六月の閑話休題です。

 

2023年6月のテーマ

「"ホームズ"が出てくる本」

 

でおすすめしてまいりました。

 

"ホームズ"をモチーフにしたり、オマージュする形で取り入れたりしている作品はごまんとあって、私が取り上げた作品は氷山の一角にすぎません。

私の知らない作品もたくさんあると思うので、お気に入りの作品やおすすめの作品があれば教えていただけると嬉しいです。

 

私はホームズの名がタイトルに入っている作品を見つけると、ついついチェックしてしまいます。

シャーロキアンを名乗れるほどは造詣が深くありませんが、それでもホームズ好きの部類には入るかなと自分では思っています。

そこで、本だけではなく映像作品も含めて、"ホームズ"が出てくる作品を見ていく中で私が思ったことが今回のタイトルになっています。

 

日本ではワトソンの地位が低すぎる!

 

私は、本家ホームズにおいて、ホームズとワトソンは対等の友情関係にあると考えています。

しかし、日本の作品において、"ホームズ"と"ワトソン"の間に友情を感じることはあまりありません。

 

海外のドラマでは、

 

・"ホームズ"は初め"ワトソン"を軽んじていたが、その後見直して、友情が芽生える

 (でも"ホームズ"は相変わらずえらそう)

 

というパターンが最近ではあります。

 

BBCの「シャーロック」はまさにそんな感じでスタートして、回を重ねるごとに"ホームズ"と"ワトソン"の絆は深まっていきます。この作品のシャーロックは"頭が良すぎて変人"というのを前面に押し出しているので、本人自身が自分のことを"高機能社会不適応者"と言っていますし、基本他人に興味がない。一方でワトソンはシャーロックをすごい奴だと思いつつも、自分らしさを持っていて、決して"ホームズ"の陰に隠れる様なキャラではありません。二人は友人同士である意味バディなのです。

 

もう一つ、アメリカのドラマ「エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY」もこのケースになります。

依存症患者の付き添いを仕事にしている元医師のワトソン(ルーシー・リュー)は、芯があって強い女性。

片やホームズは付き添ってもらう側でありながらこれを拒否している患者の立場。

初めはワトソンを拒絶していたものの、彼女の能力の高さを知るにつれ、信頼し尊敬の念を抱くようになっていきます。ワトソンが女性ということもあり、恋愛ものになっていくのでは?と思われる方もいらっしゃると思いますが、そこは置いておいて、強い友情で結ばれる関係へと変わっていきます。

 

日本でもディーン・フジオカさんが"ホームズ"・誉獅子雄(ほまれししお)を演じた2019年のドラマ「シャーロック アントールド ストーリーズ」ではそんな感じでした。

でもちょっと弱かった。友情が感じられる場面というのはあまりなかったように思います。ワンシーズンで短かったので、掘り下げる時間が足りなかったというのもあるかもしれません。

 

私の知る限りでは、海外に比べると、日本の作品ではとかく"ワトソン"の影が薄い。

前回おすすめした「怪人二十面相」では明智小五郎の助手である小林少年がワトソン的な立ち位置にあたると思いますが、彼にとって明智探偵は神のような存在(言い過ぎかも…)で、対等な友人関係とは言い難いです。

ただ、この作品に限って言うと、少年向けの小説で主人公が少年なので、大人の明智小五郎と対等の友人関係というのは作品が書かれた時代的にも無理があるので仕方ないと言わざるを得ません。

 

同じく少年が主人公の「名探偵コナン」では、主人公自身が"ホームズ"キャラで、対等の友人といえば西の高校生探偵・服部平次をおいて他ありません。が、しかし、平次がワトソンかと言われると、やっぱり違います。コナンと平次はライバル同士であり、その上に築き上げた友情なので、決してコンビでも相棒でもないからです。そういうわけで、「名探偵コナン」においてはワトソンにあたるキャラはいないというのが私の解釈です。

 

相棒、という言葉が出たのでドラマ「相棒」の二人について考えてみたいと思います。

杉下右京亀山薫(初代・右京の相棒)は紛れもなくバディ関係で、お互いをリスペクトしあっています。作品における立ち位置的に、亀山薫がワトソンの役割を担うことも多いので、私からすると亀山薫はかなり自己主張は強いが"ワトソン"だと思っています。

本家ホームズはワトソンの一人称で物語が綴られているので、基本的に活躍するのはホームズで、ワトソンはその観察者、スポットライトを浴びない場所にいます。ホームズのすごさをワトソンが記録しているという体なので、自分の体験を描く一人称の作品とは違って、作中のワトソンは常に控えめで自分に関しては謙遜しているようにも感じられます。

しかし、ホームズのワトソンへの信頼やリスペクトが感じられる場面が要所であり、彼らの間に友情が感じられます。

「相棒」では二人の間に信頼とリスペクト、そして友情が感じられるので、杉下右京の代々の相棒はワトソン役…それもかなりキャラの立ったワトソンだと私は思っています。

 

でもこれはかなりレアなケースです。

基本的に、日本の"ホームズ"が出てくる作品ではワトソン役はいなかったり、影が薄かったりということが多いです。

先に挙げた「怪人二十面相」「名探偵コナン」以外でも同じで、「京都寺町三条のホームズ」も私に言わせると"ワトソン"不在。ドラマ「IQ246」和藤奏子(わとうそうこ)法門寺沙羅駆(ほうもんじしゃらく)には相手にされていない印象です。

アニメで「歌舞伎町シャーロック」というのも観ましたが、この作品の"ワトソン"はキャラが濃いけれども"ホームズ"との関係は友情で結ばれているとは言い難くて、私的にはホームズの隣にいるけど"ワトソン"とは別のキャラクターのように見えました。

 

海外ドラマでがっつりとバディ関係を築いている"ホームズ"と"ワトソン"をみると、どうしても日本の作品において"ワトソン"は<"ホームズ"の横で彼のすごさを目の当たりにする一般人>という役どころが多いように感じてしまい、なんだか複雑です。

本家ホームズで、ワトソンがそこまでホームズと対等なバディであったかというと、そこまで前に出ていないと思います。

昨今、色んな"ホームズ"が描かれるようになって、私が"ワトソン"にもそれを期待してしまっているのかもしれません。

でもやっぱり気持ちとしては、ホームズとワトソンの間には信頼とリスペクトのある友情が存在する、という形を望んでしまう自分がいます。

今回のタイトルはその心の叫びでした。

 

さて、来月のテーマとまいりましょう。

夏休み前によくやっているあのテーマ、

 

2023年7月のテーマ

「子供と一緒に読みたい児童書」

 

でおすすめしたいと思います。

ただし、今回は、読み聞かせとか、子供と共有するための本というのではなく、今の大人が子供の頃にもあった児童書を中心に、"子供にも読んでほしい児童書"という観点で選びたいと思っています。

ご興味ありましたら覗いていただけると幸いです。(*^▽^*)