2016年公演から約6年。

幻と消えた2020年公演のキャストとほとんど変えることなく2022年公演の幕が無事上がったことにまずは感謝✨途中キャストのコロナ感染による中止期間もあったけど。大阪の地に戻ってきてくれて本当にありがとう。



全体を見ると、6年って長いんだなと実感。初々しかった役者に貫禄も備わって、同じ人が演じてるのに別物のよう。ベテランがずっと同じ役を演じ続けるのもいいけど、若手を見る醍醐味だよね。役者として一番脂が乗ってくる30代。同じ役を時間をおいてまた向き合うことでその人だけの役の形が見えてくるんだろうな。


【全体の感想】

演出が結構かわってるよね?

ドラゴンダンサーのシーンの花火はめちゃめちゃ良かった。びっくりしたけど笑

ヘリコプターも映像に変わりはないけど豪華になってない?画質が良くなったのかな?前回感じたしょぼさはなかった。慣れ?

ジジが要所要所でジジとして出てくる。ちょっとクドイ気もしたけど本筋には関係ないけどその後が気になるキャラクターだし演出のサービスかな?

聞いてはいたけど、ジョンの激ダサラコステポロシャツが廃止になって、なんか普通のシャツになってた笑でもないと寂しい笑あのフォレスト・ガンプ感が時代をとても鮮明に描いていると思うんだけど笑


【キャストの感想】

伊礼彼方(エンジニア)

昔は王家の紋章のライアン兄さんしか知らなくて、なんだこの胡散臭い役者は…と思っていたんだけど、北斗の拳を見てその胡散臭さがもはや役者のアイデンティティにまで昇華されたという感じ笑(←一応ものすごく褒めてるつもり)

エンジニアとしては、とてもクレバーな感じ。市村エンジニアは頭がいいと言うよりは様々な経験を元に色々身をもって学んできた知恵がある感じがするんだけど、伊礼エンジニアはそもそも賢そう。


屋比久知奈(キム)


アオザイ似合いすぎ笑

モアナでオレンジのムームーを着て歌って踊っていた時から、絶対彼女にキムを演じてもらいたい!と心から願っていた。

中止になった2020年は、日程の都合上、屋比久キムのチケットは取っていなかったから、今回観られて本当に良かった!

東京公演では終盤コロナ感染でしばらく降板していたけど、こんな時こそのトリプルキャストだよね!というか誰に変わったとしても全く残念に思わないこのキャスティングもすごい笑

屋比久ちゃんて小柄な上に多分ものすごく顔ちっちゃいんだろうな。誰とデュエットしても相手がめちゃ顔おっきく見える笑笑ほんとうにもう少女のような。必死感が伝わってくるキムだった。特にエレンと会った時なんか。いたいけな少女が母として一つの命を守らなければならなくなった決意というか、強さ?みたいなものがヒシヒシと伝わってきた。


小野田龍之介(クリス)

正直、今回一番良かったと思う。推しを含めても。

2016年公演で観たのも龍ちゃんクリスだったんだけど、何倍もグレードアップして帰ってきてくれた。クリスって役の印象から王子系の役者(細くてイケメン)が演じることが多かったと思うんだけど実際GIな訳だしこれくらいタッパがあって当然。なんか見た目が妙にリアルよね笑

歌唱力もさることながら、クレイジークリスに拍車がかかっていた笑ちょっと精神病んでるのがぶり返してる感じ笑ホテルのシーンとかね。

一番心を締め付けられたのは、キムが事切れた後、何度も何度もキムの腕を自分の首に回すところ。前回公演ではこんなに余韻なかったよね?

