もしアメリカで何かあれば世界のパワーバランスは崩れ、当然のように中国、ロシア、北朝鮮、イラン、アフガニスタン、キューバ、ベネズエラ、セルビアといった反米勢力の存在感が増すことになる。

アメリカに対して軍事的、経済的に強く依存している日本にとって、アメリカが力を落とせば自分でどうにかするしかなくなる。
しかし、日本政府は他国から兵器を調達したり在日米軍の維持費などに巨額の防衛費を投じることにしており、独自に兵器開発をしたり、弾薬保有量を大幅に増やしたり、自衛隊を強化したりすることにはほとんど関心がない。

これではいくら防衛費を増額しても国として軍事力が強くなるわけではない。

そのような状況でアメリカからの兵器等の提供が受けられなくなれば、防衛も糞もない。


ロシア・ウクライナ紛争でウクライナ軍が全てのロシア軍を自国領内から撤退させることは無理だろうとJCS(アメリカ統合参謀本部)は分析しているが、最近になってウクライナ軍は自国で開発したとされるドローン兵器でロシア領内への遠距離攻撃を強めている。

しかし、ウクライナは既に多くの兵を失い、全土がインフラに攻撃を受けたことによって冬を越せるかどうかも分からないほどに追い詰められている。

NATOから供与されてきた武器・弾薬も今後、あまり期待できる状況にはない。

恐らくウクライナ政府は今、決断を迫られている状況にあり、ロシアに対し、やぶれかぶれの攻撃を仕掛けるか、それとも譲歩するか、どちらかになるのだろう。(2022年12月13日現在、既にそれに近いことをしているのかもしれない)

これ以上、ロシア領内において損害が発生する場合、ロシアはウクライナだけでなく、NATOへの報復攻撃をも実行に移す可能性も出てくるように思える。

そのドローンはウクライナ軍が開発・製造しているとされているが、実際にはNATO側が何らかの形でその手助けをしていると考えるのが自然であり、ロシア政府もそのように分析しているはず。

ロシア政府がウクライナのテロ行為と称するその攻撃をどの程度まで許容するのか、どこで国家存亡の危機であると判断するのかは分からないが、ウクライナ側が譲歩しない限り、やはりどこかで核攻撃を受けるのだろう。

そしてそれがアメリカにまで波及した場合、日本政府がどのようにロシアに対応するのか、恐らく全く想定していないのだろう。つまり、何のシミュレーションもしていない。


今、ロシアは国際的に孤立させられているため、ロシアが日本を攻撃しても何のメリットもないが、newsweekなどのメディアではまことしやかにロシアは日本を攻撃する計画があるなどと報じている。

このような情報を流すようになったということは、ロシア以外の国が日本に対し偽旗作戦による攻撃を仕掛け、日本とロシアとの間で戦いが生じるように仕向ける動きがあるということなのだろう。

(日本で何があってもおかしくないような空気づくりをしている)

日本とロシアが戦えば、日本とウクライナでロシアを挟み撃ちにすることになり、ロシアは西と東に戦力を分散させることになるため、ウクライナやNATOといった勢力側からすればメリットが大きいが、ロシア側からすれば最もあってはならないことであるはず。

日本とウクライナはNATO加盟国ではないのだから、攻撃を受けてもNATO条約第5条は適用されず、武器弾薬は提供するから自分達で戦えという方向に持っていかれてしまう。

日本の場合は米軍基地があるため、ウクライナとは異なっているが、万が一、日本が攻撃を受け、戦いに引きずり込まれてしまった場合、アメリカ政府が在日米軍をどの程度使うのかということになる。

「アメリカは何もしてくれませんよ」という専門家等の言葉が散見されるが、本国米軍ならともかく、在日米軍が本当に日米安全保障条約を履行しないということは考えづらい。

在日米軍も在韓米軍も、朝鮮戦争の時に何もしなかったということはなく、日本有事の際にも在日米軍が軍事衛星からの情報提供ぐらいしかやらないということはないはず。

つまり、本当にロシアが日本を攻撃してしまった場合、ロシアは在日米軍も相手にすることになる。

警察予備隊 - Wikipedia

 

アメリカにとって日本は極東の本拠点のような存在であり、インド洋・太平洋方面の米軍本部も存在しているため、やはり「何もしない」というのは不自然。

つまり、日本側から不信感を抱かれるようなことや、日本を捨てて米軍をハワイやグアム・サイパンに後退させることは恐らくない。

横須賀にある「第6号ドック」をはじめ、日本には様々な補給基地があり、そこを手放してしまっては米軍は相当勢力範囲を縮小させることになる。
今、日本で防衛費をGDP比2%にまで増額させようとしているのも、主にアメリカからの要求を聞き入れてのことであり、そういう意味ではアジアはアジアで米軍の大きい勢力を維持する狙いがあってのことなのだろう。

(それなりの経済力と面積のある補給基地がないと大きい部隊を展開することもできない)

日本、韓国、台湾、フィリピン辺りで何かあったとしても、日本を本拠点としてこれまでの勢力図に変更がないようにしようとしている。

日本としても大きい現状変更は好ましくないことであり、実際には戦いになどならなくても、抑止力も兼ねて極東の軍事力強化は必要ということらしい。

つまり、アメリカはこれ以上、自国以外で軍事費を費やすことができなくなってきているため、アメリカの同盟国は自分達で軍事費を増やして勢力の維持を図ってもらいたいということのようだ。
そして、アメリカは本国の防衛力強化に集中したいということでもあるのだろう。

 

 

 

・追記

【参考】