※一部、内容の変更と追記をしました。(2024/02/20)

 

 

恐らく、来月辺りから株価は下落する。
去年から日本株で起きていたことは先物主導だけで暴騰させたのではなく、指数寄与度の高い銘柄への資金集中もあって相乗効果を発揮するような形で暴騰が続いていたように思える。
この異常な強気相場に釣られて一緒になって買っていた人たちに溜まったロングポジションをぶつけてこの相場はまるで仕手株のように終わるのだろう。
この相場を作ってきた者達は恐らく1年ぐらいかけてそれを処分する予定なのだろうが、その間にもし何らかのショックがあった場合、彼らもそれに巻き込まれて大変な損失を出すことになる。
それだけ彼らがやってきたことはリスク許容度の高いやり方だった。
相場というのはあらゆる出来事が影響するのだから誰かが完全に相場を支配することなどできるわけではなく、時期や状況を無視してやり過ぎてしまったことのツケを払うことになりそうだ。
株式というのはリスク資産なのだから、長期で見れば絶対上がるといった神話を信じて利益確定しないでいると、含み益を全て失い、大きい含み損に転落することもよくある。

アメリカ企業時価総額ランキング1位のマイクロソフトも2022年は暴落でもないのにかなりの下落幅があった。

(2021年11月から2022年11月までの1年間で約38%の下落。349.67→213.43)

コロナショック時には約30%の急落もあった。(190.70→132.52)

今となってはあまり参考にならないが、リーマンショックの頃は約60%の暴落をしている。(37.5→14.87)

https://us.kabutan.jp/stocks/MSFT/chart

 

(コロナショック直前の2020年のマイクロソフトの株価は185ドルぐらいだった。マイクロソフトの株価はたった4年で2倍以上になった。)

花形であっても今後、長期低迷するリスクはある。

世界最大の時価総額であり超優良企業のマイクロソフトであっても、全く下げずに上昇が続いてきたわけではない。

米国株 アメリカ企業時価総額上位ランキング - 日本経済新聞 (nikkei.com)


16日の相場を見ても、日経平均株価は史上最高値付近で強い売りが出ていたことで結局は史上最高値を更新することはできず、いくらか下落してしまっている。(2度チャレンジしたが2回とも跳ね返されている)
強気相場の中でこれは非常に良くないことであり、お祭り騒ぎをしている個人に機関投資家が露骨に売りを浴びせて逃げているようにしか見えない。

実際、売買動向を見てもこのところ個人は信用買いをし続けているが機関投資家は売り続けている。
「日経平均株価が史上最高値を更新するのは確実」「これはバブルではなく史上最高値を更新する可能性が高い」「4万は通過点」「日本株は割安」「円安だから株高は当然」「始まる、業績相場」「ハイパーインフレで日経7万」といったデマの類を信じてしまった人たちがその餌食になり、信用取引で無理して買っていた個人に機関投資家はロングポジションをぶつけ続け、まさしく「ババ抜きよろしく強者から弱者の手へ、プロから一般投資家の手へと押し付けられるのである。」(ジェシー・リバモア)の再現となっている。


個人的には1月~2月までの動きでまさかここまで暴騰するとは思っていなかったために驚かされたが、このまま全く下げずにこのペースを維持し、暴騰し続けるとは思えず、やはり近日中に下げ始めるように思える。

しかし、仮に日経平均株価が一気に8000円ぐらい暴落したとしてもまだ3万円台を維持でき、その辺りでまた一旦噴き上がる可能性があるため、何もイレギュラーな出来事が起きなければクラッシュするほどの大惨事にはならないのだろう。
3万円ぐらいであれば約4か月分の上昇を帳消しにするぐらいの水準に過ぎない。(2023年10月は30,500円ぐらいだったため、約4か月で8000円ぐらい暴騰していた。)
しかし、そのイレギュラーな出来事やショッキングな出来事がいつ起きてもおかしくない状況とも言える。
もし、メジャーSQ(3/8)、NVIDIAの決算(2/21)、何らかの有事、金融危機、等のいずれかがきっかけで暴落が始まった場合、日経平均株価が3万円ぐらいになった時にリバウンドがあったとしても、またすぐに逃げ惑う人々によって下がり始め、歴史的高値の水準を維持できなくなるのかもしれない。

