2020年5月のテーマ
おうちにいよう
第二回は、
<ストレスに勝つメンタルのヒント!セレクション>
と題しまして、以下の作品をチョイスしてみました。
・映画「オデッセイ」 2015年
です。
実は先日観たばかりです。
人類が火星に調査隊を派遣し始めた頃のお話。
第3次調査隊(ミッション名:アレス3)は火星に到着して6日目(火星時間で)に大嵐のため帰還を余儀なくされます。撤退途中に起きたハプニングで隊からはぐれ、たった一人で火星に取り残されてしまったマーク・ワトニーが火星で生き抜いていくというストーリーです。
すでに概略は知っていたので、火星でサバイバルなんて、スリリングで悲壮感漂う映画なのかなと思いながら見始めたら、違ってました。悲壮感をあまり感じない・・・あれ?
人類は火星に探査に入ったばかりで、人間が住めるような環境ではもちろんありません。空気もない。水もない。あるのは、調査隊のためにあらかじめ火星に送られていた物資だけ。本来の予定では、<ハブ>というテントの中に装置で作り出した空気を満たして、6人の調査隊が一か月間生活する予定でした。帰るための宇宙船(ロケット?)はほかの隊員とともにはるか彼方に飛び去ってしまった…。
この環境で生き残れる可能性を考えると、控えめに言っても絶望的だと思います。(私が悲観的な人間なのでそう思っちゃいます。)
でもマークくんはちょっと違う。
まず、現状を分析して、<ハブ>が無事でラッキー!食べ物は…いつまでもつか計算。とりあえずすぐには死なないから、一つずつ問題を解決しよう。考える時間は山ほどある…とポジティブです。
地球との交信手段をどうやって得るか?
帰る方法はあるのか?
食料が尽きるまでに食料を作れないか?
問題は山積みですが、一つずつ解決策を考えて実行していきます。
いつも成功するわけではなくて、時には失敗もしますし、予想外の新たな問題に出くわすこともあります。
彼の環境では、そのたびに命の危険を感じることになるわけですが、成功したときは喜び、失敗したときは悔しがり、次の問題に取り組んでいきます。
過酷な環境で孤独と闘いながらも、絶望したりしないで行動するマークくんの姿勢に感心することしきりでした。
火星で生き抜くためのサバイバルですから、宇宙物理学や化学の細かい話がたくさん出てきますが、わからなくてもまあ支障ないと思います。
この映画には原作の本がありまして、映画を観た後にそちらも読んでみました。
・「火星の人」
アンディ・ウィアー 著、ハヤカワ文庫SF、 2014年 発行
です。
私にしては珍しく電子版で読みました。すぐに読みたかったので。
本で読むと、マークくんの明るさがより感じられます。
彼の記録はユーモアにあふれていますし、うれしい時には「イェイ!」、がっかりしたときには「クソッ!」と感情をあらわにします。
このお話で、私は彼からストレスに勝つヒントをもらった気がしています。
彼は宇宙飛行士ですから、一般の人よりメンタルは強くなくては務まりません。
けれど、「彼がメンタルの強い人間だったから過酷な環境に耐えられた」と片づけることには同意しかねます。
マークくんが精神状態を維持している方法として私が感じたのは、
感情表現が豊かであること。
必要以上に悲観して妄想を膨らませないこと。
問題を見つけて一つずつ解決していくこと。
どれも特別な能力というわけではなくて、普通の環境ならば「明るい性格のやつだな」くらいですむ特徴ではないでしょうか。
なんにせよ、彼を見ていると
ストレスに強いということは、我慢強いということではないと感じます。
ストレスの多い環境でも、人間らしい感情を忘れないことが普段通りの自分を保っていく秘訣ではないかと思いました。
もちろん、マークくんのメンタル維持にスポットを当てて観なくても、普通にSF冒険アドベンチャーとしても楽しめる作品です。
おすすめします。(*^▽^*)