2026年7月のテーマ

「タイトルが"○○の日"の本」

 

第二回は、

「復活の日」

小松左京 作、

角川文庫 1975年発行、2018年改版発行

 

 

 

です。

 

私が読んだのは、一番上のPickの表紙デザインで、2020年発行(改版6版)のものです。

だけど検索するとPick二番目の表紙デザインの角川文庫もあるし、一番下のものもハルキ文庫である。

上の二つは出版元が株式会社KADOKAWAで、一番下のハルキ文庫は版元が角川春樹事務所。

どうやら二つの会社は別の会社らしいです。

上記三つの中だと個人的には一番上の表紙デザインが好みかな。

 

この小説は、日本SF界の巨人(だと思う!)・小松左京さんの傑作で、ハリウッドともタッグを組んで映画化された有名な作品です。

いつか読みたいと思いながらそのままになっていて、先日ついに初読を果たしたのですが、そのいきさつについてはまた後で。(誰も興味ないかもですが…。)

ちなみに前回記事のコメントで"「復活の日」とかどうですか"とメッセージをいただきまして、その鋭さに驚きつつ、一方で「やっぱりSF界では超々メジャーなタイトルだよねー。気づかれないわけなかったかー。」と己の浅はかさに恥じ入るばかりでした。

 

…さて、あらすじを。

東西冷戦真っただ中の1960年代後半、各国では兵器開発の一方でひそかに細菌兵器の研究が行われていた。ある研究所から盗み出された危険な菌が事故によりばらまかれてしまった。感染後70時間以内に生体の70%に急性心筋梗塞を起こし、残りも全身麻痺で死に至らしめるMM菌は爆発的な感染力で世界中へと広まっていく。

人類の滅亡が現実味を帯びてきたとき、残された人々が生き残り、人類という種をつないでいくために何をすべきか。世界の終末を描いたSFの傑作です。

 

私がこの作品を知ったのは多分学生くらいのとき。金曜ロードショーだか他の映画番組だかでこの作品の映画(1980年に映画化)を目にしました。だけどその時テレビでみたのは、映画のラストシーンだけ。たぶん3分か5分くらい。草刈正雄さんが一人で歩いていて、ある場所へたどり着く…ただそれだけしか知らないまま、いつか最初からちゃんとみるか小説を読もうと思って数十年が経過してしまったのでした。

 

そのまま忘れるともなしに忘れていたのですが、この小説がコロナ禍の折に再び注目を集めたのです。

パンデミックの世界を描いた小説として、カフカ「ペスト」なんかと共にメディアで取り上げられていました。

そこからまた私の読書リストに名を連ね、先日ようやく読むところまでこぎつけたというわけです。

 

いやーもう…ねえ。傑作ですよ。

まず、コロナウィルスのパンデミックを経験した後に読んだからこそ、この本に登場するMM菌の恐ろしさや社会の混乱が現実味をもって感じられました。あの時期の医療現場の混乱や価値観の違いからくる人々の対立、それまでの生活が一変してしまう怖さを思い出したくない人は読まないほうがいいと思います。

私も正直つらく感じられる場面がありました。

しかし、実際にパンデミックが起きてはいない1970年代に書かれたこの小説で描かれている社会の混乱が、まるで未来を予言していたかのように感じられるので、それはそのまま作者のイマジネーションのすごさなんだと思います。

 

私がこれまでに観たパニックものや終末ものの映画では、人と人とのつながりがテーマとして描かれていることが多く、もし世界がなくなってしまうとしたら最後にしたいことは何だろう、とか、最後に一緒にいたい人は誰だろう、なんて考えさせられるつくりになっているとよく感じていました。

だけどこの小説にはパンデミックの進行に伴って人々が世界の終末を意識し始めるようになってからも、もし世界がなくなってしまうなら…いう個人への問いかけを促すようなシーンはほとんどありません。

 

一部の人々は運命に抗おうと戦い、一部の人々は自分の運命を受け入れつつも最後に何か役立つものを残そうとする。

個人の幸福を考えることももちろん大事なんだけど、人類の行く末なんていうとても大きなものを見据えてストーリーはどんどん進んでいきます。

 

そして、世界の終末のお話なのに、タイトルは「復活の日」。人間社会はいつの日か復活するのか…。タイトルからはそのような希望を感じます。とにかくスケールの大きいお話です。

 

最後に。私はかなり昔にこの作品の映画のラストシーンだけ見て、それがすごく印象的だったので、ずっと覚えていました。そして、"小説の最後はきっとあのシーンに行きつくはず"と信じて疑わずに小説を読んでいきました。果たして、ラストシーンは…同じじゃなかった!(小説の最後は記憶している場面とちがってた。)

ストーリーとしては矛盾はないと思うので、映画はあれでよかったのかもしれませんが、個人的には結構ショッキングでした。そのうち映画の方もちゃんと見てみようかしら…。

(同じ小松左京さんの小説が原作の映画「日本沈没」は、中学生の時に理科の授業でビデオを見たことがあります。先生が映画好きだったせいかも。あの映画もショッキングだったなあ…。)

 

それから、小説では科学的な説明がきちんと入っているので、MM菌の特性だとか、なぜパンデミックが起きてしまったのかとか、打開策はあるのかとか、今の私なりに理解できました。が、SF(サイエンス・フィクション)ってやっぱ難しいよ。

 

映画だと設定を丁寧に説明する余裕はないからすごく大雑把にまとめてあって、よくわからなくてもストーリーは進んでいくしお話としては分かるからそれでも問題ないんですが、小説だとお話の前提となっている部分がちゃんとしてないと説得力がなくなってしまうので、読み手側もつまらなくなってしまうように思います。だから私のような文系脳のおばさんでも、理解したいと思って読んでます。ゆえに難しい~となってしまうのかな。

 

というわけで、超々メジャーなSF作品「復活の日」。読んだことない、観たことないという方、おすすめです。(*^▽^*)