2024年3月のテーマ

「歴史上の人物が登場する漫画」

 

第一回は、

「パリピ孔明」

四葉タト 原作、小川亮 漫画、

講談社、2020年~ 発行

 

 

 

です。が…

実は私漫画の方は読んだことがなく、アニメで鑑賞してこの作品を知りました。

ので、

 

 

こちらが本日のおすすめです。

漫画ではなくアニメになってしまうんですが、原作が漫画ということで今回のテーマのカテゴリ内ということにしたいと思います。

 

あらすじは…五丈原で死を迎えた孔明は現代の渋谷によみがえり、駆け出しの歌手・月見英子の歌に感銘を受け、彼女の軍師(マネージャー)となることを決意。前世でなしえなかった「太平の世を作る」という目的を現世においては英子の歌で人々を幸せにすることと位置づけ、策をもって彼女のバックアップをしていく…というお話です。

主人公が歌手として成長していく物語なので、ちゃんと歌が聞ける分、アニメで観る意味があったと私は思っています。

 

実は私はもともとこの作品には全く興味がなく、むしろ避けたい部類に入ると思っていました。

小学生の頃から横山光輝さんの漫画「三国志」を読んで育ったため、幼少期の尊敬する偉人は"諸葛亮孔明"であり、その孔明様がパリピ(!?)とは到底受け入れられなかったのです。

つまり、タイトルだけでもう拒絶反応の域でした。

 

ところが家族がアニメの配信をつけてしまって、嫌でも目に入ることに…。

アニメで目にした孔明は意外なことに私の中の孔明のイメージを壊してはいませんでした。

イメージを言葉にすると、"知的で冷静で品があり民のため戦う劉備に忠義を尽くし、策の一環として人心を操ることも厭わない冷酷さも持ち合わせている。博識で度胸があり劉備のもつ仁徳(仁愛の徳。情け深く慈しみ深い。※「コトバンク」より)を大切に考える人物"と言ったところでしょうか。

ちなみに孔明というキャラクター自体は全くパリピ感はありませんでした。

 

もっとも、これは"パリピ"という言葉で表現される人達に対する私の偏見があったことは否めません。

パリピ(=パーティーピープル)という言葉は、お祭り好き…もっと言えば騒ぐのが好きで、ノリが良くないとだめで、大きな音を出して楽しむ人達。そして、周囲の迷惑を顧みないで騒ぐというイメージもセットでついてきたりして(実際はあくまで一部の人だということはわかっているのですが…。)、インドア派の私にとっては少々苦手な人々、という印象でした。

 

この作品では、主人公の英子ちゃんがクラブでアルバイトしながらシンガーとして舞台にも立っているという設定で、ダンスフロアでお酒を飲みながら楽しく踊っている人々や、流行りの音楽を追いかける若者たちがたくさん出てきます。

この作品に出てくるパリピの世界はシンプルに"楽しく騒いでいる人々"の世界であり、しかるべき場所で集まって楽しんでいるわけで、閑静な住宅街で大音量を流しながらBBQをするといった迷惑行為とは無縁です。

 

そういった渋谷のクラブで音楽を楽しむ人達の中において、孔明が三国志の孔明のまま存在しているって、シュールです。全然違う世界の人物をそのままのキャラでパリピの世界に持ってくる発想に驚きです。

また、クラブのオーナーが三国志好きというキャラクターなので、孔明と三国志のネタをしゃべるシーンがちょいちょい出てきます。

実際、作品の中にも三国志ネタが入れてあって、三国志好きにはたまりません。

(今さらですが、私が言っている"三国志"は史実を元にした中国の古い小説"三国志演義"であり、日本で三国志というとほぼ"三国志演義"をさしていると思っていいです。)

 

また、蛇足ですが、アニメの中で登場人物がコインランドリーで本を手にしているシーンがあるのですが、その時持っている本が「三国志」の漫画で絵面から見て横山光輝さんの「三国志」そっくり!(表紙はおそらく関羽とみた!!)

やっぱりね~。この孔明は横山・三国志の孔明だよね。

なんて、うれしくなってしまいました。

 

ちなみに、三国志が好きな方でも、孔明のイメージが同じとは限りませんよね。

私の周りにいる三国志好きの方々には、吉川英治さんの小説「三国志」を読んで好きになった人、ゲーム会社コーエーが作ったシュミレーションゲーム「三国志」で好きになったという人、私みたいに横山光輝さんの「三国志」が好きだという人など様々で、みんなベースとなっている"三国志"が違っていたりします。

私は北方謙三さんの「三国志」も読みましたが、横山光輝さんの漫画とはだいぶ雰囲気が違いました。

ですので、「三国志」好きの方がみんな「パリピ孔明」の孔明を良しとするかはわかりません。

ただ、変に現代風なキャラクターにしていないのと、作品自体に「三国志」のエピソードがたくさん取り入れられているので、三国志愛が感じられる作品であることは間違いないと思います。

漫画の方は読めていませんが、機会があったら読んでみたいと思っています。

アニメ「パリピ孔明」おすすめいたします。(*^▽^*)