2019年5月のテーマ

「旅を感じる本」

第二回は、

「旅の絵本」

安野光雅 作

福音館書店 1977年発行

 

です。

 

文章は一切なし。絵だけの絵本です。

中世?の中部ヨーロッパを舞台に、一人の旅人がもくもくと旅をする様子が、繊細なタッチの絵で描かれています。

4、5歳~小学校低学年向き、とされていますが、街や自然の様子などが克明に描写されていて、大人の私でも心躍る絵本です。

私がこの本に出会ったのが、何と中学校の図書室!だったので、もっと対象年齢が上の本かと思っていました。

絵がオシャレで大人っぽいと感じていましたし。

 

何しろ文章がないので、はじめに出てきた人物(=旅人)を、ページの中から探して目で追っていくのですが、大きな街に差し掛かると群衆の中から旅人を探すのが大変。

「ウォーリーを探せ」状態です。

 

とにかく安野さんの絵が素敵で、絵本の中の旅をゆったりと味わってほしいシリーズです。

全部で8冊あって、いろんな地方の旅が楽しめます。

 

余談ですが、安野光雅さんの絵本は他にもとてもユニークなものがたくさんあって、

例えば、「はじめてであうすうがくの絵本1」

 

は、小さい子を対象とした数学の入門書ですが、小人たちが数の不思議について学ぶという形になっています。

小さい子に「数」に親しんでもらうという趣旨の本は、たくさんありますが、大体1~10まで数えるという内容で、2、3歳を対象としている物が多いように感じます。

「はじめてであうすうがくの絵本1」は、もう少し対象年齢が上で、内容も濃い・・・というか、数学の基礎的な概念にちょっと踏み込んだような内容になっています。数を数えるだけじゃないんです。

 

もう一冊、「ふしぎなえ」

 

もおすすめです。

こちらはだまし絵の絵本です。

安野さんの繊細な絵で描かれただまし絵は、子供のみならず、大人も楽しめる一冊です。

 

テーマの「旅」から話がだいぶそれてしまいましたが、安野光雅さんの絵本は小さい子を対象としていながら、ユニークなコンセプトと魅力的な絵が大人をうならせる…そんな絵本だと思います。

 

今まで読んだことないという方は、ぜひ「旅の絵本」で安野光雅ワールドを体験していただきたいと思います。(*^▽^*)