どうやら日銀のマイナス金利政策によって民間銀行のカネは株や不動産に向かうようになり、資産バブルを形成していたらしい。

この異常な株高は企業の資金需要がなかったために行き場を失っていたカネが株式市場に向かった結果なのかもしれない。

年内に超過準備に対するマイナス金利の解除があるのであれば、これまで寝かせていた資金に罰金が科せられていた状態から、寝かせていても問題にされない状態になり、株や不動産に向かっていた資金が安全資産の現金(日本円)に向かう動きになりやすいのだろう。

 

 

 

 

株価はかなり高い水準まで来ているが、株というのはどこまで上げれば安心というわけではない。

それはごく稀に起きる「~ショック」や「~大恐慌」のような極端な暴落があった場合、「株式市場は~%の下落」といった下げ方をするのではなく、全て売り尽くすまで下落が続く動きになるため。

2024年は相当ショッキングな暴落が起きると警告している人物もいる。

Business Insiderの記事では「我々の生涯でこのようなバブルを経験することは二度とないだろう」と書かれているが、オーデマ・ピゲのCEOも同じようなことを言っている。

 

【参考】2023年12月28日の記事

株、住宅、暗号資産(仮想通貨)などの巨大なバブルは弾ける寸前であり、その影響は壊滅的なものになると、金融史家でベテラン市場ウォッチャーのハリー・デント(Harry Dent)が警告している。 「2024年は、我々の生涯で最大の暴落の年になるだろう」と、デントは2023年12月19日に公開されたFox News Digitalのインタビューで語っている。

デントは、近年、あらゆる資産でバブルが形成され、それが今にもはじけそうなのは、過剰な政府支出のせいだと非難している。S&P500種指数は2022年に急落したが、2023年に入って25%近く反発し、史上最高値に迫る勢いだ。住宅価格もここ数カ月で記録的な高値となり、ビットコインなどの暗号資産の価値は今年2倍以上になった。

デントが示唆するところによると、S&P500種指数は80%以上急落し、2008年の金融危機以来の最低水準になる可能性があり、アメリカの平均住宅価格は半分になり、暗号通貨は90%以上急落する可能性があるいう。

これほどの暴落が起きれば、金融当局は財政赤字を垂れ流し、人為的に資産価格をつり上げることをいずれは考え直すようになるかもしれないとデントは言う。

「私は暴落を祈っているが、他の人はそうではない。これは、我々がもう二度と検討することのない教訓であるべきだ。我々の生涯でこのようなバブルを経験することは二度とないだろう」

 

【参考】2023年12月26日の記事

グランサム氏は世界金融危機発生の翌年、2009年春に株式市場が底打ちすることを予測。前年秋から50%以上の下落を記録していたS&P500種指数の回復に乗じ、大きなリターンを得た。

彼はその約10年前に起きたドットコムバブルの時と同じように、過熱する株式市場の崩壊を事前に予測した上、その余波の底まで読み抜いた。

 

【参考】2023年11月28日の記事

ジョン・ハスマン(John Hussman)氏が株式市場のバリュエーションについて語るとき、彼はしばしば独自の尺度を使う。なぜなら、株価がバブルであることを正確に見極めることができるからだ。

彼は、非金融株の時価総額とそれらの銘柄の総付加価値の比較が最も好ましい指標だと話す。その指標によると、S&P500は現在、ドットコム・バブル期を上回る水準にあるという。

ハスマン氏が好むもう一つの指標は、彼独自の株式リスク・プレミアム。これは、投資家が株式から期待できる超過リターンを、リスクフリーの米国債から推定したものだ。バリュエーションが高く、米国債10年物の利回りが4%を大きく上回っているため、投資家が株式から期待できるプレミアムはかなり低い。

 

【参考】2024年1月24日の記事

イールドカーブの逆転(逆イールド、長短金利の逆転現象)が景気後退の先行指標となることを発見したキャンベル・ハーベイ氏は、2024年中の景気後退入りを予想している。