今の相場はイレギュラーな出来事や悪材料をあまりにも無視し過ぎている。
去年の5月、6月の動きまでならまだしも、今年の1月、2月の暴騰はさすがにやり過ぎだった。

 

【参考】2024年02月16日の記事

■投資部門別売買代金差額 (2月5日~9日)
東証・名証2市場の内国普通株式市場の合計

[総合証券ベース(全51社)]
※単位:億円(億円未満切り捨て) ▲は売り越し

※「信託銀行」は年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)など年金基金の売買動向を映すとされる部門。「個人・現金」は個人投資家による現物取引の売買動向、「個人・信用」は個人投資家による信用取引の売買動向。
※日銀が金融緩和策の一環として実施しているETF(上場投資信託)の買い入れは、ETFを組成する証券会社の自己売買部門を通じて買い入れているとみられる。

 

 

【参考】2024年2月16日の記事

[ニューヨーク 15日 ロイター] - 米株式オプション市場は、半導体大手エヌビディア(NVDA.O)の株価が21日の四半期決算発表後に極めて大きく動くと想定している。時価総額が14日にアルファベット(GOOGL.O)を抜いて米企業として第3位に浮上したエヌビディアの株価が大幅に振れれば、株式市場全体に影響を及ぼしそうだ。

オプション分析を手掛けるORATSのデータに基づくと、市場が織り込むエヌビディア株の決算発表後の変動率は上下いずれかの方向に11%程度。ORATSの創業者、マット・アンバーソン氏の話では、これはエヌビディアの決算発表前の値動きの織り込みとしては過去3年では最大で、この期間における決算発表後の実際の平均的な変動率の6.7%を大きく上回っている。 

エヌビディアは株価が年初来で約50%上昇。時価総額は1兆8000億ドルで、11%は約2000億ドルに相当する。これは時価総額とすればS&P総合500種(.SPX)構成企業の約9割を上回り、半導体大手インテル(INTC.O)よりも大きい。

 

 

※NVIDIAの株価は2023年から急激に上昇しているが、長期では一見すると異常な水準であるようには見えない。しかし、会社の規模やこれまでの業績を見るとかなりの割高感が出ている。中国への半導体規制によって「中国のバイヤーが台湾やシンガポールで、RTX 4090を大量購入」していたり、H100という非常に高価なGPU製品(USドルで3万ドルぐらい、日本円で600万円ぐらい)がAI特需で飛ぶように売れていることで、今月のNVIDIAの決算内容はとてつもなく素晴らしい好業績になることは既に知られており、業績見通しも良い内容のはずであるため、株価にもそれが大体は織り込まれている。決算発表でサプライズ性がないのであれば一度下げに転じるのが普通の動きなのだろう。今はお祭り騒ぎをしているように思えるため、サプライズ性がなくても好決算を受けてさらに上昇となる可能性もあり得る。NVIDIAは最近の強気相場のけん引役だったため、NVIDIAが下落に転じれば相場全体が調整局面に入ることが予想される。

 

【参考】

 

NVDA $726.13(▼0.062%)NVIDIA | Google Finance

 

 

※現在、NVIDIAの時価総額(企業価値)はAlphabetやAmazonよりも上になっているがそれらの巨大企業に匹敵するような業績になるのかどうかが注目されている。

 

【参考】2/16時点

・NVIDIA

PER 417倍 PBR 81.1倍 利回り 0.02%

エヌビディア (NVIDIA Corporation)【NVDA】の業績・財務推移 - 株探(かぶたん)|米国株 (kabutan.jp)

 

