まず率直な感想を…
"控えめに言って最高"という言い回しを最近よく聞くけど、この作品ほど似つかわしいものはないと思った。
世界のジブリと世界のジョン・ケアードが手を取り合ったら日本演劇界の最高傑作が出来ちゃった！みたいな。
MAのドイツ公演は記憶に新しいけど、日本オリジナル作品の輸出に本腰入れてきたなという印象。
以前から言われていたけど、まずはその再現度の高さに感服。家のDVD観てたっけ？と思うくらいどのシーンも画面からそのまま出てきたかのような完成度で、アニメの実写化特有のコスプレ感とか嘘臭さとか無理矢理感とか全然感じなかった。
ジブリ特有のコミカルなシーン(えんがちょとか朝飯腐るシーンとか)もそのまま再現されてて、製作陣と役者の飽くなき努力のなせる技だと思う。なぜか声まで声優に似てる気がするのが不思議笑
ちなみにキャストボードなかったので本日のキャストは…
千尋:上白石萌音
ハク:三浦宏規
カオナシ:菅原小春
リン:妃海風
釜爺:田口トモロヲ
湯婆婆:朴璐美
【全体の感想】
なによりもアニメを舞台上に再現するための演出が芸術的だった。大掛かりな回転ステージをフル活用して、限られた舞台の上に広大なトンネルの向こうの世界が現れた。
アンサンブル(ストプレでもそう言うかは知らないが)にダンサーが多い作品って躍動感があって好き。油屋のシーンでのダンスや掃除風景が統一性のある非統一感というか…計算され尽くした中でそれぞれが好きに動いているように見える演出が細やかで圧倒された。
湯婆婆の顔がデカくなるシーンもきちんと再現されてて脱帽。その手があったか…と。
だるまはもう出オチ笑笑ザコシやん笑笑
面白いなぁと思ったのは、沼の底駅から銭婆のところに案内してれる1本足の街頭が黒い全身タイツでもいいようなものなのに、黒いバレエ衣装を着てること。"人"を演じない人形師やダンサーも黒子に徹するのではなく、黒子といういち出演者として存在しているように思えて愛を感じた。
おばたのお兄さんの始終うさぎ跳びは大変そうだったけど笑
一幕の終わり方が通常であればお腐れ様と思っていた客が川の神様で帰るシーンで盛り上がって幕が降りるでもいいところを、少し伸ばして一晩で広がった海を見ながら苦団子を食べるしんみりとしたシーンで終わるあたりがなんか好きだった。「千と千尋の神隠し」という作品の孤独感にぴったりだと思う。
これ以上書き綴ると舞台というより原作の考察になりそうなのでこの辺でやめときます。
上白石萌音(千尋)
元々ポスター見た時アニメの千尋にめっちゃ似てるじゃん笑って思ってたけど、流石の演技力で小さな所作の一つ一つが都会の世間知らずの小学生の成長を観客に伝えてくれていた。
セリフがなくても3階の端まで千尋の感情が伝わってくる。生で見たの初めてだったけど凄い女優だと思う。
三浦宏規(ハク)
おぼこかった最年少跡部様の大躍進が止まらない…得意のダンスを披露するシーンもあってハズレないなと思う。三浦くんの出演日はチケット取りにくいけどチャレンジしたかいあったな。とても美しいハク様だった。
菅原小春(カオナシ)
…人の…動きとは思えなかった。
決して派手な動きはしないけど。
立ち姿ひとつとっても女型のしおらしさを感じたかと思えばソロダンスパートでは息を呑んだ。
セリフのないカオナシを動きだけで表現するって、なるほど、世界的ダンサーが起用される理由がわかる。
沼の底駅に行く途中、カオナシが泳いでついてくるシーン、コマ付きのボードにでものってんのかと思ったら自力だった笑
リン(妃海風)
アニメからそのまま出てきたかと思った。
初めて見る役者さんだけど、リンの人の良さが滲み出ていた。
千尋のお母さんなんて本当に喋り方までそのまんま。
田口トモロヲ(釜爺)
釜爺の腕の先に人形師の手が出るようになってて自由に動くようになってるのね。この仕掛けも凄い。釜爺の出番は少ないけどとてもインパクトあり。この日田口トモロヲさんが大阪千穐楽だったようで、お子さんが来てたのかな？カーテンコールでも1階前列とわちゃわちゃしてて微笑ましかった。予定になかったようですが流れで挨拶も笑
朴璐美(湯婆婆)
本当のところを言うと夏木マリ婆婆が観たかった。ノーメイクでも湯婆婆じゃん？！って思ってたから笑
朴璐美さん何度か観てるけど、観るたびに全然違った印象。いい意味で強すぎる個性がなくてでも演技力抜群でなんでも自然にこなしてる。夏木マリ婆婆も観たかったけど全然後悔はなかったな。
ラストシーンの千尋がブタの両親を選ぶ時、「お父さんとお母さん」と言うところを「お母さんとお母さん」と言い間違えてて会場爆笑。朴璐美さんがミスるの珍し！と思いながら、これもまた生舞台の醍醐味よね。
おばたのお兄さん(カエル)
上でも書いたけど、常うさぎ跳びお疲れ様です。
終演後劇場前でスタバのコーヒー飲んでたらお見かけした。颯爽と歩いてホテルへ帰ってて…足腰強いのね笑
すごく良かったからBlu-rayにならないかしら。(声を大にして言いたい！)