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前回までのあらすじ
リオンは「沈黙の日」を提案し、
管理局から始めて少しずつ参加者を増やしていく。
直接会うことの価値を人々は再発見するが、
反対運動も起きる。
しかし参加者たちの声によって理解が広がり始める。
本編
それは、春の訪れを告げる朝だった。
王国全体で、初めての「沈黙の日」。
参加者は、当初の予想を大きく上回り、
王都の人口の半数以上に達していた。
リオンは管理局の屋上に立ち、街を見下ろしていた。
いつもなら無数の思念鳥で賑やかな空が、
今日は驚くほど静かだった。
わずかに飛ぶ鳥も、
必要最低限の連絡を運ぶものだけ。
「静かですね」
エナが隣に立った。
「ああ。でも、悪くない静けさだ」
街を見ると、人々が外に出ている。
普段なら鳥で済ませる用事を、
自分の足で回っている。
知人と出会えば立ち止まり、言葉を交わす。
子供たちは通りで遊び、
老人たちは広場のベンチで語り合っている。
「人間らしい光景だ」
ベルナルドが言った。
「百年前は、こうだったんだろうな」
リオンは頷いた。
「思念鳥が生まれる前の世界。
不便だったかもしれないが、人と人は確かに繋がっていた」
その日の午後、中央広場で式典が開かれた。
国王ウィリアム四世が演説をする。
「思念鳥は、我が王国の誇りです。
しかし、道具に支配されてはなりません。
今日、私たちは選択します。
便利さだけを求めるのではなく、
本当の繋がりを大切にする道を」
拍手が起きた。
そして、リオンがステージに呼ばれた。
「リオン・アーヴィス局長。あなたに、言葉をいただきたい」
リオンは緊張しながら、群衆の前に立った。
何千人もの人々が、彼を見ている。
深呼吸をして、語り始めた。
「皆さん、俺は思念鳥の飼育師です。
鳥たちを愛しています。だからこそ、言わせてください」
「思念鳥は、伝える道具です。
でも、伝えることが目的になってはいけない。
大切なのは、何を伝えるか。そして、誰に伝えるか」
リオンは手のひらのルナを掲げた。
青い鳥が、静かに光を放つ。
「この鳥が運ぶのは、感情です。
喜び、悲しみ、怒り、愛。
でも、感情は本来、顔を見て、声を聞いて、
初めて完全に伝わるものです」
「俺たちは、便利さと引き換えに、
大切なものを失いかけていました。
相手の目を見て話すこと。
手を握ること。一緒に笑うこと」
「沈黙の日は、それを取り戻す日です。
鳥を否定するのではなく、
鳥がいない時間を大切にする。
そうすることで、鳥がいる時間も、
もっと価値あるものになる」
リオンは、群衆を見渡した。
「思念鳥に、ありがとうと言いましょう。
でも、思念鳥だけに頼るのはやめましょう。
本当に伝えたいことは、
自分の足で相手のもとへ行き、
自分の声で伝えましょう」
静寂が訪れた。
そして――
一人の老人が、立ち上がった。
あのガブリエルだ。
「その通りじゃ」
老人は杖をつきながら言った。
「わしは、ルシウスの記録を封印した。
だが、今なら分かる。
真に封印すべきだったのは、
記録ではなく、わしたちの『怠慢』じゃった」
ガブリエルは、リオンに向かって深く頭を下げた。
「ありがとう、若者よ。
お前が、正しい道を示してくれた」
拍手が起きた。
それは小さな波紋から始まり、
やがて広場全体を包む大きな波となった。
人々は立ち上がり、拍手をし、涙を流した。
リオンは、胸がいっぱいになった。
エナが、ベルナルドが、所長が、
ステージに上がってきて、リオンの肩を叩いた。
「よくやった」
「これが、始まりだ」
式典の後、リオンは一人、思念鳥舎に向かった。
そこには、ブルートの墓標がある。
小さな石に、青い羽が添えられていた。
「ブルート、見てるか」
リオンは膝をついた。
「お前がいたから、俺はここまで来られた。
お前が教えてくれたんだ。希望の大切さを」
ルナが、墓標の上に止まった。
そして、優しく鳴いた。
まるで、
