KTR300系気動車とは、北近畿タンゴ鉄道が所有し、2019年から京都丹後鉄道が運営する車両です。
「概要」
宮福線でしようされてきた、MF100・200形が老朽化したことから、これらの後継として2019年から2022年までに計5両を導入します。
2019年5月より運用が開始され、京都丹後鉄道への新車導入はKTR8000系以来23年ぶりです。
同車は新潟トランシス製ですので、「NDC」シリーズに属します。
デザインコンセプトは「丹後の自然と歴史と伝統」で、旧来のMF100・200系が地元の大江山に伝えられる赤鬼青鬼伝説に反映しているデザインを持つことから、新型の同車でも採用されています。
新技術と新システムを採用し、さらなる安全・安心でご利用できる車両となっています。
なおこの同車の導入に先立ち、事前に宮福線を利用する、沿線高等学校の生徒さんに「どのような車両に乗ってみたいか」とアンケートを実施し、この結果を反映しています。
「主要緒元」
最高時速95キロ
車長18.5m
自重33.6トン
定員105人
台車 NF01RD型 NF01RT型
エンジン小松製SA6D125ーHE2形
出力350PS
ブレーキ 電気指令式空気ブレーキ
「車内設備」
車内の座席はクロスシートで、通勤・通学客に合わせて、出入口をロングシートにしており、ロングシート部に握り棒「手すり」とつり手を設置しています
手すりは一般客用は白、優先席はオレンジ色としています。
窓は全部で11カ所あり、窓にはフリーストッパー式カーテンを使用、
また福知山寄りにロングシート、新たにユニバーサルデザインを採用し、宮津寄りに車いすスペース・ベビーカースペースを配置し、利用者・介助者が座れるようロングシートを横に設置し、ここを優先座席としています。
転換式クロスシート部にはUSBポートが設置されています。
また床に車椅子スペース・優先席と表記したマークを配置しています。
車椅子・ベビーカースペースの向かい側に、車いす対応多機能付きトイレを配置、内部も十分確保されていて、保護者も一緒にご利用できるようになっています。
照明は省エネ化と長寿命化を図るため、LED照明とし、目に優しい車内空間となるようにしています。
また扉開閉時、冷気・暖気を逃がすことなく、室内の温度を保てるように半自動ドア機能を持ち、ボタンで開閉ができます。
さらに車内に15インチフルカラーディスプレイを採用し2カ所に配置、運賃・注意情報・沿線案内・観光案内・PRメッセージ・駅案内を表示し、より多くの情報をお客さんにご案内することができるほか、英語・中国語・韓国語も表示可能です。
内装のデザインテーマは天橋立で、座席は細かいさざ波をモケットで表し、青い床敷物は一面に広がる海を表現、腰掛及び吹寄せには、木目の化粧板に茶色を採用し天橋立の松林を意味しています。
天井には、砂に見立てる明るい色の化粧板を使い、伸びやかな砂浜をイメージ。
優先席にはピンク色をしようしていますが、このピンクは、ウィラートレインズのシンボルカラーに由来。
「車体構造」
車体長は18mで、MF100・200系より2m長く、KTR700・800系とは2m短いです。
またバリアフリーに対応するため、在来車よりも車体の高さを低くし、なるべくホームとの段差を減らしています。
この車両ではノンステップとなっています。
前面には鬼の目をしたデザインのライトをもち、前照灯にLEDを使用しフォグランプをもち、ハイビームとロービームの切り替えが可能で、これは宮福線内の霧対策と視界性向上のためです。
また行き先・種別は一体化し、ユニバーサルデザイン仕様となり、線名・ナンバーリンク・駅線名の英語表示が可能です。
「エンジン」
エンジンは環境にやさしい、排気ガスのクリーンなコモンレール式燃料噴射システム ディーゼルエンジンSA6D125-HE型を採用、在来車と比べて、出力が大幅に向上し、軽量化にも貢献しています。
「ブレーキ」
ブレーキは電気指令式で、常用ブレーキ・非常用ブレーキ・直通予備ブレーキ・排雪ブレーキの4種類と抑速ブレーキとして排気ブレーキも搭載し、駐車ブレーキも新たについています。
ブレーキ装置は、制輪子の摩擦及び踏面保護のため、空気ブレーキ装置に供用し、機械ブレーキ及び排気ブレーキ
を使用します。
単独で運転する車両ですので、空気タンク・S抑圧装置は配管をそれぞれ別系統とする保安ブレーキを設け、二重化もされています。
また台車ユニットブレーキの1軸 8軸に駐車ブレーキを設け、留置時に自動で作動します。
「運転室」
運転室は、ワンマン運転時に対応のため半室構造で、運賃の確認が余裕な構造とし、運転室肩面部に窓があり、車内の確認が可能です。
運転台は2ハンドルマスコンを使用し、扉開閉用押しボタン式スイッチ(誤開防止蓋つき)を左右に各2個配置していて、戸閉めの時にはボタンが点灯します。
運転台正面は左から、速度計・圧力計及びワンマン関連機器の総括設定する表示設定器で、この表示設定器にタッチパネル式を採用したことで、計器台のボタンを減らし、運転士の負担を減らしています。
安全設備として、列車無線装置・ATS SW2とデットマン装置を設けています。
また同車には車両情報制御システムがあり、サービス機器制御・機器の状態監視をしており、他にも
制御機能・客室灯・空調制御・電灯制御・ワンマン機器設定・乗務員支援機能・運用情報・扉などの機器状態表示・デットマン装置
検修支援機能・機関・変速機自動検修機能通信状態の確認・故障情報などの状態監視・運転状況記録機能があります。
「運用」
現在は主に宮福線のみで運用され、回送扱いで宮津~西舞鶴を走っています。
また同車は非常時以外、他車との連結はできないため、KTR300系同士か単行で運用します。
理由は同車が所属する福知山運転所にはトイレの排水を処理する装置がないためで、この装置がある西舞鶴運転所まで、回送するためです。
また試運転のときだけ、宮津線を走行しましたが、基本は入線しません・できませんどころか定期運用ができないのです。
理由はKTR300系とホームとの高さが合わないためです。
車両番号 色 導入年
301 赤 2019年3月
302 緑 2020年2月
303 赤 2021年2月
304 緑 2021年2月
305 赤 2022年3月
おわり。