ハーベイ氏は、イールドカーブの逆転を「3カ月物米国債利回りが10年物利回りを最低3カ月上回った時」と定義しており、直近8度の景気後退に際して、いずれもその前に逆イールドが確認されている。

偽陽性、すなわち定義通りの逆イールドが発生したのに景気後退が回避されたケースはまだない。

上記の定義に従えば、直近でイールドカーブが逆転してからすでに12カ月が経つことになる。

 

【参考】2024年1月20日の記事
米国は国債を大量発行し、お金をバラまいて株価を上昇させてきたことから、国債発行額が巨額になっているので、米中央銀行FRB(連邦準備制度理事会)の破綻を危惧する専門家も少なくありません。
■レイ・ダリオの予測は…
世界最大のヘッジファンド創業者のレイ・ダリオは次のように予測しています。
①中央銀行FRBが破綻するほど巨大な金融危機が来る
②250年周期の米国覇権が終わる
中央銀行が破綻するほどの金融危機が来ると、全世界的に株の大暴落が起きることになります。
2024年11月に米国大統領選挙があり、米民主党政権は、それまで株の暴落を止めるために国債を大量発行し、バラまいています。
11月まで続かずに大暴落の可能性もあります。
この巨大な金融危機は水面下で始まっていると判断しているので、株の買いポジションを持っている人は手じまいを強くお勧めしています。
新NISAも積極的に見送り、暴落の準備をすることが大切だと思います。

 

 

 

日銀は恐らくマイナス金利の解除ぐらいはその内やるのだろうが、それ以外は恐らくまだやるつもりがないのだろう。

つまり、日銀は正常化と言えるほどのことは当分やらないように思える。

せいぜいマイナス金利の解除後に様子を見ながら付利金利0.1%にするぐらいなのだろう。(一部で言われているような年内に0.25%~0.5%というのは恐らくない。)

それほどまでに自民・公明政権や日本の大企業は日銀に経済政策を丸投げしており、全ては日銀次第なのですといった方針を取っている。

日銀への依存症から脱却することはできず、このままリスク資産を縮小しないまま巨額資金を投じてなるべく株価の下落を抑え、なるべく高値を維持するようなことをしてしまっているのだろう。

しかし個人的にはそれが失敗するようにしか思えない。

株価を見れば「最高」といった感じだが、今の世界経済の状況も「最高」ですかと言われれば言うまでもなくそんなはずはないのだから、株という変動リスクの大きい資産を大量保有することは利口ではない。

つまり、リスク資産である株や暗号資産などを減らし、安全資産である現金、国債、金(ゴールド)などに移すことがまともな考えであるはず。

それなのに、相場展開を見れば全く逆のことが起きているため、非常に気持ちが悪い。

(2023年はゴールド以外の実物資産が大きく下落している。)

 

【参考】2024年1月25日の記事

株と暗号資産(仮想通貨)にとって、2023年は最高の年だった。それらは市場のプロたちの暗い見通しを覆してみせたが、蒐集品にとっては厳しい1年だった。 パンデミック後、蒐集品は人気が上がり、高級腕時計や高級ワインの価格上昇は株式を大きく上回った。2022年9月、クレディ・スイス(Credit Suisse)は、シャネル(Chanel)のハンドバッグ、ロレックス(Rolex)、中国の伝統美術は、金や長期債など、いわゆる安全資産以上のインフレ対策になるだろうとすら述べていた。

だが、ウイスキーやトレーディング・カード、高級腕時計といった、非伝統的資産を追跡する指数は2023年に下落した。高インフレと高金利に対し、消費者が高額商品の購入を減らすことで対応したためだ。一方、AI投資ブームにより、S&P500株価指数は24%上昇し、ビットコインのような暗号資産は悲惨な2022年を脱して3桁のリターンを記録した。こうした資産が好調だと、投資家が蒐集品に投資してポートフォリオを分散させようとする動機が小さくなる。

