海外株が軒並み下落している中で日経平均株価が34,441円まで上昇し、昨日の安値から一気に1000円近くも暴騰している。

(昨日は日経平均株価が33,990円まで上昇しているが、その時も一気に600円ぐらい噴き上げるようなやり方をしている。)

日本経済新聞では


「『踏み上げ(売り方の損失覚悟の買い戻し)』で傷を負った個人投資家が空売りをためらっていることが、米株相場が弱含むなかでの意外高に一役買っている。」


という記事が出ているが、逆張り個人が買い転換などと書かれている。

しかし、個人がここまで暴騰させているとは考えにくい。

 

 

 

恐らく、この上昇を演じている者は今後、売りにまわり、ひとたびそれが始まればずっと売り続けるといった動きになるのだろう。
つまり、これは買いのクライマックスであり、常識的に言ってこの状況と水準で今買っているポジションを長く持つつもりなどあるはずはなく、一種の仕手戦ような様相を呈している。

 

【参考】

仕手戦とは、仕手と呼ばれる投機家同士が、売り方と買い方に分かれ争い、投機的な売買で激しくぶつかり合う相場の戦いである。

仕手戦になると、安値の株を大量に買い続けて株価を急激につり上げる買い方、信用取引を利用し割高と思われる株を大量に売り続けて株価を叩き落とそうとする売り方、双方がそれぞれの思惑でリスクに立ち向かうので、誰も予想のできない激しい相場の展開になる。

仕手戦の対象となった株・銘柄は激しく動き、短期間で大きく上昇したり下落したりするのが特徴である。

制度信用を利用する売り方は半年以内に買い戻さねばならないルールがあるため、買い方はさらに買い上がることで売り方を締め付け、売り方は逆日歩や追証などの負担から買戻しを余儀なくされ、さらなる急騰を演じる場合がある。

仕手 - Wikipedia

 

 


アメリカで利下げするとか、日本は震災で利上げできなくなったとか、そういった話も出ている。
これまでに日経平均株価は急ピッチに上昇してきたが、そういった理由で日本株だけ買われるというのは不自然。
恐らく日銀(委託されている信託銀行)が強引に34,000円を突破するように大口の買いを入れ、それによってその近辺でロスカットレートを設定していた大口のショートカバーが入り、一気に噴き上がったのだろう。

一部、上値追いをしている個人や短期筋もいるのかもしれない。

これぐらいの水準を保つことで今後、下落相場が訪れても日銀とGPIFの資産がなるべく毀損しないようにしているように思える。
これは去年の5月~6月に起きた動きに似ているのかもしれない。
今後、経済状況が悪化していくとはいえ、官製相場、大相場を演出しているのだから、ショート勢はタイトな損切りルールを厳守していれば当然狙われてしまい、損切り貧乏になりやすい。
また、今年、新札切り替えがあるからそれのあぶり出しで上がっているという話も出ているが、新札に切り替えてもすぐに使えなくなるわけではないし、旧札のタンス預金を生活費として使い、新札をまたタンス預金にすれば今までと何も変わらない。
(今回の大災害のようなことが起きればタンス預金も消失してしまうため、それなりの金額なのであれば金庫にでも入れておくべきなのだろう。)
やはり、戦争や災害が起きるたびに株を買う者がいるらしい。
確かに戦争が起きれば軍需産業は儲かるし、災害が起きれば建設・不動産は儲かるが、当然、犠牲になる者が多数出てくる。
特需を生み出すには戦争などを起こすのが最も手っ取り早い方法なのだし、世界が安定していれば特需は生まれないのだから、経済状況が悪化してくれば戦争などを引き起こしたくなるのが国家というものなのだろう。
しかし、誰かが言っているように、いつまでもそんなことをしていればいつか天罰がある。

自国で大災害が起きて大変なことになっている地域があるのに、その直後から株価が暴騰しているというのは不謹慎に思える。

株価というのは好材料で上昇し、悪材料で下落するのだから、この災害を好材料として捉えていることになってしまう。

 

 


表向きには日銀が買っていることにはなっていないが、日銀の当座預金を何らかの形で使って相場操縦を行っていると考えるのが自然。

 

(追記:以前、日銀が買い入れしているETFについて、「買い取り資金は、政府保証付きでの銀行からの借り入れや、銀行等保有株式取得機構債の発行で調達する。買い取った株式を市場に売却して損失が出た場合には拠出金で穴埋めするが、拠出金を超える損失が出ると公的資金で穴埋めすることになる。」という記事を見たことがあったが、去年は銀行等保有株式取得機構で入札がなかったらしい。また、銀行からの借り入れや銀行等保有株式取得機構というものが具体的に何なのかについての説明がないため詳細は不明。以前読んだことのあるその記事も現在は削除されている。)


データ上は2020年までは1年で(最大)7兆円ぐらいETFを買っていたが、2021年からはほとんど買わなくなっている。
それなのに信託報酬は減っておらず、不自然な状況になっている。

 


 

 

日本経済新聞には日銀は2023年から売り手になっており、買った額と売った額の差し引きで見ればETF購入はしておらず、売りの方が多かったという記事が出ている。

 

【参考】

23年に日銀が株式の売り手に転じたと見られるのは、株式を組み込んだETFの購入が株価安定を背景に大きく減る一方、かつて金融システム安定策の一環として銀行から買い取った株式の売却が着実に進み、差し引き売った株式の方が上回ったと見られるためだ。

日銀が売却した株式は02〜04年と09〜10年に銀行から購入したもの。金融機関経営を保有株式の価格下落の悪影響から遮断するのが狙いだった。その出口政策(買った株式の処分)を16〜25年度の10年計画で進めている。

 

