2018年7月のテーマ

夏休み間近!子どもと一緒に読みたい児童書(園児~低学年)

 

第四回は、

「オニのサラリーマン」

 文 富安陽子、絵 大島妙子    2015年発行 福音館書店

 

 

前回から鬼つながりでなんですが・・・。

地獄でお仕事する鬼なのに、サラリーマン。面白そうじゃないの!と、軽い気持ちで読んでみたら、とにかく面白い絵本でした。(*^▽^*)

 

おすすめしたいと思ったポイントは、ただ面白いから、ではありません。

サラリーマンである赤鬼父さんのお仕事風景が、赤鬼父さんの語りという形でお話になっているので、外で働くお父さん、お母さんのお仕事風景とどこか重ねて読めるのではないかな、と思ったのです。

満員電車にお弁当、仕事でミスをして叱られて・・・とサラリーマンの哀愁をちょっぴり漂わせつつも、頑張ってお仕事する赤鬼父さん。(地獄なのに・・・)

サラリーマン赤鬼の平凡な一日を切り取って描いてあるだけ、のお話なので、エピソードに派手さは見られませんが、赤鬼父さんの語りが関西弁なので、とてもユーモラスに表現されています。

「大変だ!」→「えらいこっちゃ!」だと、なんだか漫才や新喜劇を見たときのように感じませんか?(私だけかな?)

読み聞かせたり、自分で読める子は音読したりすると楽しいですよ。(私だけかも。)

 

また、最近出版された絵本には、細部まで細かく書き込まれた絵のものが増えたように思いますが、この本もそうです。

こういった絵本の場合、お話を楽しむのとは別に、「絵の中の細かい書き込みを見つけて楽しむ」という楽しみ方ができます。

たとえば商店の看板に書いてあるお店の名前が面白いものだったり、ページの隅っこのほうで群集の一人が面白い行動をとっていたり。

この絵本の絵はとてもインパクトがあって力強いので、絵を見ているだけでも私は楽しかったです。

赤鬼父さんがドヤ顔をしたり、叱られてしょぼくれたり、表情も豊かですしね。

 

そして、本の裏表紙では、赤鬼父さんが子供たちと一緒にお風呂に入っています。

映画の最後、スタッフロールの後に少しだけ入っているおまけ映像のようで、私のとっても好きな絵です。

絵をとっくりと眺めてみることもお勧めします。

 

この記事を書くにあたって調べてみたらなんと続編が出ているではありませんか。

私はこの本を図書館で見つけてたまたま読んでみたのが出逢いなので、続編があるならそちらも図書館で探してみたいと思います。

本との出会いは一期一会。

それだけに思いがけず自分のお気に入りに出会えた時はうれしいです。(*^▽^*)