「そう、バブルは弾けたのだ。2020年から2022年のバブリーな市場はもう存在しない」

 

【参考】2023年12月11日の記事

スポーツウオッチ「ロイヤルオーク」で知られるオーデマピゲのフランソワアンリ・ベナミアス最高経営責任者(CEO)は「21年と22年に目にした状況は常軌を逸していた。われわれの人生でこのようなことが起こるとは想像すらできなかった。こんなことは二度とないだろうと思う」と述べた。

 

 

 

去年から専門家は度々、景気後退を予想していたが、The wall street journalでは
「最大6回の利下げを織り込んだ」
「インフレは鎮静化し、米経済はソフトランディングに向かうという展開が、コンセンサスになっているのは明らかだ」
「堅調な個人消費とFRBの予防措置によって景気後退が回避され、企業利益が押し上げられると予想している。米経済が底堅いということはリスク資産に恩恵が及ぶということだ」
といったことから、今の株高は当然だといったことが書かれている。
また、日テレnewsでは


「AI向け半導体需要が拡大との見方から『エヌビディア』『インテル』など半導体関連株はじめ幅広いハイテク株に買い→相場をけん引」

【ニューヨーク株式市場】ダウ平均など主要株価指数がそろって過去最高値を更新 アメリカ・ニューヨーク株式市場で、ダウ平均株価など主要な株価指数がそろって過去最高値を更新しました。www.youtube.com


と報道しているが、これまでに相場をけん引してきたそれらの銘柄は危険水域と言えるものも一部ある。

(例:NvidiaのPER 353倍、TESLAのPER 57.4倍、metaのPER 45.5倍、MicrosoftのPER 41.6倍、AlphabetAのPER 32.6倍、AppleのPER 31.7倍、IntelのPER 25.3倍。 株探(かぶたん)|米国株 (kabutan.jp) )


このようなことは、まともな専門家が事前に予想していたことや分析していたことと全く正反対のことであり、現地の状況を伝える個人(youtubeのチャンネルなど)の話とも全く異なっている。

権力者が自分の都合で実態から乖離した認識を示し、誤った情報を流し続けて相場を強引に持ち上げているように思える。

三井住友DSアセットマネジメントでも「実は恐ろしい日経平均7万円シナリオ」と題した記事まで出てくるようになったが、よく読んでみると、やはりまともな専門家とは思えない内容になっている。

(日本株もトルコやアルゼンチンのようにハイパーインフレで暴騰するのではないかといった話。インフレヘッジとして株式投資をおすすめしている。)

どういうわけかできる限り株高にしたい連中がいるようだが、いくらなんでもおかしい。

 

米株を待ち受ける逆風、最高値更新でも (msn.com)

 

以下の動画ではアメリカの中央値の資産が4割も増えており、それが個人消費を支えているのではないかと紹介している。
しかし、その実態は主に2019年時点での住宅価格と比較して2022年には住宅価格が45%高くなったというものであり、投資用不動産を保有していたのであればかなりの恩恵があったようだが、売るつもりのない自分が住んでいる家の価格が高くなっても固定資産税が増えるだけであり、むしろ負担増になってしまっている。(しかし最近は住宅価格は下落傾向にある)
また、動画のコメント欄によれば自動車保険の保険料も急騰しているため、その負担も大きくなっているらしい。
さらに、飲食業界は売り上げが業界全体で急落しており、リセッションが近いのではないかとも書かれている。
米国株はマグニフィセント・セブン(GAFAM + Nvidia, TESLA)を中心に上昇してきたが、そういった特定のセクターに投資してきた人達は(原資にもよるが)かなりの資産効果があったとのこと。
そのような投資にまわす余裕資金を持たない層にとっては何の恩恵もなかったため、二極化がさらに進行している。
・2024/01/13の動画

 

【参考】
現地の情報を伝えるその他の動画

 

 

 

