2024年2月のテーマ

「モヤモヤしたときにいいかもな本」

 

第二回は、

「鴻上尚史のほがらか人生相談」

鴻上尚史 著、

朝日新聞出版、2019年 発行

 

 

です。

 

著者の鴻上尚史さんという方を、私はこの本で初めて知りました。

演出家の方だそうです。

この本は元々朝日新聞出版から出ている「一冊の本」という月刊誌に連載されていた記事を、インターネットのAERA.dotが掲載するようになって人気が出、書籍として出版されたという経緯があります。

書籍化されたおかげで、私も知ることができ、ありがたい限りです。

 

内容は寄せられた人生相談に鴻上さんが答えていくというものなんですが、人生相談となると重い内容のものや切実な内容のものもあり、何より相談者にとってはつらい気持ちを打ち明けているわけです。

それに対する鴻上さんの回答が、とてもあったかくてかつ、実際的で良いのです。

 

お悩み相談のコーナーって、これまでも雑誌やテレビでもありましたし、占い師の人に聞いてもらうなんてのも耳にしたことがあります。でもって、当たり前のことですが、答え方は人によって様々です。

叱咤激励する、喝を入れる、という場合もありますし、「僕なら・私ならこうする」と行動を促す場合もあります。

鴻上さんの場合は、相談者の悩みをちゃんと聞いてくれて、その上でその人が今できることは何かを考えて答えてくれるので、温かみが感じられるし、読んだ後とてもすっきりするのです。

 

数あるお悩み相談コーナーで相談を寄せている方々は、"聞く人"のパーソナリティーにある程度の信頼を持って、場合によってはその人に何か言ってほしくて、相談するのではないかと思います。

つまり、問題を解決してくれそうかどうか、ということよりも、この人に聞いてほしい・そして何か意見を言ってもらいたい、ということが重要なのではないかという気がするのです。

だって、アドバイスって、どんなに内容が的確でも、してもらいたくない・この人に言われたくないって時ありませんか?

私はあります。

悩んでいればいるほど、自分が信頼している人、または魅力を感じている人に相談したいし、そういう人の言葉なら受け入れられる気がします。

場合によっては、「解決策はわかっているけど意にそぐわない、だから一歩踏み出すために、好きな人に叱咤激励してもらうだけでいい。ただ背中を押してほしい。」ということもあります。

 

鴻上さんの場合は、"相談者が信頼できる人"なんだと思います。

「背中を押してほしい」という場合でも、実際のところは、自分ができるかもしれない解決方法を示してもらえれば尚よいですし、優しく背中を押してもらえるとより勇気が出ると思います。

 

鴻上さんは演出家ですが、私はこの本に出会うまで存じ上げませんでしたし、芸能人や有名人または心理カウンセラーなどではないので、名前や肩書からくるイメージだけではここまで人生相談の人気が出るとは思えません。

寄せられる相談に対する取り組み方や回答の仕方が読者を納得させているのではないかと思います。

 

ちなみにこの本はシリーズ化されていまして、今現在で5冊ほど出版されています。

私は4冊目までしか読んでいないので、これから続きを入手する予定です。

人生には人によっていろんな悩みがありますが、今の自分に近しい悩みではなくてもいつかわが身にも来るかもしれないと思いつつ毎回鴻上さんの回答を読んでいます。おすすめいたします。(*^▽^*)