この記事が事実なのであれば日銀は信託銀行が売ってる分に対しても信託報酬を払っているということなのかもしれないが、よく分からない。
去年から続くこの株価上昇が本当に海外勢によるものなのかどうかも疑わしい。
ニュース記事ではショートカバーだったとか、AIに対する期待で買われたとか書かれていたが、これも釈然としない。
岸田は海外で「Invest in kishida」などと言っていたが、それを具現化するためにどうにかして株価上昇を演じることに成功したようだ。
しかし、それが本当に海外勢の日本株への投資だったのかどうか不明。個人的には不自然にしか思えない。
例えば、アメリカの家計の資産状況を見ると、富裕層以外はあまり株をやっている人などいないし、ヨーロッパ勢もインフレ(特にエネルギー価格)で苦しんでいるようだから、日本株を積極的に買う余裕が本当にあったのかどうか疑わしい。

恐らく日本株を積極的に買っていた海外の個人投資家なんて誰もいない。

海外の資産運用会社が集中的に日本株に投資していたとも考えにくい。

 

【参考】

純資産の内訳を所得階層別にみると、上位層は株式や、個人事業資産の占率が高く、相対的に中間層は年金、低所得は不動産の占率が高い。株価上昇の資産効果は所得上位層で特に大きく、不動産価格の低迷は低所得層に相対的により大きく影響するということだ。

 

 


ちなみに、2023年6月末時点の家計の金融資産は、日本で約2,115兆円、米国では約116.9兆米ドル(1京7535兆円)となっており、アメリカは日本の約8.3倍もの家計金融資産を保有している。

しかも、これはほぼ毎年増え続けている。
アメリカは2000年からの比較で見ると現時点で3.3倍も増えているが、これは家計金融資産の構成比で株式・投信の比率が高く、且つ株価が上昇し続けているためなのだろう。
運用リターンを見てみると、アメリカの場合は2.3倍になっているが、日本の場合は1.1倍であり、やはり個人投資家は儲かっていないらしい。

 

 

 

バークシャーハサウェイに関しては株価が急騰するよりもずっと前に商社株を買っており、バフェットが買ったから急騰したという話は嘘だと思われる。
そもそも本物のプロはそういう下手な買いの入れ方はしない。(特に長期投資の場合)

 

(追記 バフェットが株価を吊り上げたのではなく、バフェットが買ったという理由で投資家が殺到していたらしい。また、バークシャーハサウェイのポートフォリオには日本の商社株は含まれていないが、バークシャーの100%子会社ナショナル・インデムニティがそれを保有している。「バフェットが商社株を買った」とか「バークシャーが買った」といった報じられ方をしているが、実際にはその子会社が買っている。ブラックロックの場合はブラックロックジャパンという日本法人があるが、ナショナル・インデムニティはバークシャーの日本法人というわけではなく、子会社であるらしい。メディアはその子会社のことを「バークシャー」とか「バフェット」という言い方をしている。去年の56月に日経平均株価が暴騰していたのは、もしかするとこれが原因だったのかもしれない。)

https://asia.nikkei.com/Business/Markets/Warren-Buffett-adds-to-Japan-trading-company-holdings

https://shikiho.toyokeizai.net/news/0/634399

https://jp.reuters.com/article/idUSKBN25R00Q/

https://www.investing.com/analysis/warren-buffett-adds-to-japanese-holdings-amid-booming-stock-market-200639184


新NISAがどうとかいう書き込みも見かけるが、そんなものでこんな急騰があるわけはない。こういった乱暴な上昇は余程の大口でなければあり得ない。
日銀が相場操縦を行っていないのであれば、一体誰がこんなことをしているんだということになるが、相当の巨額資金を持つ何者かが存在していることになる。
その人物、あるいは資産運用会社などが日本株に対して集中的に資金を投じていることになるが、ごく少数のそういった存在によってこのような荒い値動きをしているのであれば、相当大きいポジションサイズになっていることになり、ほんの少しでも下がってしまったら巨額の含み損を抱えることになる。
記事にあるように、本当に去年の時点で日銀はETFの処分を開始しているのだとしても、それは買った額と売った額の差し引きでの話であり、巨額資金を投じてETFを買って相場を著しく上昇させ、その後、購入した分を売っていたとしても嘘にはならないことになる。

結局のところ、誰がこの相場を作っているのかなんて個人がいくら詮索したところで分からないのだから、ショート勢は狩られないようにした上でまたしばらく放置するしかない。

(追記 こういう暴騰をしている時にショートカバーを入れれば下手な上値追いをしているのと同じことになる)
案外、本当に海外勢(ブラックロックなど)が買っているのかもしれない。

最近、アメリカの資産運用会社は中国から資金を引き揚げていると言われているため、中国から日本に資金を移して株価を高騰させる見返りとして、岸田に何らかの要求を突き付けている可能性もある。(個人的にはその可能性は低いと思う)

 

【参考】(追記)

過去2年間に上海から撤退した外資系金融機関として名前が挙がっているのは以下の通り。
ABN-AMRO、CITI Private Bank、Sovereign Wealth Funds、Morgan Stanley、CANADA PENSION PLAN、BlackRock、Moody's、Vanguard、など。

 

 

 

※ 一部の相場研究家はウクライナとロシアの戦争が近々終結するためにアメリカの景気が悪化し、FRBはそれに備えて利下げを予定しているという考えを述べている。

【参考】
利下げを行うということは、何か利下げを行わなければならない景気悪化要因が出現したということです。
その場合は普通、株価も下落します。これまでタカ派だったパウエル議長の突然の変心は、ウクライナ戦争の終結などの「景気に対する悪材料」を知らされたのかもしれません。