2021年2月のテーマ

「名作!海外文学」

第二回は、

「かもめのジョナサン 完成版」

リチャード・バック 著、五木寛之 創訳、

新潮社 2014年発行

 

 

です。

 

超有名な作品ですので、ご存じの方も多いと思います。

この小説は1970年にアメリカで出版されましたが、当初はさほど人気が出た作品ではありませんでした。

アメリカ西海岸のヒッピーたちの間で口コミで広まり、1972年以降大ヒットになったのです。

日本でも1974年に五木寛之氏の翻訳版が出ています。

 

今回ご紹介する【完成版】は、最初に出版されたときにはなかった《最終章》が追加されたものです。

《最終章》は、作者が「かもめのジョナサン」を執筆した当時すでに書き上げていたものですが、本人が不要と判断して載せなかったそうです。打ち捨てられていたその原稿が、たまたま発見されて作者自身が目を通したところ、出版から40年以上未来にあたる今、この原稿をあるべきところに配置しようと思い至ったそうです。

 

かれこれ20年位前、私も「かもめのジョナサン」を読みました。

当然、《最終章》がない初期の版のものです。

多分まだ学生だったんじゃないかと思います。

初期版のラストは、ジョナサンの生きざまの集大成が語られたような感じがあり、私には、目の前に大きな広い世界が広がっているような自由な未来を想起させられました。

私が読んだのは出版から20年後くらいなので、ある意味冷静に文学として面白いなと思いましたが、1970年代のアメリカで自由を求めたヒッピー文化の空気の中では、この作品の自由感のようなものが熱狂的に受け入れられたというのもわかる気がします。

 

いまさらですが、「かもめのジョナサン」は寓話です。

かもめの社会で生きるジョナサンという名の一羽のかもめのお話ですが、人間の社会の縮図となっています。

飛ぶことに夢中なジョナサンがその道をきわめようとするお話です。

 

私の中では、<あるパイオニア(先駆者)の物語>という風に位置づけられていたのですが、20年ぶりに【完成版】を読んでみると、初期版のラストまで読んだ時点でその位置づけが間違っていたなと感じました。

単なるパイオニアの物語ではない、ジョナサンには神々しさというものがあるのです。

読む人によっては、宗教っぽさを感じると思います。

そこから追加された《最終章》を読むと、ジョナサンの伝えた自由の精神がその後どうなったかということが書いてあり、初期版のラストで物語は頂点に達していたのだと感じました。

 

自由への熱気が沸き立っていた1970年代から40年経ちました。

《最終章》は、今の時代に読むにふさわしいラストだと思います。

 

今読んでも、この物語は私の『気持ち』を刺激する本です。

初版版を読んだことある方もない方も、この【完成版】をおすすめいたします。(*^▽^*)