2022年5月のテーマ

「神話の本」

 

第三回は、

「ベーオウルフ 妖怪と竜と英雄の物語 サトクリフ・オリジナル7」

ローズマリ・サトクリフ 作、井辻朱美 訳、

2002年発行、原書房

 

 

です。

 

私の記憶と本の装丁が違う気がするので、自分が過去に読んだものか今回ちょっと自信がないんですが、、、『ベーオウルフ』の物語を知っていただきたいので、たとえ私の記憶が間違っていたとしても、サトクリフの再話なら間違いないと思います。

 

『ベーオウルフ』は北欧神話のお話と言われています。

が、資料として残っているのは8世紀頃のブリテン(イギリス)の叙事詩で、古英語で書かれた物語です。

イギリスに最古の資料があるものの、物語の舞台がデンマーク、スウェーデンであることや、北欧神話の叙事詩(サガ)につながる部分が説明もなしに出てくるため、サガで知られている人物名や伝説を知っている人々が聞き手でなければ意味が分からない部分があることから、北欧神話をよく知る人々の間で語り継がれていた物語であろうといわれています。

 

『ベーオウルフ』は勇者ベーオウルフが水妖の母子と闘う若き日の物語と、老齢になってから火竜と闘う物語の二部構成になっています。

第一部は王の祝宴の騒ぎに怒った巨人グレンデルが人々を襲撃して殺戮を行い、この化け物を退治しようと待ち構えるベーオウルフと戦いになるのですが、最終的に母親の水妖とも戦うことになるという英雄譚。

ベーオウルフ本人は若くて力強くてすんごくマッチョな感じで、ギリシャ神話のヘラクレスみたいだと私は思いました。

第二部では老齢になっているのですが、火竜とまたしても大格闘。年を取って最盛期よりは体力的にも衰えている状態で竜と格闘!?英雄ってやっぱ違うな~と思いつつも、体力の衰えだったり人間的な一面も感じられたりします。

神話の一部だとは思うんだけど、英雄って神の祝福を受けていても人間なんだなあって感じます。

(『ベーオウルフ』は読んでから時間が経っているのに対し、ちょっと前に『イーリアス』を読んじゃっているのでどうも思考回路がギリシャ神話的になりがちです。北欧神話での『ベーオウルフ』のとらえ方は全然違うかもしれません。あしからず。)

 

もともと、私がこの物語に興味を持ったきっかけが2007年公開のロバート・ゼメキス監督の映画『ベオウルフ/呪われた勇者』を観たことでした。

怪物との格闘シーンでちょいちょい人物までCGが入っていて、観ていて気になるところもありましたが、『ベーオウルフ』ってこんな話なの????となったので本で読もうと思った次第です。

映画の方では解釈が現代的というか、本を読んだことで、神話ではそこまで書いてないよねってところを一つのストーリーとしてまとめてあるんだなと、個人的に満足しました。

映画の方はとにかくアンジェリーナ・ジョリー演じる水妖が怪しい美しさでものすごい存在感でした。ストーリー的にも母の愛がすごく濃く出ていたと思います。

エンタメ的にはアリなストーリー展開だと私は思いました。

 

ゲームや映画、漫画、ドラマなどなど。

エンタメに神話のキャラクターが出たり、物語がちょっとだけ語られたりすることもよくあると思います。

そこをきっかけに関連する神話の世界をのぞいてみるのもいいんじゃないかと思います。

とはいいつつ、私もマーベル映画の『マイティ・ソー』を観て北欧神話が気になりつつもまだほとんど読んでいなかったりします。まとめて読める面白い北欧神話の本ってないかなー。

ともあれ、『ベーオウルフ 妖怪と竜と英雄の物語』おすすめいたします。(*^▽^*)