2021年8月のテーマ

「わんこが活躍するミステリー」

第一回は、

「お茶と探偵➂ アール・グレイと消えた首飾り」

ローラ・チャイルズ 作、東野さやか 訳

ランダムハウス講談社、2006年発行

 

です。

 

以前に記事で紹介したことがある、お茶と探偵シリーズの第三弾です。

この記事でも書いているのですが、お茶と探偵シリーズは1~11まで発行していた出版社が今ではなくなってしまい、12作目以降が原書房さんから出ています。

ですので、今回おすすめするシリーズ三作目は現在中古でしか入手できません。

 

入手しにくい本をおすすめするのは良くないかもしれませんが、私はこのシリーズが大!好きなのです。

 

アメリカのサウスカロライナ州チャールストンでティーショップを経営するセオドシア・ブラウニングが街で起こった事件に挑むミステリーシリーズなんですが、ティーショップで出されるおいしそうなメニューの数々や、アメリカ南部の観光地であるチャールストンで催されるイベントの描写が物語に華を添えています。

 

いわゆるコージー・ミステリー(居心地のいいミステリー)なので、本格推理物が好き!というミステリーファンの方にはお口に合わないかもしれませんが、雑学好きな方には案外受け入れていただけるのではないかと思います。

というのも、お茶にまつわる薀蓄や、南北戦争の遺物、稀少切手のコレクションについての話など、毎回興味深い情報が詰まっているからです。

 

さて、シリーズ全体ではなく本作の話に移りたいと思います。

タイトルにあるアールグレイは主人公セオドシアの愛犬でとてもお利口なわんこです。

セオドシアがお店の裏で雨に打たれて震えていた雑種の仔犬を家族に迎えたのが、アールグレイ。

ダルメシアンとラブラドールのミックスではないかと彼女は考えていて、彼のことはダルブラドールと呼んでいます。

訓練を受けたのちに介助犬団体のビッグポウズに所属し、セオドシアに連れられて老人ホームや病院を訪問するセラピー犬としてお仕事もしています。

 

第一作目から登場し、その後ずっと名脇役としてシリーズに登場しますが、最も活躍するのがこの第三弾。

本作は、セオドシアの友達が催した婚約パーティで指輪が盗まれたのを皮切りに、街で次々と高価な品が消えているのを知ったセオドシアが、怪盗の暗躍を疑って捜査をするというお話です。

 

ミステリーに限らず、主人公が動物を飼っているという作品は時々見かけますが、個人的にはストーリー上でがっつり相棒(ミステリーなら探偵役として役立つとか)でない限り、シリーズ物などではだんだんと出番が少なくなって影が薄くなっていってしまうように感じます。

あるいはマスコット的な感じでちょこっと出てくるとか。本ではなくてドラマとかアニメとかの印象かもしれません。ぼんやりとした感想ですみません。

 

アールグレイは、本作ではストーリーにがっつり絡んできますが、シリーズのほかの作品でも影が薄いとは言えません。

セオドシアがアールグレイと一緒にジョギングするシーンやセラピー犬として活動するシーンは毎回のようにありますし、セオドシアが落ち込んだときには肩を貸して存分に泣かせてあげたり、誘拐されてしまう作品もあります。

アールグレイは彼女の日常を描写する際には必要不可欠な存在であり、彼女の精神的支柱といってもいい存在です。

つまり、お茶と探偵シリーズにとってなくてはならない存在なのです。

私は子供の頃犬を飼っていたことがあるせいか、犬が好きなのでアールグレイというキャラクターが大好きです。

彼が活躍するコージーミステリー。おすすめいたします。(*^▽^*)