こちらの記事の続きです。
※10年ほど前の体験談です。時代の流れと共に、また、医療機関の方針によって、方法が異なる可能性がありますので、ご承知おきください。
生々しい表現もございますので、苦手な方はご注意ください
何度かブログの中で登場させているお話ですが、私は以前、不妊治療専門の婦人科クリニックで不妊治療の技師「胚培養士」として働いていました。
「胚培養士」とは、胚(受精卵)を扱う専門職。
主に不妊治療に携わって、体外受精、顕微授精などを行い、精子と卵子を受精させる。そして、母体に戻すまでの間、受精卵を培養して育てるのが仕事です
本業は「胚培養士」ですが、クリニックの方針で様々な仕事を経験させて頂きました。
その中の1つが「中絶手術の助手」。
うちのクリニックでは、不妊治療専門とはいえ、一般的な婦人科の診療も行い、人工中絶手術については妊娠初期(妊娠12週未満)まで対応していました。
手術方法は「搔爬法」(そうは法 : 子宮の内容を掻き出す方法)。
(ちなみに、妊娠12から22週未満では、また別の.....もっと体に負担のかかる方法になります)
具体的に言うと、金属製の細長い器具を子宮口から入れて、正常の子宮内膜を傷つけないように注意しながら、子宮内の赤ちゃんと妊娠に関わる組織を掻き出す方法です。
術中は強い痛みがあるため、静脈麻酔で眠らせて手術を行います。
この頃の赤ちゃんは大抵が指先ほどの大きさ。
掻き出すと言っても当てずっぽうでは、なかなか掻き出せません。
しかも、むやみやたらに器具を差し込んでも、子宮を傷つけてしまう可能性がある。
そうなると、子宮内で癒着が起こる子宮腔内癒着症や子宮に穴が空いてしまう子宮穿孔などの合併症が起こり、将来的に不妊に繋がってしまうかもしれない。
そうならないために、搔爬術の間、私がお腹の上から超音波器具を当て、モニターに赤ちゃんとその周囲を写し続けます。
これが、助手としての私の仕事。
手術が始まると、患者さんのお腹にローションを塗り、お腹の上に超音波機器を滑らせながら子宮の中に居る赤ちゃんを追います。
人間相手なので、呼吸等で常に動きがあるため、常に微調整していないと赤ちゃんを写せません。
手術が進み、医師が金属製の器具を子宮に差し込み始めると、患者さんのお腹が大きく変化します。
医師が金属製の機器を動かすたび、その先端がお腹の表面に浮き出て、皮膚の下をミミズが這っているように見えます。
「ゾリッゾリッ.....
ズッズッー.......」
という、音なのか動きなのか….なんとも言えない感覚が、超音波機器を通じて手に伝わってきます。
命が削り取られている感覚.......
10年以上経った今でも、この手に残っています。
掻き出された子宮内容物は、血の赤色と組織の白っぽい色。
パッと見て、これが赤ちゃんかな?とわかる時もあるけれど、大体はぐちゃぐちゃ。
せっかく授かった命なのに........
お母さんのお腹の中で金属製の棒にこねくり回されて、殺されてしまうなんて........
指先ほどの大きさの赤ちゃんでも、痛覚や記憶ってあるのかな?
どうか.....せめて......
痛みも悲しみも感じずに亡くなっていて欲しい。
お母さんは麻酔で眠っているので、掻き出された赤ちゃんを見送れない。
だから、私が精一杯の想いを込めて天国に送り出す。
「来世はきっと幸せに産まれますように」
続きます。
命の尊さが良く描かれている漫画です
老若男女みんなに読んで欲しい