さて・・・

2018年8月のテーマ

熱いぜ!○○


ということで、五作品おすすめしてきましたが・・・我ながら長い作品が多いですね。(;^_^A

 

 今回は、"北方謙三"「水滸伝」をおすすめした際に、おすすめポイントのキャッチコピーを『熱いぜ!漢(おとこ)たちの志』としたことについて、ちょっと触れてみたいと思います。

 "北方謙三"「水滸伝」では、基本的に『志』を語るのは男性です。

 時代背景もありましょうし、『志』が『戦い』の原動力として働いているのだとおもいます。

 一方で、女性キャラクターは『志』という言葉をほとんど使いません。

 男性に負けないくらい活躍する女性も出てはきますが、戦う動機は、自分の愛する生活の場や愛する人を守るためであったり、愛するものを失った復讐であったりするので、女性の行動原理は『愛』なのかなと私には感じられます。

 それゆえ『漢(おとこ)たちの志』だったりするのですが・・・実は私は"北方"「水滸伝」を読む前に、女性の『志』について考えたことがあるのです。

 

 それは2015年の大河ドラマ「花燃ゆ」をみていたときです。

 主人公の文(のちに美和と改名)は、吉田松陰の妹。長州藩の志士たちを間近に見ながら幕末から明治維新の激動の時代を生きた女性です。

 ドラマの中で兄の吉田松陰は松下村塾を開き、塾生らに『君は、何を志しますか?』と常に問いかけます。

 松陰によって長州藩の志士たちの胸にはそれぞれの『志』が宿ります。

 メディアなどによると、このドラマの中で文(美和)の役割は"人と人をつなぐこと"・・・とされていたのですが、私にはそれだけだとは思えませんでした。

 激動の時代に何度も生活が一変するような人生を送りながらも、文(美和)は機会あるごとに読み書きのできない女性に読み書きを教えていました。

 彼女の生家は学問を大切にしていて、文(美和)はその時代の下級武士の娘でありながら学問をすることができたのです。

 津田梅子さんは女性にも高等教育を受けられるように尽力したパイオニアですが、文(美和)は自分のできる範囲で女性が学問をすることを手伝った・・・つまり、女子教育のすそのを広げることに尽力した人物として描かれているように、私には見えたのです。

 "女性が学問できるように手伝う"というのが文(美和)の『志』だったのだな、と思いました。

 今となっては見ていたころの記憶もあやふやな部分が多いので、ドラマの中で文(美和)の『志』をはっきりと語った場面があったか定かではないのですが、私としては妙に納得しました。

 

辞書によると、

・こころざし【志】

 ①心に決めて目指していること。また、何になろう、何をしようと心に決めること。

 ②相手を思いやる気持ち。人に対する厚意。

 ③好意、謝意などの気持ちを表す贈り物。

 ④追善供養。

とあります。

 『志』とは、心に決めること。『大志』でなくてもいいのです。

 女性は男性よりも身近なものを大切にする傾向があり、いわゆる『大志』は抱かないかもしれません。

 しかし、女性がひっそりと心に決めて貫いていること、を『志』と呼んでもいいのではないかと「花燃ゆ」では感じさせてもらいました。ただ、ここで私が書いたような女性の『志』は、"熱いぜ!"と感じる部類のものではないですね。(^ - ^)

 

なんだか長くなってしまいましたが、

次回は、

2018年9月のテーマ

読書の秋、世界文学に親しもう

でおすすめしたいと思います。

対象は最近のものではなく、1900年以前の作品からチョイスしたいと思っています。(*^▽^*)