2018年8月のテーマ

熱いぜ!○○

第五回は、

「水滸伝」(文庫版 全19巻)

北方謙三 作

集英社文庫 2011年 第一巻発行

 


です。

 

中国の四大奇書の一つとされている「水滸伝」をもととして、作者の北方謙三氏が自身の解釈により物語全体を再構築し創作を加えてある、原典とは全く別の「水滸伝」といわれています。

それゆえ今回のおすすめ本は、"北方謙三"「水滸伝」なのです。

 

実は私は原典の「水滸伝」はきちんと読んだことがありません。

しかし、子供の頃に漫画家の横山光輝氏の漫画版「水滸伝」(全8巻だったと記憶しています)を読んだことがあり、主な登場人物のエピソードとあらすじは今も覚えています。

権力が腐敗した宋という国で政府に反発する人々が梁山泊という天然の要害に集い、宋を倒そうとする物語。英雄豪傑がわんさか出てきて、108星という数字がギリシャ神話のパンドラの箱から飛び出した禍の数と同じだなーなどと考えていました。

ただ、この漫画自体がかなりのダイジェスト版だったので、原典と"北方謙三"「水滸伝」の相違については全くと言っていいほどわかりません。

 

ファンの方が大勢いらっしゃるので、私ごときが"北方"「水滸伝」について語るのはおこがましいのですが、"熱いぜ!"というからにはこの作品は絶対に外せません。

憂国の士が立ち上がり、政治の腐敗を正すため国を相手に本気で戦いを挑む。

梁山泊に集まるのは英雄豪傑ばかりとは限りません。漁師であったり商人であったり、武勇からは縁遠い普通の人たちも大勢います。それぞれが自分にできる仕事を全力で行い、梁山泊という理想の国を支えるとともに、生きがいとは何かを探し求めてゆく。

つまり、一人一人が己の志に従って命の炎を燃やし尽くす・・・そんな物語です。

膨大な数の登場人物それぞれの熱い情熱に、読む者は圧倒されます。

そして、たぶん、読者も自分と向き合いたくなると思います。

自分にとって、「情熱を傾けることのできるものとは何か?」、「志と呼べるものはあるか?」と。

漢(おとこ)達の熱い志は、読む者の胸をも熱くさせると私は思います。

 

ちなみに、単行本と文庫版とあり、文庫版は単行本に加筆修正されているそうなので、はまった方は両方読んでみるのも楽しいのではないでしょうか。

また、続編が二つあって、実質的には三部作の第一部にあたるようですが、私はまだ続編のほうは未読です。続編も「水滸伝」に負けず劣らず長いので、私自身"熱い"気持ちになりたいときに読み始めたいなと思っています。(現在は別ジャンルの本にはまっているので。(;^_^A)

"北方謙三"「水滸伝」は、「つべこべ言わずに読んでみて!」とおすすめしたくなる、そんな本です。(*^▽^*)