https://gendai.media/articles/-/131661


中国経済が抱える問題は、経済分野に止まらず中国共産党体制の危機にもなりかねない。

過剰な負債を抱える不動産企業を救済するには、公費を投入して売れ残った不動産を購入して、安く庶民に販売するしかないだろう。

ただ、

不動産を資産として購入してきた人達からすれば、それにより不動産価格が暴落して大きな損害をこうむる。

不動産を購入出来た人達は中国社会にあって、一定以上恵まれた人達であり社会的な立場もしっかりした階層だ。

つまり、共産党内でもある程度認められた地位にあると考えられる。

そのような人達からの強い支持があればこそ、中国政府が人権を無視したような政策を実施しても社会に混乱が起きない。

逆に言えば、

地域で慕われるような人達が、まとまって政府に不満を持つようになれば、膨大な人口を抱える中国では中央政府だけでは終息させられない。

それは中国の長い歴史で何度も繰り返された史実であり、巨大な国家である中国の宿命だろう。

中国政府もそれを恐れて、不動産価格の暴落に成らない程度での売れ残った不動産の売却を進めている。

しかし、

それでは問題の解決には成らず、問題の長期化は避けられないだろう。


世界経済は、中国が巨大なマーケットとして大きな働きをすると期待し、大きな投資も行い中国進出したがその方向性を変えている。

中国より一足早く資本主義社会に参入したロシアが、経済を重視する資本主義社会の常識をくつがえす行動を取ったからだ。

ロシアがウクライナに侵出して、何の経済メリットがあるだろうか?

ヨーロッパの国々は、周辺国からの侵略を心配して大きな軍事力を持つのは税金の無断で、そんな費用があれば福祉や経済発展に回したいとEUを広げている。

ロシアが一方的に敵視していたが、EU側は既にロシアを強く警戒していなかったように思う。

軍事の専門家であれば仮想敵を想定するので、ロシアを対象にするだろうが、一般市民のレベルではロシアと戦う事は考えていなかったはずだ。

中国政府も欧米人のロシアの行動に対する変化に、十分に対応出来て居なかったと思う。


習近平氏が掲げる「一帯一路構想」も、ヨーロッパ社会が中国を資本主義社会の一員として抵抗なく受け入れる事を前提にしているが、経済交流が可能な道が出来たとしても、これまでのような経済交流が出来ないだろう。

特に、

軍事力に関わる分野では、貿易の規制は避けられない。

言葉では軍事力に関わる分野と言い切れるが、実際には広い分野が絡む問題なので自由な貿易は出来なくなると言えるだろう。


中国経済を取り巻く状況は、これまでとは全く異なり、かなり限定された取引になるだろう。

中国経済が輸出への依存から、内需への依存が出来ていれば、資本主義社会からの閉め出しにも耐えられたと思うがそこまで中国国内が熟成していないので、多くの貧しい人の不満が爆発するかも知れない。


ただ、

巨大なマーケットになるはずだった中国市場を失った世界経済にも痛手で、疲弊するヨーロッパ経済に加えてアメリカ経済の減速も起きれば、世界的に経済が減速するのは間違いない。

そもそも、経済が右肩上がりに進むのが常識のように考えるのが間違いで、経済は上下の波を繰り返すものと考えるべきではないだろうか?

世界的に見てもその存在が極めて長いとされる日本の企業の中には、近江商人の考え方が根付いていて、商売は絶えず利益を出せるとは限らない事を理解している。