"今"はエレンが一番大切だと思ってるクリスがキムの死を持って同じくらいやはりキムも大切だったと思い知らされるシーン。多分あの後しばらくクリスはまた病むんだろうな。で、聖母エレン発動して旦那も息子もまるっと大きな愛で包み込んで癒していくんだ。きっと。

とにかく龍ちゃんの取り乱し方がピカイチでした。こんなクリスみていたら、「クリスってひどいやつ」という感想も無くなるんじゃないか…な?多分笑


上原理生(ジョン)

今回龍ちゃんが凄まじすぎてちょっと影が薄れてしまった我が推しw

最近の理生氏は良くも悪くも安定期という感じ。

前回観たジョンは彼を知って1年やそこらで生で見たのも数回。遠征なんてまだしてなかったし。そしてご本人もピチピチの20代。そりゃぁまぁ勢い余ってたよね。初見のブイドイはほんとに背筋がゾッとしたもん。2000人規模のホールなんて吹き飛んでしまいそうなそんな爆発力のあるブイドイだった。

"良くも悪くも"というのはまぁ長所は短所というか…以前はソロやメインで歌う時はとんでもなく響いてる反面、コーラスになっても悪目立ちするほど癖のある声、歌い方だった。最近はコーラスがとても自然に溶け込んで、理生氏の声は聞こえるけどきちんと馴染めてる感じ。一方で、今回のブイドイがなんだかインパクトに欠けるというか…ジャベールの時は思わなかったんだけど…なんでなんだろう…

若く一所懸命な時期が過ぎて色々試行錯誤してる結果ちょっと当たりが弱くなってる感が否めないのよね。ご本人も最近はバリトンよりテノール領域をよく歌ってるけど、あの地震のような畏怖の念を掻き立てられるバリトン歌唱を私は待っているのだよ!!

この回が偶然そうだっただけなのか、次の公演で再確認だな。


仙名彩世(エレン)

初めましての女優さん。

すごく幸せオーラを撒き散らすいい意味でものすごくアメリカ人のお嬢さんというかんじ。生活の心配なんてきっと一度もしたことがなくて、キリスト教を心から信じて施しの心をもって疑うこともしたことがないような。言うなればこの作品の中でアメリカを象徴するキャラクターだから、身振り手振りやセリフなんかの節々に現れるいけ好かない覇権国家アメリカが滲み出ていた。

そして、溢れ出るこの品の良さと可愛らしさはなんなんだ?!と思っていたけど、調べたら元宝塚の娘役トップだったのね!そりゃぁ"女"のプロだから納得。


神田恭兵(トゥイ)

もーーーーーーー

まずは、無事に復帰してくれて本当にありがとうございます✨キムばりに平伏す思いです。

2016年の時より遥かに感情的になっていたトゥイ。タムの存在を知った時の絶望感、でもいざ首を掻っ切ろうとしたときにタムの目を見て一瞬躊躇してしまう人間味、どれをとっても最高だった!きっと頭ではブイドイは国への反逆の化身だから一刻も早く始末しなければならないと頭でわかっていても、タムに最愛のキムの面影を見てしまったんだろうな。

神田さんの金管楽器みたいな弾けるような歌声めっちゃ好き。聴いてて本当に気持ちがいい。もっといろんな作品でみたいなぁ〜


則松亜海(ジジ)

いやーーーーーーーーーー

則松さんリュシルのイメージ強いからまさかこんなセクシーデキる女系で来るとは思わなかった……

めちゃめちゃ綺麗だしかっこいいんだけど……感想として言わせてもらうと、"ジジ"ではなかったかな…と。ちょっと綺麗でスタイル良すぎるわ。則松ジジならドリームランドなんかで働かなくてもジョンなんかよりよっぽどいいGI捕まえてさっさとアメリカ渡れる。ジジっていい女なんだけど無理してるとこが大事だと思うのね。だからスレンダーで美人すぎるのは違うんだよ。無理してアメリカ人ウケする東洋美女を自分で作り上げて、ほら?あたしいい女でしょ?アメリカ人はこういうのが好きなんでしょ?っていう背伸びが痛々しいのに。

そして則松ジジから感じるのは怒りより悲しみだった。映画の夢〜って歌う時もジョンが他の女担いで行ってしまう時も、1幕最後の避難シーンも、ナイトメアも。

則松さんにはジジよりエレンやってほしかったな。あの体格ならベトナム人よりアメリカ人役の方がしっくりくる。周りのキャストとのバランスも含めて。