・Alphabet

PER 24.2倍 PBR 6.17倍

アルファベットA (Alphabet Inc. A)【GOOGL】の業績・財務推移 - 株探(かぶたん)|米国株 (kabutan.jp)

 

・Amazon

PER 58.5倍 PBR 8.72倍

アマゾン・ドット・コム (Amazon.com, Inc.)【AMZN】の業績・財務推移 - 株探(かぶたん)|米国株 (kabutan.jp)

 

 

 

※ 今起きていることは、恐らく下記の参考記事と逆のことであり、これまでは先物取引で巨大な(現物の)ロングポジションを構築してきたが、「先物のポジションはいずれ解消される」ため、遅かれ早かれ先物で上昇させてきた分に関してはその何割かは下落するということなのだろう。

 

【参考】2018年12月19日の記事

海外勢の巨額な先物と現物の売りが需給の歪みと株安の主因、ただ急反発のエネルギーは蓄積

なお、ネット裁定残高は一般に5億株を下回ると株価の底入れは近いと解釈されますが、12月14日時点では1億株を下回り、9,144万株まで減少しています。背景には、海外投資家による先物売りがあるとみられ、実際、海外投資家は年初から12月第1週(12月3日~12月7日)まで、先物(日経225先物、日経225mini、TOPIX先物、ミニTOPIX先物、JPX日経400先物の合計)を6兆7,741億円売り越しています。なお、現物市場では、裁定取引解消に伴い、この相当額の売りが出たことになります。

更に海外投資家は現物(東京・名古屋2市場、1部、2部と新興市場の合計)も年初から12月第1週まで5兆1,991億円売り越しており、すでに2008年の年間売り越し額3兆7,085億円を大きく上回っています。日本株低迷の理由は、この極端な需給の歪みにあると推測されます。なお、データを取得できる1991年12月13日以降、ネット裁定残高がマイナスとなったのは2回ありますが、その後、いずれも日本株は急騰しました。先物のポジションはいずれ解消されるため、足元では株価急反発のエネルギーが蓄積されつつあります。

 

 

【参考】

裁定残(金額)

 

裁定残(株数)

・裁定買い残高は裁定取引との絡みで売買される未決済の現物株

・裁定買い残高の変化には海外投資家による投機的な先物買いの動向が現れる

海外投資家による買いで日経平均の上昇と裁定買い残高の増加が生じる

・裁定買い残高の動向から海外投資家の先物買いがどこまで膨らんでいるか確認できる

裁定取引残高の推移 (karauri.net)

 

 

 

※ いつも日経先物を噴き上げ続けているのは主にABNクリアリン証券(オランダ)とソシエテジェネラル証券(フランス)なのだろう。最近はJPモルガン証券(アメリカ)もそれなりに取引高が多い。サスケハナ・ホンコン(中国)とバークレイズ証券(イギリス)とBNPパリバ証券(フランス)もそこそこ多い。SBI証券や楽天証券などの日本勢もそこそこ多い。しかしそれらは証券会社の名前であって、その証券口座に入っているカネが誰のものなのかについては分からない。

 

【参考】

◯2024年3月限(特別清算日:3月15日)
               取引高( 立会内)
ABNクリアリン証券       17259(  16980)
ソシエテジェネラル証券    6567(  6552)
JPモルガン証券        3365(  3245)
サスケハナ・ホンコン     1540(  1540)
SBI証券            2412(  1308)
バークレイズ証券       1278(  1268)
楽天証券           1233(  1233)
松井証券            721(   721)
日産証券            628(   628)
ビーオブエー証券        466(   466)
auカブコム証券         385(   385)
マネックス証券         359(   359)
シティグループ証券       352(   352)
モルガンMUFG証券        348(   348)
ゴールドマン証券        877(   333)
野村証券            469(   257)
UBS証券             221(   221)
インタラクティブ証券      170(   170)
みずほ証券           155(   143)
HSBC証券            68(   68)
BNPパリバ証券         1070(    0)
東海東京証券          88(    0)
SMBC日興証券           8(    0)

