〔設問 2〕 コンクリートに発生した次のひび割れの状況図からひび割れの名称を2つ選び、各々のひび割れの原因と防止対策を記述しなさい。
〔設問 2〕
(1)沈みひび割れ
原因 |
コンクリートの沈みと凝固が同時に進行する過程で、その沈み変位を鉄筋が拘束することで生じるひび割れである。 ・コンクリートの材料分離 ・締固め不足 |
対策 |
① AE剤・AE減水剤・高性能AE減水剤を用いて、単位水量を少なくする ② 骨材の粒度分布を適切にし、単位水量、水セメント比を小さくする ③ こて仕上げの段階でダンピング修復する ④ 沈み変位の終了段階で再振動する ⑤ ポゾランなどの混和材で材料分離を少なくする |
(2)乾燥収縮ひび割れ
原因 |
コンクリートの表面部が乾燥収縮してひび割れを生じる。 ・単位水量が多い ・表面養生の不良 ・型枠の早期の取外し ・骨材の乾燥収縮が大きい |
対策 |
① コンクリートの単位水量を少なくする ② 収縮が少ないセメントを使用する ③ 骨材自体の乾燥収縮が小さいものを使用する ④ 湿潤養生を5日間以上行い、型枠をできるだけ長く存置する ⑤ 型枠取外し後も湿潤養生を行い、急な温度変化、直射日光、風を避ける ⑥ ひび割れが発生すると予測される箇所に補強鉄筋を入れる ⑦ 誘発目地を入れて、ひび割れを集中させる |
(3)水和熱によるひび割れ
原因 |
セメントと水の水和熱がコンクリート内部に蓄積され、その温度が低下する際にコンクリートの収縮が拘束を受けることでひび割れる。 ・単位セメント量が多い ・拘束された壁部材、断面の大きい部材 ・養生期に急激な冷却を受けた |
対策 |
① セメント量の少ない配合やセメント種類を選定する ② 高性能減水剤、高性能AE減水剤を用いて単位セメント量を少なくする ③ プレクーリングやパイプクーリングを行い、コンクリート打込み時及び養生時のコンクリート温度の低下を図る ④ 誘発目地を入れて、ひび割れを集中させる ⑤ コンクリートの表面を覆い、急激な温度変化を与えない |
(4)アルカリシリカ反応によるひび割れ(膨張ひび割れ)
原因 |
セメント中のアルカリ分と骨材中のシリカ分が反応して骨材の表面に膨張性の物質が生成され、これが吸水膨張してコンクリートにひび割れが生じる。 ・反応性のある骨材の使用 |
対策 |
① アルカリシリカ反応の抑制効果のあるセメントを使用する (例:高炉セメントB種・C種、フライアッシュセメントB種・C種) ② コンクリート中のアルカリ総量を3.0kg/m3以下とする ③ 骨材のアルカリシリカ反応性試験で無害と確認された骨材を使用する |