://shikiho.toyokeizai.net/news/0/634399
※「バークシャー日本法人」と検索をかけると株式会社バークシャーが出てくるが、これはバークシャー・ハサウェイとは全く無関係の会社らしい。
バークシャー・ハサウェイのことを単に「バークシャー」と書かれている記事をよく見かけるが、バークシャーとバークシャー・ハサウェイは違う会社であるため、気を付けた方がいいようだ。