 

 

 

・追記(2024/02/20)

先物取引の場合、とても分かりづらいことがあり、それは先物を買うと先物のロングポジションが構築されるのではなく、「先物売り・現物買い」のポジションを組むことになり、先物を買い続けると現物のロングポジションが溜まり続けることになるらしい。

なぜそのようなことをするのかというと、先物を大量に買うことで先物が上昇し、先物の理論価格との差が開いてしまうため、その差を無くして同じ価格にするために差が開いた直後、「先物売り・現物買い」が自動的に入っているようだ。

つまり、先物を買うと「先物売り・現物買い」の未決済ポジションという扱いになり、いずれ現物株が売られることになる。

先物で裁定買い残が増えると株価指数が上昇し、将来的な現物株の売り圧力が高まる。

 

【参考】

現物の日経平均に金利負担などを加味してはじき出した先物の理論価格を、実際に市場で取引されている先物価格と比べる。先物価格が理論値より高ければ先物を売って現物を買い、安ければ先物を買って現物を売る。

裁定取引は、現物株を大量に売買するため相場に大きな影響を与える。たとえば株価の先高観が高まるタイミングでは、まず海外投資家などが日経225先物を大きく買い上げる。すると理論価格との差が大きくなり、先物売り・現物買いの裁定取引を通じて現物の指数も一歩遅れて上昇する。これが、先物の価格変動が現物株を動かすカラクリだ。

 

【参考】

外国人が先物を買うと、日経平均が上昇し、裁定買い残高が増加します。外国人が先物を売ると、日経平均が下落し、裁定買い残高が減少します。

日経平均は、裁定買い残が増加している間、つまり外国人が先物を買っている間は上昇します。ところが、裁定残高が減少に転じる、つまり外国人が先物売りに転じると、下落に転じます。

 

 

【参考】

・裁定残の枚数チャートと日経平均株価 (裁定残=裁定買い残 - 裁定売り残)

出典:株式マーケットデータ

裁定取引(裁定買残・裁定売残・プログラム売買)の推移とチャート (stock-marketdata.com)

 

・裁定残の金額チャートと日経平均株価 (裁定残=裁定買い残 - 裁定売り残)

出典:株式マーケットデータ

裁定取引(裁定買残・裁定売残・プログラム売買)の推移とチャート (stock-marketdata.com)

 

 

 

・追記(2024/02/20)

株式取引というのは基本的には人気投票であり、人気のある銘柄に人が集中するから株価は上昇していく。

人気のない銘柄は業績が悪くなくても人が集まらないために株価は低迷する。

「割安だから買い」というのは本来おかしいことを言っている。

(通常は業績が悪ければなおのこと相手にされないが、最近は業績が悪い銘柄でも暴騰することがある。)

「人気」というのは大雑把に言えばトレンド(時代の趨勢、潮流、流行)のことであり、最近であれば半導体関連銘柄、AI関連銘柄、大手IT、といったセクターになるようだが、その中でも特に寡占状態にある企業が最も買われやすい。

(つまり、そういう銘柄に投資するのであればかなり高い確率で資産形成を実現することができるのだろう。)

一時期、世間を騒がせていたBNFのようなペテン師は「暴落気味に下がっている乖離率の高い銘柄が買いなんです・・・」などと吹聴していたが、そのような証券会社に雇われた役者が嘘の投資法を勧め、初心者を騙して価値のない危険な銘柄を掴ませて大口が処分するといったことが以前はあった。

株式取引が人気投票であることを知ってしまうと、価値のない危険な銘柄など誰も買わなくなるのだから、証券会社は役者を使って嘘を吐かせ、初心者を騙して犠牲にしていたが、最近ではそのようなペテン師も出てこなくなり、今は熱狂的な状態の相場になっているのだろう。

しかしそれも近いうちに終わるように思える。

(状況的には決して良い環境とは言えないし、過熱感が出ている。)