2024年2月のテーマ

「モヤモヤしたときにいいかもな本」

 

第一回は、

「壁を破る言葉」

岡本太郎 著、

イーストプレス、2005年 発行

 

 

です。

 

芸術家・岡本太郎さんの名言集です。

岡本太郎さんといえば、1970年の大阪万博の「太陽の塔」を作ったことで有名ですが、造形作品ばかりではなく絵画をはじめとした色んな作品をたくさん残された方であり、生き方そのもの、存在そのものが芸術であるかのような方でした。

 

私が岡本太郎さんについてある程度の知識を得たのは20年位前に、岡本太郎さんが書かれた「今日の芸術」という本を読んだためです。

たまたま家族が古本屋さんで購入して読んだ後置きっぱなしになっていたのを手に取ってみたら、ズガーンと来てしまい、一気読みしてしまいました。岡本太郎さんが芸術と向き合い芸術について熱く語られている本なのですが、作者の歩んできた道(つまり経歴)などにも触れられていましたし、作品のカラー写真なども少しついていて(私が読んだのは文庫版でしたけども)、文章から作者のエネルギーがぶわーっと噴き出しているようでした。

 

「今日の芸術は、うまくあってはならない。きれいであってはならない。ここちよくあってはならない。」

 

という文言はあまりにも有名です。

 

以来、岡本太郎さんに対する認識がガラッと変わってしまいました。

それまでは、"アバンギャルドな芸術家"という認識しかなく、パワフルな人だなーと遠くから眺めるばかりの有名人でしかなかったのですが、この時を境に、"誰にもまねができない唯一無二の芸術家"・"エネルギーの塊"・"他者の心に訴えかける作品を生み出すことのできる真の芸術家"という風になっていったのです。

 

そこで、今回おすすめする「壁を破る言葉」のお話に移りたいと思います。

この本は"自由"、"芸術"、"人間"と三部に分かれており、一ページに一言ずつ岡本太郎さんの言葉が載っています。

一言といっても短いものとは限りません。

 

以下に少し抜粋します。

・人に理解されたり、よろこばれようなんて思うな。

 むしろ認められないことを前提として、

 自分を猛烈につき出すんだ。

("自由"より)

 

・自然に生き、自分の気持ちを

 ほんとうに伸ばしてゆこうとすれば、

 まず、いたるところで残酷に、壁に突きあたる。

("人間"より)

 

この本に載っている言葉は本当に力強く、エネルギーに満ちています。

 

余談ですが、私の好きなコージーミステリーのシリーズで、主人公たち(カフェを経営する三人の女性)が気分を上げるためにアファメーション(肯定的宣言)という儀式(?)をする場面があります。

壺の中にお気に入りの格言や啓蒙的な言葉、聖書の文言などを紙に書いて入れておき、手を入れて一人一人引いた言葉を読み上げるというものなのですが、中には『やるかやらぬかだ。試しなどいらぬ。(by.ヨーダ/スター・ウォーズ)』なんてのも入っていたりして、固い言葉ばかりではないところが良いなあと思っていました。

 

私は「壁を破る言葉」を買った時、このアファメーションのように使ってみるつもりでした。

モヤモヤしたときに、ランダムに開いてそこに書いてある言葉からエネルギーを分けてもらおうと。

実際には一ページ一言だけでは足りなくて、結局何ページもめくってしまっています。

 

凡人の私には、岡本太郎さんの言葉通りに行動を起こすことは正直難しかったりしますが、

 

これくらいの気概がなくてどうする!

 

という気持ちが沸き起こってくることは確かで、"エネルギーを分けてもらう"という意味では効果を実感できているわけです。

 

ちなみに、私が持っている単行本の帯には出版元のイースト・プレスからのメッセージとして

「出口を探している、すべての人へ」

という言葉が書いてあります。

 

エネルギーを分けてもらえる本なので、モヤモヤ気分を吹っ飛ばす効果もあると思います。

おすすめいたします。(*^▽^*)