2018年9月のテーマ
読書の秋、世界文学に親しもう
第三回は、
「ハムレット」
ウィリアム・シェイクスピア 著、小田島雄志 訳
シェイクスピア全集 白水Uブックス、 1983年発行
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ハムレット (白水Uブックス (23))
1,080円
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誰もがその名を知っている文豪、ウィリアム・シェイクスピアの四大悲劇の一つとされています。
有名すぎて、私が内容に触れなくてもあらすじをご存知の方が多くいらっしゃるのではと思いますが…。
父王を密かに殺害し、母と再婚して王座に就いた叔父へ復讐するデンマークの王子ハムレットの物語です。
1600年~1602年頃に書かれたものと推定されています。
シェイクスピアはかなり古い時代の舞台作家なので、もともと台本だったものをのちに本として世に出されたそうで、残っている古い資料の中には劇を見た人や演じた役者の証言をもとに別の人物が書き起こしたものもあるらしく、今も多くの研究者によって研究が進められているようです。
彼の作品は戯曲であり、通常の小説とは違って場面の短い説明と登場人物の台詞、ト書きによる役者への指示が少々、といったものになります。
そのため、私は舞台の上で演じられている中世の劇を想像しながら読み進めていました。(あくまで私個人のお話ですので、読む人それぞれに本を読むときのイマジネーションがあると思います。)
戯曲では、登場人物が感じていること、場面の風景、台詞の背景となる出来事、などを小説のように読者に向けて書くわけにはいきません。あくまで劇の台本ですから、前述したようなことを観客にわかるように登場人物の台詞で表現するしかありません。
シェイクスピアはその台詞づくりの名手だったのだと思います。
韻を踏んでいて聞きやすく、観客の心に残る台詞の数々は、様々な文学作品で引用されていますし、イギリスではシェイクスピアの引用がわかるということが知識人の証であった時代も古くには存在したと思います。
と、前置きが長くなりましたが、今回のおすすめポイントは、
"シェイクスピアの戯曲を味わって、なおかつその後の読書でも引用を楽しんじゃおう"です。
『シェイクスピアってすごいよ』みたいなことばかり前半書いてきましたが、ここからは、おすすめポイントにふさわしい作品として今回選んだ「ハムレット」について書きたいと思います。
「ハムレット」はシェイクスピアの作品の中でもとりわけ有名なもののうちのひとつです。
現代でも舞台化や映像化されているようなので、人気があるのだとおもいます。
先にも書いたように悲劇なんですが、彼は復讐を遂げるために気がふれてしまったかのように装います。
そのために場にそぐわないおかしい言動を繰り返すわけですが、嘆いている台詞の中には復讐をためらっているかのように聞こえるものがあったり、他人をいきなり罵倒する台詞の中に自分の置かれた境遇に対する怒りからくる八つ当たり的な印象を受けたり、いったい彼の真意はどこにあるのかと探りたくなってしまいます。
また、叔父に対する復讐が彼の最終目的であるのに、多くの人が巻き込まれて不幸な目にあいます。
悩みながらもそこまでする原動力は何なのか?
「ハムレット」には、はっきりとは解決できない人の心の複雑さが表現されている気がします。
私は人が不幸になるとわかっている作品、つまり悲劇はあまり好きなほうではないのですが、そんな私でも読んでみて印象に残ったことがたくさんありますし、面白かったです。
また、「ハムレット」にはとても有名な名台詞があります。
『to be,or not to be』・・・『生きるか死ぬか(それが問題だ)』と訳されることが多いようです。
哲学的な台詞ですよね。色んな小説で引用されています。きっと本好きの方なら一度は目にしたことがあるはずです。
もう一つ、「ハムレット」に出てくる美しい乙女、オフィーリアについて。
彼女を描いた絵画が一つならずあります。
彼女に訪れる悲劇は画家にとってドラマティックで美しい場面として想像されたのだろうと思います。
余談ですが、NHKの美術品を歌で紹介する番組、「びじゅチューン」で放送された『オフィーリアまだまだ』という曲のもととなった作品もこの「ハムレット」のオフィーリアです。本を読めばすぐにわかると思いますよ。
なんだか今回はシェイクスピアをおすすめしたいのか「ハムレット」をおすすめしたいのかはっきりしない内容になってしまいましたが・・・。
とにかく、一度はシェイクスピアの作品を読んでみるといろんな発見があって面白いですよ、ということと、「ハムレット」一回読んどくと全く別ジャンルの本を読んだときに思いがけなく出てきたりして二度おいしいですよ(不適切な言い方ですみません(;^_^A)、ということで。(シェイクスピアファンの皆様、素人の不適切な発言にお許しを(><;))
なんか不純な動機が混じっている感じが自分でもしますが・・・まだ「ハムレット」を読んでないかた、おすすめですよー。(*^▽^*)