シリコンバレー銀行が破綻したが、世界最大規模の金融コングロマリットであるクレディスイスも経営難に陥っており、破綻リスクが懸念される事態にまでなってきている。
シリコンバレー銀行とクレディスイスの経営難は無関係であると言われており、シリコンバレー銀行の方は暗号資産に注力したヘッジファンドやベンチャーキャピタルと取引があったらしい。
シリコンバレー銀行の場合はFRBのせいではなく、単なる無能でどうしようもなく愚かな経営陣による投資の失敗だった可能性が高い。
ちなみにシリコンバレー銀行のCAO(最高総務責任者)はあのリーマンブラザーズのCFO(最高財務責任者)だった。
ウクライナも暗号資産にかなり前のめりだった国であることが知られており、今回の軍事侵攻の直前にはザポリージャ原発の隣りにビットコインのマイニング施設を建設する計画を進めていたりした。
元々、ゼレンスキー政権は暗号資産ビジネスの「金融センター」になることを政策として掲げており、経済の成長戦略の中核に暗号資産を位置づけていたと言われている。
ウクライナの通貨であるフリブニャは対ドルで下落傾向にあったが、2014年のクリミア侵攻を機に大暴落し、その後も通貨の信任は回復していなかった。
ゼレンスキー政権による「暗号資産のハブ化戦略」は以前から懸念事項として専門家から取り上げられており、雇用創出効果や他の産業への波及効果を疑問視されていた。
また、暗号資産はマネーロンダリングによく使われていることが知られているが、マネーが流出しやすいことも特徴として挙げられる。
今回の軍事侵攻の直前にはこういったウクライナ国内の経済事情も背景にあり、ロシアから攻撃を受けていなくても経済面で危機的状況に陥っていた可能性もある。
“ザポリージャ原発の横にマイニング施設”の衝撃。ビットコインで経済発展ねらうウクライナの賭け | Business Insider Japan
【参考】
この先、シリコンバレー銀行の破綻の理由として、ベンチャーキャピタルの支援を受けたシリコンバレーのIT企業御用達の銀行だったから、という説明を目にすることになるだろう。確かにそうした企業の多くは、資本金の準備が怪しげだったり、ひどく収益性が低い。
確かにシリコンバレー銀行はIT寄りだったし、暗号資産フレンドリーとまでは言えなくても、ブロックチェーン・キャピタル(Blockchain Capital)やキャッスル・アイランド・ベンチャーズ(Castle Island Ventures)、ドラゴンフライ(Dragonfly)、パンテラ(Pantera)などの暗号資産に注力したヘッジファンドやベンチャーキャピタルと取引があった。
しかしシリコンバレー銀行は、これらの企業のせいで破綻したわけではない。
まず第一に、シリコンバレー銀行はリスク管理を誤った。顧客の預金を使って、間違った金融商品を購入したことは明らか。
FRBは約1年の間に金利を20倍近く引き上げた。シリコンバレー銀行は悪い投資を行ったが、悪い投資の責任は、これほど急速に利上げを行ったFRBにもある。
最後に、可能な限り明確にしておくために、繰り返しておく。今回の事態は、暗号資産の責任ではない。
他のいかなる業界の責任ではないのと同じように、暗号資産業界の責任ではない。
【参考】
シリコンバレー銀行の幹部は、2008年の破綻前はリーマンブラザーズの CFOだった
SVB に最高総務責任者として入社する前は、リーマンブラザーズのグローバル・インベストメント・バンクで最高財務責任者を務めていた。ジェンタイル氏は 2007年にリーマンを去ったが、それは 2008年に倒産するちょうど 1 年前のことだった。
【参考】
シリコンバレーバンクの破綻は、2008年9月のリーマン・ショック時に起きた貯蓄金融機関ワシントン・ミューチュアルの破綻に次ぐ、史上2番目の規模となったようです。
ただ、現時点で他の金融機関に破綻の兆候があるかといえばそれは感じられませんので、株価の動きとしてはいったん下げ止まって落ち着くものと考えられます。
