さて・・・
2018年9月のテーマ
読書の秋、世界文学に親しもう
ということで1900年以前の作品をいくつかおすすめさせていただきました。
海外の古い作品ばかりなので、どれもいろんな方が翻訳したバージョンがあり、いろんな出版社からいろんな形態で出版されています。
例えば、「パルムの僧院」は私は岩波文庫で読みましたが、新潮社からも文庫が出ているようですし、「ドリアン・グレイの肖像」で紹介した光文社古典新訳文庫でも海外の古典作品がたくさん出ています。
そこで、今回のテーマ、"文章との相性って大事です"という話になるのですが、海外の作品の場合、翻訳者や翻訳された時代によって日本語の文章が違います。
極端な例でいうと、「ハムレット」などは、古くは明治時代に活躍した小説家である坪内逍遥が翻訳したものもあります。当然、現代日本人の使う日本語とは違う、明治時代の日本語の文章の「ハムレット」なわけです。
私の場合、本を読んでいて、文章と相性が悪いと本にのめりこめないことがあり、ひどいときには途中で読むのをやめてしまうこともあります。
その一例として、学生の頃アガサ・クリスティーのポアロが出てくるミステリーを文庫本で読もうとしたのですが、どうも文と相性が悪かったらしく、途中で読むのをやめてしまい、今ではタイトルすら思い出せません。
しかしその後、ハヤカワ文庫から出ているクリスティー文庫に巡り合い、ポアロの、ひいてはクリスティーの大ファンになりました。
今ではクリスティー文庫の本はほとんど全部読んでますし、何度も読み返した本もあります。
何が言いたいかといいますと、海外の古典文学の場合は、同じ内容でもいくつもの翻訳バージョンがあるのだから、自分に合った文章のバージョンで読めば、ちょっと腰が引けていた本でも挫折せずに楽しんで読めちゃう可能性があるということです。
これが、日本の作家さんの作品であると、もうその文章がその方の固有のものなので、作家さん自身と相性が合わなかったとあきらめるしかない部分があるのですが(でも実は年月がたてば自分の内面が変わって苦手だと思っていた作家さんの文章が合うようになったりもするんです。おもしろいですよね。)、海外作品の場合は自分に合った文章のバージョンがないか比べてみることができます。
また、かつてポアロに挫折した時の私の話で申し訳ないんですが、本そのものとも相性が悪かったみたいなんです。
私が読もうとした本は文庫本で1ページの文字数が多く、行間が狭い本でした。
文章はちょっと古風で、堅苦しい感じ。
当時、私は学生でしたが、有名なミステリーを読んで楽しんじゃおうくらいの軽い気持ちで読み始めたものの、慣れない言葉遣いの文章が小さな字でぎっちりページを埋め尽くしている本は正直難しかったんだと思います。
私の読書経験が本に追いついていなかった、とも言えます。
要するにすぐに疲れてしまったんです。
それで最後まで読めなかった。
ちなみに今ではぎっちり詰まった本は読み応えがあってわりとすきです。
ですから、いくつものバージョンから選んで読める本ならば、ぜひとも自分に合った文章の本を手に取っていただくといいと思います。やり方も簡単です。最初の何行か読んでみるだけ。
それに、本屋さんでパラ見するだけで、文字の大きさ、行間の空き具合などもわかりますので、自分にとって疲れない本を選ぶこともできます。
蛇足となりますが、私の場合、文庫本をよく読むのですが、文庫本と一口に言っても出版社によって使っている紙の色味、手触り、カバーの感触など個性豊かで、やっぱりどこどこ出版のなになに文庫が好み♡・・・なんてことがあります。
ちょっとマニアックな感じになってきてしまったのでこの辺りで切り上げたいと思います。
みなさま、ぜひ自分と相性のいい本を見つけてみてください。
それでは、次回はハロウィンの月ということで、
2018年10月のテーマ
ちょっと怖い魔女が出てくる本
でおすすめしていきたいと思います。
魔女、というと引き続き海外作品が中心になってきそうですが、できれば飽きずにおつきあいいただければと思います。(*^▽^*)