「大丈夫だよ」
と言っているかのように。
リオンは微笑んだ。
「そうだな。お前がいる。希望は、繋がっていくんだ」
夕暮れ時。
リオンは管理局の屋上で、
エナとベルナルドと共に空を見上げていた。
沈黙の日が終わり、少しずつ鳥たちが飛び始めている。
だが、以前とは違う。
鳥の数は控えめで、
それぞれが大切なメッセージを運んでいることが、
その飛び方から分かった。
「これから、どうなるんでしょうね」
エナが聞いた。
「分からない」
リオンは正直に答えた。
「でも、きっと良くなる。人々は学んだから」
「学んだ?」
「ああ。道具に支配されないこと。
自分で考えること。
そして、本当に大切なものは何かを見極めること」
ベルナルドが笑った。
「説教臭いぞ、局長殿」
「悪かったよ」
リオンも笑った。
三人は、しばらく黙って空を見ていた。
赤い鳥も、青い鳥も、緑の鳥も、みんな自由に飛んでいる。
でも、暴走はしない。
バランスが、取れている。
「先輩」
エナが言った。
「私、幸せです」
「俺もだ」
「俺もだな」
ベルナルドが続けた。
三人は、顔を見合わせて笑った。
それから十年。
リオンは、今も管理局の局長として働いていた。
沈黙の日は、王国の文化として定着した。
月に一度、人々は鳥を休ませ、
直接会うことを楽しんでいる。
思念鳥は、今も重要な通信手段だ。
だが、人々はそれに依存しすぎることはない。
使うべき時に使い、使わないべき時は使わない。
その選択ができるようになった。
リオンの机の上には、一枚の写真がある。
エナの結婚式の写真だ。
彼女は商人の青年と結ばれ、今は二児の母だ。
ベルナルドは、副局長を退き、
辺境の村で思念鳥の研究を続けている。
時々、手紙をくれる。
鳥ではなく、手書きの手紙を。
ヴィクトル所長は、二年前に亡くなった。
最後まで、リオンを誇りに思っていると言ってくれた。
窓の外を見ると、空には色とりどりの鳥が飛んでいる。
だが、かつてのような喧騒はない。
穏やかで、美しい光景。
「空の言葉」が、本当の意味で戻ってきた。
ノックの音がして、若い助手が入ってきた。
「局長、新人の研修生が来ています」
「ああ、通してくれ」
入ってきたのは、十八歳くらいの少年だった。
目を輝かせて、緊張している。
「初めまして! 僕、思念鳥の飼育師になりたくて!」
リオンは微笑んだ。
どこかで見たような、希望に満ちた目。
「ようこそ。君の名前は?」
「マルク・エヴァンスです!」
「よろしく、マルク。これから、一緒に頑張ろう」
リオンは立ち上がり、少年の肩に手を置いた。
「思念鳥は、素晴らしい存在だ。
でも、覚えておいてくれ。
鳥はあくまで、道具だ。
大切なのは、それを使う人間の心だ」
「はい!」
マルクの返事に、リオンは自分の若い頃を思い出した。
あの日、ブルートと出会った日。
空が赤く染まり、絶望しかけた日。
そして、希望を信じることを選んだ日。
全てが、この瞬間に繋がっている。
リオンは窓を開けた。
春の風が、部屋に流れ込む。
ルナが飛んできて、リオンの肩に止まった。
もう老いた鳥だが、まだ青い光は失っていない。
「行こうか、ルナ。新しい世代に、俺たちの物語を伝えよう」
青い鳥が、優しく鳴いた。
空を見上げる。
青い空。白い雲。そして、
色とりどりの思念鳥。
それは、人間と魔法が、
正しく共存する世界の象徴だった。
リオンは、深く息を吸い込んだ。
未来は、明るい。
その確信を胸に、
彼は新しい一日を歩み始めた。
―完―
エピローグ
思念鳥は今も、アヴィリア王国の空を飛んでいる。
だが人々は知っている。
本当に大切な言葉は、直接伝えるべきだと。
そして、沈黙にも、声と同じくらいの価値があることを。
リオンが残した教訓は、世代を超えて受け継がれていく。
空を見上げれば、そこには希望がある。
それが、新しい時代の「空の言葉」だった。
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