【参考】
クレディ・スイスの問題はーースイス・チューリヒにある円柱形の本社は、アメリカ・カリフォルニア州にあるSVBの拠点から5800マイル以上離れたところにあるーーはSVBの破綻とはほぼ関連しておらず、ほとんどはクレディ・スイス自体が作り出したものだ。
SVB(シリコンバレー銀行)とは異なり、クレディ・スイスは年末時点で5690億ドルの資産を有し、膨大な資本要件が課されるグローバルなシステム上重要な金融機関とみなされている。
「クレディ・スイスのバランスシートに穴が開いている様子はなく、世界中の中央銀行に保管されている数百億ドルの現金を引き出すことができる」
【参考】
コロナ禍の金融緩和策を追い風にSVBはシリコンバレーのスタートアップ企業からの預金量を急増させた。一方、融資の伸びは鈍く、手持ち資金で債券を爆買いしてきた。しかし、金利の上昇を受け、債券価格が下落し、巨額の含み損が発生。今回、大口預金が引き出され、満期前に債券を売却してしのごうとしたが、思ったような価格で売れず、破綻に至った。
【参考】
“ザポリージャ原発の横にマイニング施設”の衝撃。ビットコインで経済発展ねらうウクライナの賭け
暗号資産が成長産業であると明確に位置付けたゼレンスキー政権は、今年に入り国会で暗号資産関連事業への税制優遇が議論されるなど、ザポリージャ州での計画以外にもさまざまな取り組みを進めている。
つまり暗号資産ビジネスの「金融センター」として機能することを通じて、ウクライナの経済発展を図ろうというのが、ゼレンスキー政権の戦略観ということになる。
原発の横にBTCのマイニング施設を建設しようとするなど、ゼレンスキー政権は経済の成長戦略の中核に暗号資産を位置づけている。チェイナリシス(chainalysis)社が2020年9月8日に公表した調査でも、ウクライナはロシアやベネズエラを抑えて暗号資産(原典だと暗号通貨cryptocurrency)が最も普及している国に選ばれた。
経済発展の指標である米ドル建てで測った一人当たり名目GDP(国内総生産)も、通貨の下落の影響もあって直近2020年時点でも4000ドル(約44万円)に満たず、同1万ドル(約110万円)程度のロシアに引き離されている。
2019年に就任した俳優出身のゼレンスキー大統領は、ウクライナの社会経済に広がる閉塞感の打破を暗号資産に見出したわけだ。
ウクライナの国民がBTCなどの暗号資産を利用することで、送金サービスを格安で享受できるメリットは確かにある。一方で、マネーが「流入」しやすくなるということは、「流出」しやすくなることも意味する。国内の貯蓄水準を引き上げることは経済発展の基本であり、そのための工夫が不可欠であるにもかかわらず、資本逃避を誘発しかねないわけだ。
それにウクライナでは長年にわたる社会の混乱で組織犯罪が横行しており、暗号資産はマネーロンダリング(資金洗浄)にも使われている。中国ですら手を焼いている暗号資産を用いたマネーロンダリングを、国として安定を欠くウクライナが適切に管理できるだろうか。この点についての議論がウクライナで軽視されている感は否めない。
国際社会は今、暗号資産を管理する流れを強めている。万時、物事は直線的な発展を辿るものではない。その意味で、暗号資産も今や試練の時を迎えていると言えよう。そうした管理の流れに対してゼレンスキー政権は、ウクライナをむしろ規制からの「逃避地」として開放しているに過ぎない。つまりは、アングラマネーの引き寄せだ。
その地政学上の性質から、ウクライナは常にロシアとヨーロッパに翻弄され続け、発展が阻まれてきた。一部の新興資本家(オリガルヒ)やそれに近い政治家が富を独占、縁故主義や汚職の蔓延もあり、厭世観が若者を中心に蔓延している。そうしたその数奇な運命には同情を禁じ得ないし、一打逆転を狙いたい気持ちが理解できないわけではない。