ゴールドマンサックスは2024年は株式市場にとってさらに飛躍の年になるようなことを言っている。

その一方で、やはり景気後退リスクは以前として高く、「2024年、企業利益と経済成長は反対方向に向かう」とも言われている。

 

【参考】2024年1月24日の記事

ウォール街はこれからの1年に対する興奮を抑えきれずにいる。
2023年12月中旬以降、大手投資会社3社は2024年末のS&P500目標値を、設定から数週間のうちに引き上げている。その理由の一つが、企業利益に対する楽観的意識の高まりだ。

WFIIのストラテジストであるオースティン・ピクル(Austin Pickle)氏は1月16日の短信の中で「われわれは、緩やかな利益成長と十分な裏付けのあるPERが株価上昇を牽引すると予想している」と書いている。

しかし、2024年の企業利益はその期待に見合うものにはならないと警告する市場オブザーバーもいる。その大きな理由は、景気後退リスクは依然として高いという点で大半のエコノミストが一致していることだ。

2024年、企業利益と経済成長は反対方向に向かう

 

 

 

一般的には金利が上昇すれば株安になり、金利が低下すれば株高になると言われているが、実際は必ずしもそうなるというわけではなく、今後、日銀がいくらか利上げをしたからといって株安になるとは限らないし、利上げをしないというサプライズがあったとしても株高になるとは限らない。

株式市場は金利だけで大きく動くわけではないのだから当然だが、最近のマーケットコンセンサスは金利次第だといった風潮があるらしい。

また、JBPressの記事によれば「戦争は最大のインフレ要因」と書かれているが、ウクライナ戦争が終結しても、今度は中東で大戦争が起きるのではないかと指摘している。(さらに、最近では南米ガイアナでも軍事的緊張が高まっているらしい。)

このようなインフレ懸念もあることから、なおのこと日銀は利上げする可能性が高いが、今の日銀は政府や大企業からの圧力を受けた金融政策を行っているため、恐らく大胆な利上げには慎重になっている。(円高にしてほしくない勢力が存在している)

日銀の都合としても、あまりにも利上げし過ぎてしまうとFRBのように深刻な財務悪化に陥ってしまうため、それも避けたいはず。

 

【参考】2024年1月3日の記事

いまのマーケットコンセンサスは、FRBが利下げに転じたら昨年以上の株高になるというものです。しかし「利下げ=株高」になるとは限りません。

直近の例で言うならば、FRBは2016年から2019年半ばにかけて積極的に金利を引き上げました。その後、2019年8月に利下げを行いましたが、株価はその後の数週間で6%強も下落し、コロナ禍を挟んで10カ月間で3割も暴落しています。景気が低迷することなく高金利を維持できるのであればFRBは何もしないはずです。

 

【参考】2023年10月25日の記事

FRBが週次で公表している財務データ「準備預金増減要因」を見ると、500億ドルを超える債務超過になっている。昨年3月に開始された利上げによって、逆ザヤが発生し、それによる損失が拡大していることが背景にある。

日銀の長期国債保有残高と日銀当座預金を2023年3月末の水準で一定と置き、付利が何%になれば、逆ザヤや債務超過が発生するか

付利が0.25%に上昇すると「補完当座預金制度利息」等が1.34兆円となり、「国債利息」1.33兆円を上回る逆ザヤが発生する。さらに、付利1.0%を3年続けると累積損失額が自己資本(資本金1億円、法定準備金等3.5兆円、引当金勘定8.3兆円)を上回る債務超過となり、付利が2.2%なら単年度でも損失額が自己資本を上回る。このように、FRBより相当早い段階で逆ザヤや債務超過が発生することが確認できる。

日本銀行はどのくらい利上げすると債務超過になるのか | 研究プログラム | 東京財団政策研究所 (tkfd.or.jp)

 

 

