2025年2月のテーマ
「映画って面白い!」
第一回は、
「ロードオブザリング ローハンの戦い」
2024年公開
です。
去年12月に公開された映画なので、当然まだDVDやブルーレイは出てません。
私は紹介する作品のビジュアルイメージを見せたくていつもアフィリエイトを張り付けているので、今回はパンフレットの画像で失礼します。(PVとかの映像を張り付けてもいいのかもしれないけど、どこまでが許可されていてどこからがダメなのかよくわからないので…。調べる気力がなくてすみません。)
まずはあらすじから。
「ロードオブザリング」の時代より200年前の中つ国、ローハン。
時の王、ヘルムは拳で敵をなぎ倒して退け、ローハンを統べる偉大な王でした。彼には三人の子供がおり、長男のハレスは勇猛な若武者、次男のハマは歌(詩)を愛する心優しき若者、末娘のヘラは男性も舌を巻く騎馬術の活動的な女性です。兄弟の母はヘラ出産の折に亡くなっており、ヘラは父によって兄と共に育てられます。
ローハンという国は、複数の部族の共同体。部族の長たちが集まる評議会で西の境の有力者で野心家のフレカが、自分の息子のウルフとヘラを結婚させてはどうかと提言します。王はこの申し出がやがて王位を簒奪する計画の端緒だと見抜き、断りますが、フレカは承知せず争いに発展しついには悲劇が…。復讐を誓ったウルフはやがて勢力を集めてローハン王家との全面戦争に突入していきます。
映画「ロードオブザリング 二つの塔」で"ヘルム峡谷の戦い"のときに触れられていた、"かつてこの場所で行われた戦い"というのがこの映画の戦いです。
「ロードオブザリング」三部作が大好きな身としては、アニメというのはちょっとなあ…という気持ちは正直ありました。
「ロードオブザリング」シリーズの映画「ホビットの冒険」三部作を観た時も、追補編をもとにしているとはいえだいぶ創作を加えて作られるということは、良いところもあるんだけど、私の中では「ロードオブザリング」には及ばないと言わざるを得ませんでした。今回の「ローハンの戦い」も追補編のエピソードを膨らませたオリジナルストーリーと聞いていたのであまり期待はせずに見に行きました。
とはいうものの、トールキンが生み出した中つ国という世界を、トールキンが描き切れなかった部分も含めてもっと深く知りたい!という情熱が「ロードオブザリング」シリーズの作り手にはあるんだと思いますし、私も中つ国のことをもっと知りたい!という気持ちはもちろんあります。
で、映画を観た結果として、「あり!これはロードオブザリング的にアリだよ!」でした。(何様のつもりなんだか…映画関係者の皆様にお詫びしたいです。)
まず、ストーリーが良かった。オーソドックスな悲劇の復讐物語なんですが、場面場面の描写が丁寧で、ベタな展開なのに物語に引き込まれるというか。
序盤にフレカの政治的な策略でウルフがヘラに結婚を申し込む場面があるのですが、二人は幼馴染で仲が良かったという前提があり、もともとウルフはヘラのことが好きだったよう。だけどヘラの方はそんな気持ちはなかったし政略的な結婚だともわかっているから断られちゃう。結果、ウルフは傷つくわけですが…。
私はもうおばちゃんなんで、そのシーンを見ただけでもう「ウルフのバカ、バカ!好きなら政治的な場所でいきなり申し込むんじゃなくて先に一対一で彼女に打診しろよ。そしたらちょっとは考えてもらえたかもしれんのに、女心の分からんやつめ。なんでそれで受け入れてもらえると思った?自分の気持ちだけ押し付ける男は嫌われるぞ。」と若いウルフ君に言いたいことが山ほど出てきちゃいまして、映画を観終わった後も感想としては「ウルフは初手を間違えた」と言いたい!
で、話が進むほどにどんどん拗らせていくウルフを熱演されていた声優の津田健次郎さんが素晴らしかったです。
憎しみや恨みがこもった低い声、苦しい気持ちを吐き出す時の絞り出すような声、憎しみを叫んでいるのに哀しい哀しいと言っているように聞こえるときもありました。
この映画の主人公はヘラだし、ヘラの演技(声優さん)も素晴らしかったんだけど、何といっても津田健次郎さんのウルフが一番でした。この映画はハリウッドの映画なので、世界のいたるところで上映されると思いますが、私は日本語版じゃないと損すると言いたいくらい、良かったです。
また、主人公のヘラですが、戦う女性としてだけではなく、父や兄を思う優しさを持ち、女性的な強さを持っているという風に描かれていたのが印象的でした。「ロードオブザリング」でローハンの盾持つ乙女として戦いに赴くエオウィン姫とはちょっとタイプが違っていて、エオウィンを尊重してキャラの造形をされたことが感じられました。(パンフレットにもそのあたりのことが書いてあって嬉しかった。)
アニメ好きな方はご存じたと思いますが、この映画の監督・神山健治さんは「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」や「精霊の守り人」などのアニメを監督された方で、戦う女性、強い女性を上手に描いてこられた監督さんです。それだけに、ヘラの描き方も中つ国・ローハンの社会に合わせた強い女性の描き方をされていて、見事でした。
あと、「ロードオブザリング」では名前だけしか出てこない伝説のローハンの偉大な王・ヘルム王が動いてしゃべって戦っているのが見れたのも、私的には感動でした。
ちなみに、この映画に関しては、アメブロガー・りっぷさんのブログ「*ホビットがいっぱい*」で詳しく書かれていますので、そちらをご覧になってみるのも楽しいと思います。
トールキンの世界観を分析してイラストで解説して下さっているブログです。
「ローハンの戦い」を観た後、私は「ロードオブザリング」熱がぶり返し、三部作全部をスペシャル エクステンデッド エディションで観返してしまいました。
「ロードオブザリング」ファンの方も、そうでない方も、一見の価値ありの映画です。(控えめな表現なのは私がオタク熱高めなので、暴走している自覚があるからです。)
「ロードオブザリング」崇拝者で期待せずに観に行った私がころっと参ってしまったこの映画、劇場は無理でも配信やDVD、ブルーレイで、ぜひ!
おすすめします。(*^▽^*)