2023年7月のテーマ
「子供と一緒に読みたい児童書」
第二回は、
「エルマーのぼうけん」
ルース・スタイルス・ガネット さく、
ルース・クリスマン・ガネット え、
わたなべしげお やく、
福音館文庫 1965年発行
です。
1948年にアメリカで出版された児童書で、作者のルース・スタイルス・ガネットは元は研究所で働く化学者だったとか。
挿絵を描いているルース・クリスマン・ガネットは作者の義理の母親だそうです。作者の父親も書評家で作家ということで、文学一家だったようです。
お話としては、エルマー少年が拾って世話をした野良猫から、どうぶつ島という島に囚われている竜の子供の話を聞き、竜を助ける冒険に出かける…というものです。
どうぶつ島には恐ろしい動物たちが住んでいて、足を踏み入れたものは帰ってこないと言われています。
しかし、エルマーが拾った老いた野良猫は、かつてその島に入り竜とも会ったことがあります。そして帰ってきているので、野良猫の情報をもとに知恵を絞って竜のところまでたどり着く、その過程がこのお話の面白いところです。
イラストも楽しいお話の雰囲気を伝えてくれていると思います。
個人的には表紙のイラストが秀逸だと思います。この場面を表紙に選んだ編集の人、最高!
私が子供の頃から学校の図書室に置いてあったような、超メジャーな児童書ですので、読んだことがあるかないかは別として、見たことあるという人がほとんどではないかと思います。
小学校低学年向けの短くて読みやすい本で、読み聞かせにもいいんじゃないかと思います。(※何回かに区切って)
それから、この作品は児童書には珍しい(と私は思います)、三部作!の第一作です。
児童書で三部作ってあんまりないと思います。
「シリーズが三作ある」という作品はたまに見かけます。
だいぶ前におすすめした、「おにの子あかたろう」のシリーズなどはそうです。
でも、三部作ではない。
三つのお話が繋がって大きな一つのお話になっている、というのが三部作だと私は思っています。
その意味で、「エルマーのぼうけん」の後に続く「エルマーとりゅう」「エルマーと16ぴきのりゅう」は絶対セットで読んでほしい作品です。
「エルマーのぼうけん」が竜を助け出すお話。
「エルマーとりゅう」は助けた竜に家まで送ってもらう帰り道のお話。
「エルマーと16ぴきのりゅう」はりゅうが自分の家に帰りついた後のお話。
となっていて、三作を通してエルマー少年とりゅうは本当に友達になったんだなと私は感じました。
三作読んでみると、ただ冒険を楽しむだけの作品ではなくて、疲れた相手を思いやったり、当たり前に約束をちゃんと守る姿勢だったり、困っている他人に手を貸してあげたり、そういうことがさらっと自然に描かれているのがとてもやさしい本だと思います。
子供の時に多分読んだことあるはずなんですが、大人になって内容をすっかり忘れていた私…。
おそらく三冊を順番も時期もばらばらに読んでしまって、お話が繋がっていることに気づいてなかったんだと思います。
何せ、人気があった本なので、たいてい誰かが借りていたなあという印象だけが残っているので。
そのうえ、第一作目と第三作目の表紙絵は見覚えがあるんですが、第二作目の表紙は全く覚えがないので、読んでなかった可能性もあります。
子育て期にシリーズを通して読み返して、いい作品だなあ…と再認識しました。
家の子供たちが本の敵年齢の時期に興味を示さなかったのはとても残念です。
昔からある児童書って、やっぱり名作なんだなあと思いました。
ぜひ、三部作全部読まれることをおすすめいたします。(*^▽^*)