2023年4月のテーマ
「はじまりの物語」
第一回は、
「最新版 指輪物語 旅の仲間 (上)(下)」
J・R・R・トールキン 著、瀬田貞二・田中明子 訳
評論社文庫 2022年発行
です。
実は私は最新版は読んだことがなくて、手元にあるのは新版の方です。
最新版は訳文と固有名詞を全面的に見直したものなので、これから読むならこちらがいいかなと思いますし、私もそのうち最新版読みたいと思っているのでこちらを載せることにしました。
ちなみに新版は表紙の絵が美しいです。
さて、"はじまりの物語"としておすすめするには「待った!」が入りそうなこの作品。
「指輪物語」の世界観の作品としては「ホビットの冒険」の方が出版されたのも早いですし、物語の時系列的にも先です。
「指輪物語」という作品自体が今は三部作と言われてはいるけれど、もともと三部作として書かれたものではなく、出版の都合で編集された結果"三部作"になったそうです。
ゆえに、「指輪物語 旅の仲間」を"はじまりの物語"と位置付けることに納得がいかない方も多いはずと思います。
それでも私はこの本を"はじまりの物語"として推したいのです。
「ホビットの冒険」は「指輪物語」で"一つの指輪"を持っていたビルボの冒険物語で、児童文学として書かれたものです。
大人にもファンが広がった作品ではありますが、どちらかというと今では「指輪物語」から入って「ホビットの冒険」も読むという方が主流なのでは??と私は思っています。
スター・ウォーズでいうとエピソード4、5、6が"はじまりの物語"っていう感覚と似ている感じです。
もっとも、スター・ウォーズは実際に作られたのもエピソード4、5、6が最初ですけれど…。
話を戻して、なぜこの作品を"はじまりの物語"として推したいかについて書きたいと思います。
「指輪物語」は闇の王サウロンが力を取り戻しつつある時代に、かつてかの魔王が力を込めて作った"一つの指輪"をめぐる物語です。主人公のホビット(体が小さく自然や平和を愛する種族)、フロド・バギンズが"一つの指輪"を永久に滅ぼすため、滅びの山を目指す旅にはいろいろな種族からなる旅の仲間がいます。
冒険ファンタジーものでは、主人公を助ける仲間が次々と加わって一つのパーティができるというのはもはや定石のようなところがありますが、大体が「西遊記」のように一人、また一人と加わっていくためのエピソードがあって、集まった仲間でいざ、、、という辺りが物語の一区切りという感じがあると思います。
「指輪物語 旅の仲間」はそういう型には当てはまらない、というのが私にとってはいいです。
パーティが集まるまでのエピソードでもそうですし、集まった仲間でいざ、、、からがこの本は長い。
まだ読んだ事がない方のためにネタバレはしませんが、メンバーそれぞれの決意が固まって一区切りというところが、続きを知りたくてたまらなくなってしまうんです。
編集でそのようにうまくまとめて切ったんだとしたら、編集した方にも素晴らしいと言いたいです。
最後まで読むと、ここから本当の旅が始まるんだなあという感慨があって、まさしく"はじまりの物語"だと思います。
以前にも、「指輪物語」のおすすめ記事を書いたことがあるんですが、「指輪物語」については語りたいことがいっぱい!という作品です。
あくまで私の感じた"はじまりの物語"としておすすめしておりますので、よろしくお願いいたします。
というわけで、「指輪物語 旅の仲間」をおすすめいたします。(*^▽^*)