2025年2月のテーマ

「映画って面白い!」

 

第二回は、

「トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦」

2025年公開(初公開は2024年 香港)

 

 

です。

 

今年1月に公開された映画なので、当然まだDVDやブルーレイは出てません。

私は紹介する作品のビジュアルイメージを見せたくていつもアフィリエイトを張り付けているので、今回はパンフレットの画像で失礼します。(PVとかの映像を張り付けてもいいのかもしれないけど、どこまでが許可されていてどこからがダメなのかよくわからないので…。調べる気力がなくてすみません。)

 

香港のアウトロー・カンフー映画です。

あらすじは…。

1980年代の香港。本土からの密航者・陳洛軍(チャン・ロッグワン)は香港での身分証を手に入れようとして黒社会の大ボスに目を付けられ子分になれと打診されますが、拒否したために追われる身となります。逃げ込んだ先の九龍城砦は、香港社会におけるはみ出し者や事情を抱える人たちが身を寄せ、別の黒社会のマフィア・龍捲風(ロン・ギュンフォン)が仕切る縄張りでした。

しばらくの間働きながら逗留することを許されたロッグワンはやがて同世代の若者たち<信一(ソンヤッ)、十二少(サップイー)、四仔(セイジャイ)>と友情を育んでいきます。やがて九龍城砦を我が物にしたい大ボスとの大戦争に発展していきます。

 

一言でいうと、青春やくざ映画です。

香港の黒社会で生きる若者たちの友情と戦いがメインストーリーなんですが、それは主人公ロッグワンの視点で観た時のお話。

もう一人の主人公ともいえるロン・ギュイフォン(ロン兄貴)の側のお話もあって、彼自身の友情だとか、過去の因縁だとか、贖罪だとか、こちらにも色んな物が詰まっています。

この二人の人間ドラマを軸に、香港返還直前の1980年代の九龍城砦で繰り広げられるマフィアの抗争を描いてあり、観終わった後、なんだかもう…すごいごった煮なんだけど食べてみたら「なんだこれ激うま!」としか言えないっていう感覚に近かったです。

映画の感想を言おうとしても、いっぱいありすぎて何から言えばいいのかわからないみたいな。

 

まず、物語の背景からいうと、時代はイギリスから中国への香港返還の直前。歴史的背景からイギリスにも中国にも属さない場所になっていた九龍城砦は、香港警察も入れない場所。訳ありの人たちが勝手に住み着いて大きなコミュニティにまでなってしまっている。けれども返還に際して、ここだけほったらかしってわけにはいかないので、住民たちには立ち退いてもらわないといけないし、地主から土地を買う形で国家の土地にしなくてはならない。というわけで、莫大なお金が動く場所になっていて、大ボスはその金を狙っているというわけです。

九龍城砦は実際に香港に存在した場所ということは私も知っていましたが、そこが政治的空白地帯になっているだとか、そうなってしまった歴史的背景とかは知りませんでした。結果として、この映画を観たのをきっかけに知ることができました。

 

また、この映画は小説・漫画が原作になっていて、原作自体もすごい人気だそうです。

戦闘シーンで拳でコンクリートの壁をぶち抜いちゃったり、殴られた人が吹っ飛んで壁を突き抜けて廊下に飛び出しちゃったりと現実離れしているのも、漫画の表現を再現しているからのようです。

そのため、荒唐無稽なレベルで人間離れしたカンフーアクションになっていたりもするのですが(鈍器で頭を殴られたり、コンクリートにぶち当たったりしているのに死にはしない頑丈さとか)、一方でかなり血が流れますし死に物狂いの戦いになっていて、目を覆いたくなる場面もたくさんありました。

(残酷な映像や流血が苦手な方には向かないかもしれません。)

ただ、大ボス役が、かつてジャッキー・チェン、ユン・ピョウと共に香港三大スターの一人だったサモ・ハン・キンポーさんで、彼のカンフーシーンが見れたのは感動でした。

ワイヤーアクションだとしても、もう…御年70代はくだらないでしょ。

若い頃もあの体格であの動きはすごいと思ってみていましたけれど、今も現役とは恐れ入ります。

役者としても、大ボス、すごい迫力でしたよ。

 

映画の主要舞台となる80年代の九龍城砦の描写もすごかった。

今はCGとかあるけれど、どこまでがセットでどこからがCGなんだろうって観ている最中にも思ったくらいです。

九龍城砦では狭い空間で人々が生活していて、飯屋や雑貨屋みたいな商店もあるし、お堂みたいなところでお祈りしてる人もいる。かと思うと裏通りでは怪しげな取引も行われているし、住んでいる人たちだって善良な人ばかりではない。

警察が入ってこれない場所なんだから、基本的に危険。インフラも住民たちが工夫して勝手に引っ張ってきてるから、ちょっとしたことですぐ不自由になる。ロン・ギュイフォンは黒社会のボスなんだけど、自治会長みたいな仕事をいっぱいしてる。そういう日常の描写と、バトルになったときの狭い通路や何層も重なった住宅の屋根の上を走って飛んで物が壊れていく描写との両方があって、まさにカオスでした。

 

最後に、映画批評などで聞いたことがある(誰が言っていたかはもうわかりませんが)、"アジア映画では、悪い奴はとことん悪い"というのがいまでは私の持論にもなっています。この映画でもその持論は間違っていませんでした。本当に悪一本やりのキャラクターって出てくるんですよ。やることすべてが胸糞悪くなるような。

これから観る人は心して観てください。心構えがあれば少しは憤慨する気持ちが抑えられるかも。

 

きりがないのでこの辺で終わりにしておきます。

まだ劇場で観れるのかわかりませんが、香港マフィア・カンフー映画のこの作品、おすすめいたします。(*^▽^*)