2019年2月のテーマ
育児の参考になるかもな本
第二回は、
「『がまんできる子』はこう育てる」
多湖輝 作、PHP文庫 2006年発行
です。
amazonにPHP文庫版がなかったので、今回は、アフィリエイトなし…つまり、紹介画像なしです。
ちょっと画面がさみしいですが、ご容赦ください。
タイトルだけ読むと、『ザ・育児書』という感じです。
著者の多湖輝(たごあきら)さんは心理学者です。固定観念、つまり頭の固さは諸悪の根源であるとし、物事にはいろんな見方があると知ることの大切さを説いた方です。
頭を柔らかくする、という観点から生まれた、思考パズル本の「頭の体操」という本のシリーズがベストセラーになっています。近年では、謎解きRPGゲーム「レイトン教授シリーズ」のナゾを監修していた方でもあります。残念なことに、2016年に90歳で亡くなられています。
幼児教育に関する本をたくさん書かれていて、今回ご紹介する本はそのうちの一冊です。
2006年発行の本なので、著者が80歳の時に発行された本ということになります。
世代的に、根性論の厳しい子育てを推奨されているのではないかなという偏見で読み始めたのですが、さすがに頭の柔らかさを説く多湖さんの本は一味違いました。
この本には、子供に"がまん"を教えることの大切さと、どのように教えればよいかという方法が書かれています。
"がまん"という言葉は、大人の私たちですら嫌なものです。
自分を押さえつけること、または、無理やり制限を受けなくてはならない状況、といったことを連想してしまいます。
でも多湖さんは、「"がまん"は嫌な事やつらいことに耐えることではない」といいます。そうではなくて、「夢や目標の実現のために自分をコントロールすること」だというのです。だから、子供たちが幸せな未来を手にすることができるように、"がまん"できる力を養いましょうということが説いてあります。
では、どうやって"がまん"できる子に育てるのか?
日常生活でやれる小さな心がけがたくさん書いてあります。全部やるのは無理かもしれませんが、そのうちの一つ二つは新たにやってみようと思うかもしれませんし、いくつかは「既にうちでやってるわ」というものもあるかもしれません。人によって、『あっ』と気付く内容はそれぞれだと思います。
私の場合は、「親ががまんしている姿を見せましょう」という文言に、なるほどと思いました。
今はコンビニがあって24時間買い物ができる。なんでもスピーディ。便利になって、大人も我慢することをやめている。そんな大人が子供に「がまんしなさい」と言ったって、子供は馬鹿らしくてやってられないでしょう。
親にとっては耳の痛いことも書いてありますが、決して古風な厳しいしつけを推奨する本ではありません。
幼児教育の本ではありますが、親である大人たちに対する教育の本でもあります。
私としては、あまり悩みすぎているときに読むのではなく、少し心が落ち着いているときに読むことをおすすめいたします。
心理学の先生の書いた本ですから、どちらかというと、『~しましょう』と説明文調です。悩んでつらい気持ちの時、共感してほしい!と思っている時には向きません。
でも、やさしい文体で、たくさんの事例を挙げて、なるほど、と思わせる内容になっています。
決して今の子育てから見て古い考え方だということはありません。むしろ、子育て中ではない方にも、"がまん"の大切さを教えてくれる本だと思います。というわけで、おすすめいたします。(*^▽^*)