【参考】2024年1月18日の記事

FRBは、政策金利に連動させて中銀当座預金の利子、つまり付利金利を大幅に引き上げたことで逆ザヤが生じ、これが赤字をもたらしたのである。

FRBは2022年1~9月には760億ドルの利益を財務省に納付していた。しかし同年9月には赤字を出し始め、政府の収入となる国庫納付が停止した。FRBは109年の歴史の中で、赤字により国庫納付をこれほど長く停止させたのは、今回が初めてのことだ。今後黒字に転じても、赤字の下での資本の毀損分を取り戻すまでは、国庫納付は再開されない。それは、米国の財政赤字を拡大させる。

FRBが赤字になったこと、それが財政赤字を拡大させていることは、通貨の信認を低下させ、ドル安や金利上昇の要因になる。他方、FRBが赤字になっても、あるいは仮に債務超過となっても、FRBが破綻することはなく、業務は継続される。

しかし、FRBのバランスシート悪化は、通貨の信認を低下させ、金融市場を不安定化させるリスクがある。また、先行きについては、国庫納付の停止を問題視する政府、議会からの批判が高まり、それが、政治介入を許すきっかけとなる恐れもあるだろう。政治介入はFRBの政策信認を損ね、ドル安など金融市場を不安定化させかねない。

日本銀行に逆鞘が生じるのは、政策金利が現状の-0.1%から+0.3%程度まで引き上げられた場合だ。保有する債券の平均利回りの水準が、FRBと比べてかなり低いことから、よりわずかな利上げで、日本銀行の場合には逆鞘になってしまう。それは、向う数年のうちに現実になる可能性があるだろう。他方、日本銀行が経常赤字に陥る水準は、政策金利が+0.6%程度まで引き上げられる場合だ。それは、近い将来には視野に入ってこない。

そして、政策金利引き上げが大幅な経常赤字をもたらし、それが、現在12.7兆円の自己資本を完全に毀損して日本銀行が債務超過に陥るのは、政策金利が+2.8%程度まで引き上げられる場合だ。債務超過となれば、日本銀行に対して公的資金が注入され、政府による日本銀行への影響力が大きく高まり、独立性は低下する。しかし、政策金利が2.8%まで引き上げられることは、かなり将来まで見ても考えにくい。

政策金利引き上げによる日本銀行の財務悪化は、FRBと同様に日本銀行の政策や通貨の信認を低下させ、金融市場を不安定化させる可能性がある。しかし、そのリスクを顕著に高める債務超過までは視野に入らないことを踏まえると、財務悪化が日本銀行の今後の政策金利引き上げを大きく制約することはないだろう。

FRBが利上げで過去最大の赤字:日銀は政策金利+0.6%で赤字、+2.8%で債務超過に|2024年 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)

 

【参考】2024年1月22日の記事
「マイナス金利解除への布石として、デフレ脱却を強調しているかのようだ」。年末から年始にかけての一連の植田発言について、メガバンク幹部はそうみる。
過去と現在の最大の違いは、物価と賃金の上昇にある。23年10月、日銀は24年度の消費者物価指数見通しについて、7月時点の1.9%から2.8%へ大幅に上方修正した。悲願だった2%超えの達成である。
そしてもう一つの重要ポイントが、賃金だ。23年の春闘で賃上げ率は前年比3.6%の上昇を記録し、30年ぶりの高水準となった。その上昇が24年春闘も持続するかを見極め、日銀はマイナス金利解除を決断するとみられる。
ゼロ金利政策が導入されて以来の四半世紀、日銀は金融正常化に挑み、いずれも敗れる苦闘の歴史を歩んだ。24年、「三度目の正直」で日銀はマイナス金利の解除、そして利上げにより「金利のある世界」を復活させることができるのか。その環境は整いつつあるように見える。
 門間氏は、24年4月の金融政策決定会合で日銀がマイナス金利を解除し、0.25~0.5%程度の利上げも年内にあり得ると予測する。「企業の収益が好調で賃上げの原資は多い。賃上げ率が23年を上回る可能性は十分ある」(門間氏)。