とはいえ、暗号資産への傾斜は極めて勝率の低いギャンブルだと言わざるを得ない。それはBTCを法定通貨に定めたエルサルバドルと同様だ。
暗号資産を経済の発展戦略に据えること。仮想通貨の肯定派はそれを英雄的行為のように評価するが、ウクライナの抱える事情を考慮に入れると、かなり危うい選択であることは一目瞭然である。
・追記
【参考】
多数の暗号資産企業を顧客として抱えるシグネチャー銀行(Signature Bank)が3月12日にニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)によって事業停止となった。
8日にはシルバーゲート銀行が任意清算、10日にはシリコンバレー銀行が経営破綻し、1週間足らずで3行が破綻したことになる。
シグネチャー銀行は数カ月前に暗号資産業界との取り引きを減らすと発表していた。
【参考】
シルバーゲート銀行とシリコンバレー銀行は、あまり広範には当てはまらないかもしれない、特有の景気循環の問題にも直面していた。両社はそれぞれ、新型コロナウイリス感染拡大の初期に大幅に下落した暗号資産テクノロジーやベンチャー企業などをターゲットとしていた。両セクターとも新型コロナウイルスのロックダウンから恩恵を受け、特に暗号資産はアメリカ国民に配布されたパンデミック救済小切手の恩恵を受けた。
つまり、両行には2020年から2021年初頭にかけて大量の資金流入があった。シリコンバレー銀行のバランスシートは、2019年末から2021年3月にかけて3倍になった。シルバーゲート銀行の資産も2021年に大幅に増加した。
両行は預金の増加を支えるために、担保としてさらに債券を購入しただろう。債券の利回りがまだ1%程度だった時代に。
しかし、FRBの利上げにより、新たに発行される国債の利回りは4%近くになり、利上げ前に発行された国債の需要は低下している。そのため、顧客が預金を引き出し始めたタイミングで、シルバーゲート銀行とシリコンバレー銀行は損失覚悟で国債などの流動資産を現金化せざるを得なかった。
メインストリームの多くの人は、銀行危機の発端となった暗号資産セクターそのものを批判したくなるだろう。この主張の最も明白な証拠は、暗号資産フレンドリーな銀行であったシルバーゲート銀行が最初にクラッシュしたことだ。今後数週間のうちに「ドミノ倒しの1つ目」などと呼ばれるかもしれないが、実は現場のリアルとは異なっている。
シルバーゲート銀行は、たしかに脆弱だった。実際の普及や持続的な収益にまだ時間が必要な暗号資産業界に特化していたが、業界全体が低迷してしまった。しかし、それは流動性危機の原因ではないし、破綻が今後の銀行破綻に大きく影響することもない。
【参考】
米中堅銀行シリコンバレー銀行(SVB)の経営破綻では、トップが破綻前に自社株を売り、約230万ドル(約3億円)の利益を得ていたことが発覚し、批判の声が上がっている。バイデン米大統領は17日、銀行が破綻した場合、経営陣から報酬や自社株売却益を没収するなど、当局による責任追及の権限を強化するよう議会に求めた。
【参考】
米メディアによると、FDICは当初SVB全体での引受先を探したが、見つからなかった。一般的な商業銀行部門と資産運用を行うプライベートバンク部門に分ける。
【参考】
ブルームバーグの報道によると、インサイダーたちは、早く株を売り払っただけでなく、シリコンバレー銀行からの融資が、規制上の監視を嘲笑するほど行われていたようだ。
役員、取締役、主要株主、およびそれらの関連する株主たちへの融資は、昨年の第 3四半期から2022年の最後の 3か月で 2億 1,900万ドル (約 290億円)に達し、過去 20年間で記録的な額の融資となった。
多くの質問が頭に浮かぶ – 融資の条件は何だったのか、誰が受取人だったのか、担保は何だったのか。
しかし、悲しいことに、私たちはおそらく決してそれらを知り得ないだろう。
不正行為の証拠はなく、ローンの個人的な詳細 (名前、目的、担保) は政府の提出書類に開示されていない。