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中国政府は売れ残っている不動産を地方政府が買い取る事を進め、不動産企業の救済を進める決定をした。

地方政府は買い取った不動産の売れ残りを避ける為に、購入者に対して戸籍を取れるようにした。


中国では地方戸籍と都市戸籍とに別れており、農村の働き手不足を防ぐ為に身勝手に都市戸籍が取れない仕組みに成っている。

つまり、

経済成長の恩恵を受けられたのは都市戸籍を持つ人達で、農村出身者は出稼ぎでの現金収入は出来ても起業するチャンスが極めて少ない不平等が存在している。

なので、

都市戸籍を取れるようにする事で、不動産の販売の促進を狙っている。


確かに売れないマンションを抱える不動産企業の救済になるだろうが、中国社会の中でも最も冷遇を受けて来た農村戸籍の人達にそのツケを支払わせているように見える。

経済的な弱者である農村戸籍出身者が、簡単に不動産を購入出来るのか?また、多数が購入出来たならば農村での人口減少になるだろう。

つまり、

過剰にマンションを製造した過ちは、通常の手段で解消出来無いだろう。なにしろ中国の人口以上のマンションが作られたのだ。


ボタンの掛け違いの様に、初めでの間違いは次の間違いを生む連載が生じ、それは問題を大きくする事が多い。

不動産企業の過剰な負債が問題に成っているが、それは収入を失った地方政府の財政も同じだ。

つまり、

不動産企業の負債を地方政府に肩代わりさせるのであれば、地方政府の財政破綻を招く事は明らかだ。

地方政府が不動産企業からの土地利用権の借用料で潤っていた事と、今後はそれを失う事を十分に理解していない。


中国政府の政策は問題の解決に成らず、問題を更に広げているように思う。

既に過大な負担が金融機関に加わり、正常な金融取引に影響が出ているように思う。

中央政府の指示でもあるので、金融機関の融資枠の上限変更などされたと思うが、一時は民間企業からの貸し出しの強制的な引き戻しが話題に成っていた。


金融機関の多くが国営である事から倒産の恐れはないが、貸し出しが出来る上限は設けられているはずであり、中央政府が認めない限りそれは守られる。

今回、上限枠が引き上げられたのは確かだが、それでも無制限に貸し出し出来る訳ではない。

不動産企業からの収入が途絶えた地方政府に、これまでと同じ業務をこなして、債務の返済をする余地が有ると思えない。