 

【参考】2024年1月22日の記事
新年に入り、日本株式会社は実にもどかしい股裂き状態が強まっている。
一方で日経平均株価は急騰し、バブル経済期以来およそ34年ぶりの高値を更新した。他方で、不祥事続きの政権は本来やるべき大胆な経済改革に踏み込まず、日本経済はリセッション(景気後退)入りする可能性が高まっている。
もっとも、こうした乖離は世界の投資家にとって目新しいものではない。だが、まさにそれこそが問題なのだ。株価と経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)のズレは、再びタガが外れてしまっているように見える。事態は大半の投資家が思っている以上に深刻かもしれない。
安倍は続く2821日間、日本経済再生の「最後のチャンス」(彼自身の言葉)をほとんど浪費した。
経済復活の仕事は日本銀行に任せた。その日銀の積極的な金融緩和政策と、政府によるコーポレートガバナンス(企業統治)改善のいくつかの取り組みのおかげで、日経平均は上向き、いまにいたるまで上昇を続けている。
2023年、日経平均と東証株価指数(TOPIX)は前年比25%以上上昇し、世界の主要株価指数でもトップクラスの上げ幅を記録した。
安倍政権は構造改革よりも金融緩和を優先したため、企業経営者は利益を労働者と分かち合おうという気にならず、そうしていいという自信も持てなかった。いわゆるトリクルダウン効果(大企業から中小企業、家計などへの恩恵の波及)は起こらなかった。
岸田文雄首相は、従来の路線を軌道修正することが優先課題のはずだった。2021年10月、成長と富の再分配の好循環をもたらす「新しい資本主義」を掲げて首相に就任したが、安倍と同じように、その仕事を日銀に任せた。

 

 

 

 

 

※今後注意するべきこと

既に日銀の利上げは市場で織り込み始めてきているため、もし日銀が利上げしない場合はサプライズになり、一気に円安が加速してしまうのかもしれない。

日米金利差は現時点でもかなり開いているため、これまでは円安方向に進んできたが、市場が期待を裏切られた場合、多くの市場参加者がこれから円高に向かうと思っていたのにそうではなかったということになってしまう。

The wall street journalの記事によれば市場では既にFRBの利下げが6回も織り込まれているとのことであり、それに加えて日銀が2024年4月にはマイナス金利を解除し、その後もそれなりの利上げに踏み切るといった観測が出ている。

しかし実際にはFRBが利下げをせず、日銀も利上げをせずということになれば、恐らく大変な円安になるのだろう。(しかしそれは一時的なものになるように思える)

 

今後、日本経済は日銀の損失によって望まないインフレと望まない増税の両方がリスクとして考えられる。

事実上、金融危機が始まっている状況でこのままETFの処分をしないのであれば、大暴落に巻き込まれた際に望まない形でかなりの増税をする羽目になる。

一般的には日銀が財務悪化に陥れば通貨の信認を保つために資本注入が必要になると考えられているが、それによって増税にはなるが極端な円安を防ぐことができ、酷いインフレを防ぐことができる。

中央銀行が債務超過などに陥り、政府に救済してもらうという形を取ることは中央銀行が望むことではないはずだが、もし日銀にモラルハザードのような下心でもあるのであれば、それでもいいと思っているのかもしれない。

もしそのような形を取るのであれば、最悪の場合、中央銀行が経営や資産運用等における自己規律を失っているとみなされることになり、結局は増税で資本注入をし、通貨の信認を保とうと思ってもそれは叶わず、かなりの増税にもなるし、かなりの円安(インフレ)にもなってしまうのかもしれない。

 

実際に巨額の含み損が発生した場合、政府に増税させて資本注入してもらうことは望ましいことではなく、できるだけETFの処分を進めてポジションを軽くしておくべきなのだろう。

