昔、グリコ・森永事件の犯人のせいで日本は悪い流れになっていったという持論を展開していた警察がいたが、そういうつまらない奴のせいで国が悪くなっていくわけではない。
最も国に強い影響を及ぼしているのは法案を通したりカネの使い道を決めている有力政治家のはず。
安倍や麻生は度々「台湾有事は日本有事だ。日米同盟有事でもある」などと発言しているが、台湾は日本の領土ではないのだから、他国・他地域のために自衛隊を派遣しようとしているのであれば、自衛のための戦争でもないことで中国と戦うべきだと与党最大派閥の会長が宣言していることになる。
安倍政権時に強引に押し通した安保法制を引き合いに出し、いくら安倍個人の言う「積極的平和主義」などというものを掲げても、集団的自衛権の行使を伴うのであれば、当然、それは憲法違反でしかないし民意ではない。
中国側にとって台湾は中国の領土だと主張しているのだから、中国が仮に台湾に侵攻するとしても本気で攻撃するはずはなく、例えばTSMCや鴻海といった企業が損害を受けるようなことはないだろう。
また、アメリカにとっても中国と本気で戦うはずはなく、アメリカ企業が猛反対するだろう。
そもそも安保理常任理事国同士が直接戦うということがあり得ないのだし、アメリカ政府は一つの中国を支持している。
しかし、日本が中国から攻撃を受けたとしても他国にとって大した損害はなく、極東の最重要拠点である日本が無力化されるようなことがあれば台湾は中国に対して抵抗しなくなるだろう。
(日本は素材に強い国であるため、素材メーカーで何かあればサプライチェーンにかなり影響が出る。例:半導体材料を生産するメーカーとして、信越化学、SUMCO、JSR、住友化学、TOK、富士フィルム、フジミ、昭和電工、AGC、三菱ケミカル、関東化学、三徳化学、三菱ガス化学、ステラケミファ、ダイキン、森田化学、トクヤマなど。半導体製造装置も世界シェアの高いメーカーがある)
つまり、このまま安倍が力を持つ自民にお任せしていれば、中国は日本を攻撃することはあっても台湾については軍事施設以外の場所を攻撃するとは思えず、日本はやられ役だということ。
「火遊びで焼け死ぬ」のは安倍・麻生だけにしてもらいたいものだが、マスコミはそのような人物を擁護しては野党叩きばかりしている。
(もし本当に中国が台湾に侵攻するのであれば、その時はロシアもウクライナに同時侵攻する可能性が高い。そうなれば米軍やNATO軍は対処しづらくなってしまう。)
(※追記 ウクライナはNATO加盟国ではないため、アメリカはウクライナのために軍を派遣するつもりはないと言っている。もしウクライナがNATOに加盟することがあれば「最も深刻な結果を招く」とロシアはアメリカに警告してもいる。また、日本と台湾との間に軍事同盟もないのだから、「台湾有事は日本有事だ。日米同盟有事でもある」というのはどういう意味なのか根拠が分からない。台湾には米軍基地もない。)
(※追記 ウクライナとジョージアは将来的にはNATOに加盟することが確約していて、ロシアはそれを撤回することを要求しているという記事があった。もしウクライナのNATO加盟が実現すればNATO条約第5条に基づいてウクライナは他の締約国と共同で行動を取るということになるらしい。)
※追記
実際の戦争としては、ビジネス上の利害関係や都合もかなり影響するのだろう。
中国や台湾には強いファウンドリがあり、幅広い分野で世界から受注のある工場があるが、そういう国の工場が操業停止になったり物流に影響が出たりすればどこの国も困ることになる。
日本の場合は自民・創価政権が特定の業種と癒着して法整備をしたり予算編成をしたりしてきたため、いつの間にかガラパゴス化していたり極度の国際競争力の低下や存在感の低下を招いてきた。
そういう国は経済成長もしなくなるため軍事力の低下だけではなく、ビジネスにおいても重要度が低くなり、戦争状態になれば負けやすくもなる。
法律というのは条文に書いてあることが全てではなく、実際には司法や行政の判断によるところが大きい。
例えば憲法9条には戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認が定められているが、それは無防備無抵抗を定めたものではなく、自国の自衛のための戦争まで放棄しているわけではないという判例もあるし、常識的に言って自国が侵攻を受けているのに何もせず自国を守る権利も放棄しますということも通常あり得ない。
従って自衛隊はそのような法の解釈をすれば憲法違反になる存在ではなく、憲法改正などというものも全く必要ないはず。
しかし、小泉純一郎はイラク戦争時に武力制裁を行う米軍と協調する形で自衛隊を派遣した前例があり、これは国際紛争を解決する手段として部分的に武力を行使したと言っていいように思える。
つまり、法的根拠が明確ではなくても行政のトップの判断で自衛隊を戦地に派遣することは可能ということになる。
集団的自衛権とは「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利」だと政府は解釈しているらしいが、やはりこれも、日本と軍事同盟がない国であっても場合によっては集団的自衛権の行使が可能になるかのようにもとれてしまう。
今はイラク戦争で自衛隊を派遣した時とは違い、安保法によって法的根拠まである程度は出来ているのだから、より一層、武力衝突の可能性が高まっている。
結局のところは行政のトップであり自衛隊の最高指揮官である首相の判断ということにもなるのだろうし、その人物に強い影響力を持つ安倍は不用意な発言をするべきではないはず。
参考