京都・寺町通 テーラーハタノの仕事 -32ページ目

京都・寺町通 テーラーハタノの仕事

1906年(明治39年)創業のビスポークテーラーです。

よくご注文も際にお手入れ方法を聞かれたりしますが
今日は最も基本的なブラッシング法を書こうと
思います。
通常ウールのスーツ、ジャケット、コート類は一日着ると
内側からは汗の湿気を吸い、表側は空気中の埃等
を浴びて汚れます、なのでハンガーにかけてしまう前に
ブラッシングしてください。
写真は左から手羽先ボウキ、馬の毛ブラシ、エチケットブラシ
で、生地の素材によって使い分けられると良いと思います。
例えば毛足の長いフラノ系やツイード系、カシミヤなどは
引っかかりの強いエチケットブラシを避け、馬の毛ブラシや
豚の毛ブラシを使われた方が生地を痛めにくく安全でしょう。
ほとんどのお仕立ては毛並みが上から下に寝ていますので
軽く上から下に掛けられことをお勧めします。
一般的なウーステッド生地でしたら意外と手羽先ボウキは使いやすく
お値段も手頃なので私も重宝しております。
それから天然のウールは一度着られると上記のような原因により
くたびれていますので最短でも2日は空けることが長持ちの秘訣です。
ご存知の方も多いと思いますがイタリア生地の生産地ビエラ地区に有るレダ社(生地工場)
で織られたテーラー用生地のご紹介を書かせていただきます。
レダ社は古くからアパレル用やオーダー向の生地を生産してきました
老舗名門のミルですが先染めした糸を高密度に織り上げるため
上品な色艶としなやかな張りがあります。
特にグレー系は得意なカラー分野で下写真の生地も
ライトブラウンのピンストライプが良く溶け込み上質な柄出しをしています。
今日ご来店された方はこの生地を使いイタリアと同じ仕立て技術を用いた
ミラノスタイル のご依頼を頂きましたが、
この生地の特性を良く引き出すお仕立てになると思います。
と言うのは以前私個人の服も当初レダ生地でこの仕立てをしました所
着ているというより体に吸い付くような感覚で
他の仕立てとは違う着心地で感銘を受けました。
(お仕立ては同じでも生地が違うと着心地が変わってくる場合もあります)
もちろん生産量もそこそこ多いのでコストパフォーマンスにも
優れています、ただ当店では着分仕入れなので同じ色柄は
無いのですがまだ数着分在庫あります。





きょうは麻生地のパンツとサテンのスーツ2点が
縫製工場から出来上がってきました。
十数年前に生産打ち切りになったドーメル社 のローヤルサテン
で洋服業界ではビンテージ生地として扱われています。
一般的にサテン生地の特徴は艶ですが、ドーメル社のは
糸の打ち込みが強く張りを求める方にも重宝ですね。
潤いのある艶は写真でお分かり頂けると思いますが
実際には厚みのある生地で重厚感とエレガントを併せ持っています。
私も一着作りたいのですが、もう在庫が数点しかないので
是非欲しい方に取っておこうと思います。


今日はお盆の真っ最中で周りの店のシャッターも所々閉まっています。

京都では夜から五山の送り火なので手荷物を持った観光の方も多いですね。


 

この状態で一見すると皺が目立ちますが各パーツはミリ単位で縫い合わせ

お客様に着付けした後に最終寸法を決定する補正作業をし易くしてあります。

補正のことについては後々書こうと思っていますが仮縫いは

本縫製と同じくらい重要な要素ですね、体に合った服は

カッコ良さにもつながりますから。

特に恰幅の良い方は難易度が上りますので一旦ほどいて

縫い直し2回3回と仮縫いをし直すか、本縫製を途中で

中断して行う中仮縫いと言う作業も行ったりします。

しかし最近はパターンオーダーやイージーオーダーを

扱う店が増えたためか仮縫いをするお店が減ってきた

ようです。

一つの原因は技術を受け継ぐ後継者が少なくなった

ことで、現代のスピード化と効率化には反している

ようですが未だに仮縫いを凌ぐベストなフィティング法は

有りませんので残念ですね。


(*^ー^)ノ

フラノ地(italy)



今日は当店オリジナル製品のご紹介をしたいと思います。まあ非常に暑い日が続き季節的に早い話ですがコートの話をさせて下さい。と言うのはこのインバネスコート に限っては何故か年中ご注文が有るからです。
つい先日も30代位の方からご依頼を受けましたが、随分前から強く手に入れようと思っておられました。
きっかけは十数年前に神社の境内で人が着ている後姿を目にした時、非常に風情のあるインパクトを受けられたそうです。(インバネスコートは20年前ぐらいから作っていますのでもしかしたら当店の服かもしれませんね)

良くあるような話ですがそれから日に日に欲しくなりインターネットが普及してからインバネスコートという名称を発見し当来店されました。
じつはこのコート祖父がロンドンから仕入れてきたオリジナルコートを日本人の体格に合うように父が新たに型紙を煮詰めて作り直したもので、それ以来デザイン、縫製共変わりなくロングセラーになっています。
今回は上写真のシャープな印象の黒フラノ(黒フラノもベストセラー)でおつくりになりましたが、出来上がったら境内か何処かを歩いて頂き、誰かにインパクトを与えて頂けたら大変嬉しいですね。

今までは店のホームページ で情報更新をしていましたが小さい仕立て屋での日々の出来事をより密接にお伝え出来ればと始めました。
まず自己紹介ですが親父(店主)と私(38歳)の2人で店を営業しています。一応私で店を初めてから4代目ですがこの業界に入って17年になり一通りの仕立て技術と知識を父から受け継ぎました、あと趣味を兼ねて1,2年に一度ヨーロッパに視察に行っています。店では仕立て職人3人と複数の縫製工場と共に回しており、お客様は主に30代から60代と割と幅広くですが30代、40代くらいの方は私が、50代、60代くらいの方は父が担当させて頂くことが多いです(世代の感覚が近い方がお話しやすいと思いますね)。やはり注文服の場合はビスポークと呼びましてお客様から多くのお話をお聞きして服に反映させることが多いのでこのような形をとらせていただいています。日々の仕事内容と、この世界には一般にはあまり表に出ないオーダーする方に有益で面白い裏話も時々ありますので順次掲載したいと思っていますので今後も是非見てください。