本当にリーマンショック級かそれを超える暴落があった場合、無理をして株の買い支えなどしていても損失が拡大してしまう。

どの道、暴落は避けられそうもないのだし、日銀が相場を支配できるわけでもないのだから、これ以上の買い支えは無謀に思える。(実際のところ、誰が買い支えているのかは不明)

これからとてつもなく大きい波が押し寄せてくるのであれば、いくら誰かが巨額資金を投じて支えようとしてもその波に飲まれて敗北する。

もし、最近よく言われているような暴落が起きず、本当にアメリカもソフトランディングが達成できたというのであれば何も身構える必要などなく、今後も積極的に株を買い進めればいい。

 

アベノミクスの第1の矢である異次元緩和の副作用によって、これからかなりのインフレか、かなりの増税になるのかもしれない。(あるいは政策の失敗によって銀行の健全性に打撃を与え、金融システムが不安定になる可能性もあるらしい)

NTTデータ経営研究所によれば、いずれは誰かが日銀の損失を負担せざるを得ないようだ。

 

 

【参考】2017年5月8日の記事

債務超過への対処:①政府による増資

最もオーソドックスな債務超過の解消法は、法手当てを行い、政府から日銀に資本を注入することだろう。国(国民)全体で、中央銀行の健全なバランスシートを支えるということだ。

 

債務超過への対処:②債務超過の放置(高インフレのリスク)

「日銀の債務超過はそのまま放置しておいてよい」との主張がある。理屈は次のようなものだ。日銀は、いったん債務超過に陥るとしても、長い目でみればいずれ資産超過に戻る。理解のため、出口戦略が完了し、日銀のバランスシートが通常に復帰したあとの状態を想定してみよう。この場合、収益はプラスに戻る。負債である銀行券と当座預金(準備預金)が金利ゼロの一方、国債等の運用から利益が得られるからだ。

 

債務超過の回避 :③保有国債の変動金利債への転換

一方、日銀が債務超過そのものを回避する方法もある。一つは、あらかじめ日銀が保有する国債を、固定利付債から変動利付債に変換しておくことだ。そうすれば、当座預金(負債)への金利支払いと変動利付国債(資産)の金利受取りが均衡し、日銀は損失を免れる。これは、日銀の損失を政府に付け替えることにほかならない。

 

債務超過の回避策:④預金準備率の引き上げ

足許の日銀の当座預金残高は340兆円に達するが、このうち、上記の準備預金制度に基づく所要準備額(総額)は10兆円弱にすぎない。330兆円以上は、異次元緩和の結果として、準備預金制度とは別に積まれた当座預金だ。理屈だけをいえば、所要準備額が10兆円弱でなく、340兆円全体をカバーする水準とすれば、日銀は金利を支払う必要がなくなる。それには準備率の大幅な引き上げが必要となるが、これが実現すれば、日銀は損失を免れ、債務超過は回避される。その意味するところは、日銀の損失を民間銀行に付け替えることだ。

日銀の財務悪化への対処法~~誰が損失を負担するか 2017年5月8日 | コラム・オピニオン 山本謙三 | NTTデータ経営研究所 (nttdata-strategy.com)

 

 

【参考】
管理通貨制度の下では、自国通貨は原則的にいくらでも発行できる。金を貨幣価値の裏付けとする金本位制においては、銀行券発行量は正貨準備高に拘束されるのに対し、管理通貨制度では行政府の通貨政策次第であり、貨幣の価値は政府または中央銀行の政策によって裏付けされるためその価値は不安定となりやすい。よって通貨当局は金融政策により貨幣価値の安定化を図ることを重視する。
銀行学派の考え方によれば、中央銀行はプライマリバンク(中央銀行と直接取引の口座を開設している市中銀行)の担保の差出の対等物として通貨を発行するのが原則であり、この場合通貨の価値は市中の信用力に依存している。一方で議会や行政府が国債を発行して中央銀行に引き受けさせている場合、その通貨の価値は行政府の信用(徴税権や国庫財産など)を担保としている。