言語の獲得について考える時、最も参考になるのは人間の子供の能力。
なぜ子供は語彙力も社会経験も乏しいのに会話ができるのかというと、まず遠慮をしないから意識せずにとりあえず口に出すということができるという性質が理由として考えられる。
子供には会話に必要な基本機能が備わっている。

何事も基本機能が最も重要であり、一番最初に獲得しなければならないものでもある。
基本的に言葉は音で覚えている。だから間違った使い方をすることもある。「的を得る、的を射る」「どおりで、どうりで」など。

言語の獲得がAIにとって難しい理由は人間や動物のように音で覚えることができないためだろう。

人間であっても大人になってからでは外国語を習得するのが難しくなるが、これもやはり子供と同じような音による覚え方をしていないためだと思われる。

ただニュース番組などを聞き流していてもほとんど覚えないが、これは余計な情報が多すぎるためだろう。
音楽というのは何度か聴けば何十年経ってもそのメロディを覚えているものだが、その曲が何の曲なのかということまでは覚えていないことが多い。

言葉もしばらく話していなかったことで母国語のように身に付いた言葉を忘れるということは通常ない。

言葉には文字と音があるが、文字に関してはしばらく使っていないとすぐ忘れるものだが(これは漢字などでよくある)、音としての言葉はすっかり忘れて分からなくなるということはない。

このことからも、やはり言葉は基本的に音で覚えるものだといえる。

少なくとも音の方が覚えやすく忘れにくいのは確かだろう。

学校などでよくやっている板書の書き写しは全く何の勉強にもなっていない。