2025年11月のテーマ
「私が何度も読んでいる漫画」
第二回は、
「ダンジョン飯」(全14巻)
九井諒子 作、
KADOKAWA ハルタコミックス、2014年~発表
です。
物語の概要とあらすじを。
とある島の墓場の地下に巨大な迷宮が出現して長い時が過ぎました。今では迷宮の奥にあるという黄金の国の宝を求めて、多くの冒険者たちがこのダンジョンにトライしています。6人パーティでこのダンジョンに挑んでいた冒険者ライオスの一行は、探索中に食料を失って空腹のままドラゴンに挑み、全滅寸前のところで妹のファリンが放った魔法で地上へと帰還します。しかし当のファリンは帰還できず、ライオスは妹を救出に向かおうとするのですが荷物は全部迷宮の中で、探査に必要な食料の調達すら難しい状況。加えてパーティメンバーの離脱。ライオスを含めて3人の残ったメンバーで乏しい装備のまま妹の救出に向かわねばならず、ライオスの提案で食料を現地調達することになります。つまり、迷宮内の魔物を狩って食料にすることに…。魔物食の研究をしているというドワーフのセンシが合流し、一行は迷宮の奥を目指すのでした。
この作品もアニメ化されていまして、私はアニメから入ったくちです。
まず絵がかわいい。適度にコミカルにしてあって、シリアス過ぎないところもいいです。
昨今異世界ファンタジーというジャンルの作品が多くありますけれど、異世界なのに、ファンタジーなのに、現在の日本の要素が混じってるというか、現代人の視点で異世界を観察することによって面白みを出しているようなものもあると思います。(いわゆる転生ものとかで、現代のサラリーマンが異世界の○○に転生して云々かんぬん…的な?…偏見ですけれども…。)
だけど、この作品はどちらかというとファンタジー色強めで、現代的な要素といえば料理(調理法)くらいかなと。
食べたことのない魔物をどう調理すればおいしく食べられるのか…魔物食研究家のセンシが主に調理してくれるのですが、これがおいしそう。魔物といっても頭が鶏で尾が蛇のコカトリスとか、植物系のマンドラゴラなど、人間世界の肉や野菜に近いと思われるものも多いのです。一方で、人型に近い魔物はNGですし、そうでなくても魔物というだけで体に取り入れるなんてとんでもない、食べたくないという気持ちも登場人物たちにはあったりします。
迷宮内の食物連鎖について考えたり、しっかり食べることが動物が活動するうえでは何より大事だという話も繰り返し出てきます。食べるということは命をいただくことだということも…。
しかしながら、この物語の本筋はライオスの妹を救出すること。そのために迷宮の奥へと向かうこと。
ちゃんと目的があってそれに向かって進んでいくんだけど、道に迷ったり、足止めを食らったり、うまくいかなかったりと、しっかり冒険しています。
キャラクターも魅力的で、主人公のライオスはトールマン(人間)、妹ファリンの親友・マルシルはハーフエルフで、鍵開けと罠解除担当のチルチャックはハーフフット(見た目は小柄な人間だけど別の種族)、センシはドワーフ。他にもノームとかオーガとか、この作品の世界にはたくさんの種族が共生しています。
私はわりとファンタジーが好きなので、異世界ファンタジーならきっちり世界を作ってほしい派です。(「指輪物語」とかが大好きなので!世界観大事!)「ダンジョン飯」では、ファンタジーとして物語も世界観もちゃんと作られていて、妹を救うという目的に向かって迷宮の奥へと分け入ることで、迷宮の謎にも迫っていくストーリーが、"先が読めなくてワクワクする"展開になっています。
一度読めばストーリーはわかってしまうんですけど、それでも何度も読んでしまうのは、絵の可愛さと面白く珍しい魔物料理の数々、登場人物同士のユーモアのあるやり取り、魔物の生態についての解説など、漫画の細部にちりばめられているいろんなこだわりをもう一度探したくなってしまうからです。
通り一遍読んだだけでは、味わい尽くしたとは言えないと感じる…逆に言うと、味わい尽くしたくなってしまう漫画なんです。
この作品は、冒険ものの異世界ファンタジーであり、グルメ物でもあり、動物(魔物)の解説なんかも入れてあって…と盛りだくさんの漫画です。読む人がどこに興味を惹かるかは人それぞれかと思います。
「ダンジョン飯」おすすめいたします。(*^▽^*)
