ついにこの日が来た。
ずっと行きたかった八ヶ岳音楽堂。
静かな森の中にひっそりと佇む。
こんなにも素敵な環境でマイクなしの理生氏の歌声を聴けるなんて。
ホテルからも少し離れていて、四方木々に囲まれている森の中の音楽堂。聞こえるのは小鳥たちのさえずり。足を踏み入れた時から音楽のためだけの異空間に迷い込んだよう。
"音楽の架け橋"というサブタイトルの通り、前半クラシックで後半ミュージカル曲。
クラシックパートでは、曲紹介など一切なく、シューマンの詩人の恋メドレーとシューベルトのセレナーデと魔王。
後半はトークも交えつつ、有名なミュージカル曲を。ほとんどが理生氏のファンやミュージカル好きの観客だったが、ホテルや別荘に宿泊している人がふらっと聴きに来ることも多いホールとのことで誰もが一度は聞いたことあるだろうという選曲。
【全体の感想】
私はこの日確信した。
"理生氏推し"には間違いないのだけれど、"濱野くんと一緒の理生氏"がダントツで好きなんだと。なんだろうな。他の人より断然リラックスしてるというか、心地よい感じ。見てるこっちが楽しくなる。
あの忘れられないキラキラ星変奏曲の衝撃(私だけではなかったらしい)から幾星霜…もはや理生氏ファンの中では濱野くんはなくてはならない存在なんだ。むしろFestみたいに1曲濱野くんのソロがあってもいいくらい!!
いいことなのか悪いことなのかわからないけど、主軸が"クラシックの声楽家"から"ミュージカル俳優"に変わったな、と思った。以前は、歌いなれないミュージカル曲はなんだか物足りなくて、それなら知らないクラシック曲の方が断然良かったんだけど、今回は知ってるクラシック曲を演じてないミュージカル曲が遥かに凌駕してたように思う。表現力が豊かになったというのか。芝居の中の歌唱ではなくステージ上で一つの曲として歌っているのにしっかり感情が乗ってるというのか。5時間かけて八ヶ岳まで行った甲斐あった。
【曲ごとの感想】
「詩人の恋(抜粋)」
以前にも歌ってていい曲だなぁ〜と。
特にIch grolle nichtが大好き。
低音の響きがとどまるところを知らない。
いろんな曲調で飽きなかった。ただ、曲ごとに拍手しないんだ…と戸惑った笑詩人の恋で一曲扱い?理生氏のドイツ語曲は最高です。
「セレナーデ」
優しいシューベルト。
窓際で歌う歌という意味らしい。
なんだか音楽堂の雰囲気と合ってて聴き心地いい。
「魔王」
いつか聴きたいと思っていた理生氏魔王。ひとつ夢が叶ってしまった✨
1人4役を歌い上げる誰もが知ってるクラシック曲。やっぱり声色を4つ変えるって難しいんだな〜…息子ははっきりわかるんだけど、ナレーションと父親と魔王の違いが弱かったかな〜。当たり前に音楽の授業で聴いてたけど、多分世界トップクラスのオペラ歌手が歌ってたんだろうね。
でも最後のWar totはぞくっとした。
やっぱり理生氏の人外は最強。
「見果てぬ夢」
新たな境地に踏み出している今の理生氏にぴったりの曲だなぁと。こういう歌い上げる系の曲はやっぱり合ってるなぁ〜と思う。ぱーーんと声が飛んでくるという感じ?聴いてて清々しい。
「愛せぬならば」
こちらも最近定番になってきた。理生氏が歌う愛の歌の中でダントツかもしれない。いい選曲。
低音の中に慈しみが込められていて心に響く。優しさの中のやるせない叫びが一段と切なかった。
「Memory」
こちらも歌い上げる系の代表格。
ご本人は日本語歌詞だと女言葉になるからなんか違うので英語歌詞を選んだらしいが、個人的には男性が女性言葉で歌うのめっちゃ好きなんだけどな〜妙な色気がある。まぁ個人の趣向ですが。
キー高い曲だけど、逆にめっちゃ低音で歌ってくれたら新鮮だったかも?理生氏ならでは!みたいな。
「The Music of the Nigit」
安定の鉄板曲。
何度も何度もいろんなコンサートで歌われてきたのに何度聴いても飽きない。
以前は、支配欲が強く抗うこともできない漆黒の闇に引き摺り込もうとしてくるファントムだったのに対して、今回は溢れ出る恋情を上手く表現できなくて戸惑っているような、切ないファントムだった。
長年歌い続けるとこんな変化が見られるんだな。初めて聴いた時、パーフェクトファントム!!と思ってたけど、まだまだ変化や進化を遂げるのね。楽しみが尽きない。
「Stars」
流石の本家。会場全体が息を呑んだ。昼間の八ヶ岳から未明のパリに。確かに満天の星空と一筋の光が見えた!
2024年のオーディションはまだ結果待ちとのことだけど、そんなことを言っちゃうってことは結構手応えありということなのかしら?理生氏の他の追随を許さない"ジャベールの自殺"はコンサートでは絶対聴けないし、またシュガバル×理生ジャベの名コンビを観られるように、みんなで星に祈りましょう⭐️
「Climb Every Mountain」
山岳リゾートだからとのことだけど、高い山も低い山もどんなところでも自分の足で歩きなさい、っていい歌だなぁ〜
柔らかくて優しい締めの一曲でした。
アンコール
「また会う日まで」
"また、ここに帰って来られるように"とか言い出したあたりから会場からくすくすと笑い声が笑
前奏が始まると観客一丸となって手拍子があがって、でも、理生氏が歌い出すとピタッと止まる。ノーマイクだから拍手の音に負けてしまうから。そんな暖かい理生氏ファンの雰囲気が好き。愛されてるな〜と思う。
歩いてロッヂまで帰ると、ロビーに理生氏手書きのアンコール曲目のコピーが。
嬉しい演出。
余白いっぱいなのに上寄りに書いちゃう感じとか愛おしいわ笑
【最後に】
セットリストや理生氏の声質等を考えたら、断然夜公演が良かったな、と思った。日帰り組もいたようだし、鑑賞のしやすさと思えば昼になるんだけど…
まだ明るい夕方から始まって、memoryあたりには暗くなり初めてMusic of the Nightを暗い森を背景に歌って、Starsを聴いた後、音楽堂を一歩でたら限りなく暗闇を照らす星たちが瞬いている…なんて最高じゃないか。
まぁ危ないから歩いて帰れないけどね笑
熊は出ないらしいけど。