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元飲食店店長サムの小説ブログへようこそ!
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前回までのあらすじ
全てを失い、
自ら命を絶とうとした健二を救ったのは、
かつて店を去った舞だった。
彼女は「死ぬことは許さない」と健二を叱責し、
最後のチャンスを与える。
「あの日のオムライスを作って。
それが不味かったら、その時は見捨ててやる」
と。
本編 第9話:約束のオムライス
深夜の厨房。
舞はカウンター席に座り、
腕を組んで健二を睨みつけていた。
その目は赤く腫れていたが、
光は失われていない。
審判の時を待つ裁判官のような眼差しだ。
「さあ、作って。
私が子供の頃に食べた、あの味を」
健二はふらつく足でコンロの前に立った。
首にはロープの擦り傷が赤く残り、
手は震えている。
冷蔵庫を開ける。
そこには、アプリの指示で仕入れた
「最高級食材」が並んでいた。
A5ランクの黒毛和牛、
トリュフオイル、ウニ、フォアグラ。
どれを使えばいい?
どうすれば「★5.0」の味が出せる?
健二の手が、
無意識にトリュフオイルに伸びそうになる。
「……違う」
背後から、舞の低い声が飛んだ。
「あんたが見てるのは何?
私の顔? それとも、スマホの画面?」
健二はハッとして手を止めた。
振り返ると、舞じっとこちらを見ていた。
彼女は「映え」も「高級感」も求めていない。
ただ、腹を空かせて、
心を凍らせて、ここに座っている。
――俺は、何を作ろうとしていたんだ。
健二は高級食材の扉を閉めた。
そして、屈み込んで、
冷蔵庫の野菜室の奥底を探る。
古びた段ボールの中に、
泥付きの不揃いな玉ねぎがあった。
棚の隅には、業務用の安いケチャップ缶。
そして、戸棚の奥から、
ホコリを被った小さな壺を取り出した。
父の代から継ぎ足して使っていた、
八丁味噌の壺だ。
「……あった」
健二は深呼吸をした。
包丁を握る。震えが止まる。
トントントントン。
玉ねぎを刻む音が、
静寂な店内にリズミカルに響き始めた。
涙が出るほど懐かしい音だった。
フライパンに火を入れる。
ここからが、健二だけの「儀式」だ。
ケチャップを投入する。
普通なら具材と炒めるだけだが、健二は違う。
具材を入れる前に、
ケチャップだけを弱火でじっくりと煮詰めるのだ。
酸味を飛ばし、水分を飛ばし、
ペースト状になるまで熱を加える。
そこへ、隠し味の「味噌」と、
コクを出すための少量の「蜂蜜」を落とす。
ジュワァァァ……。
焦げる寸前の、
香ばしく濃厚な香りが立ち昇る。
換気扇が回っているのに、
厨房全体がその匂いに包まれる。
それは、洗練とは程遠い、
茶色くて泥臭い、
けれど胃袋を鷲掴みにする「生活の匂い」だ。
今の健二には味覚がない。
けれど、鼻孔をくすぐるこの匂いだけで、
記憶が蘇ってくる。
父の背中。
幼い舞の笑顔。
「美味い」と言ってくれた常連たちの顔。
「……ああ、そうだ。この匂いだ」
健二は火力を全開にした。
ご飯を投入する。
ガコン、ガコン、ガコン!
重い鉄のフライパンを煽る音が、
爆音のように響く。
強火で米を焼き切り、
特製味噌ケチャップを米の一粒一粒にまとわせる。
手首が痛い。
汗が目に入る。
効率? コスパ? 知ったことか。
これは、たった一人の
「お腹を空かせた女の子」
のためだけに使う時間だ。
最後に、卵。
生クリームも牛乳も入れない。
溶いた卵を一気に流し込む。
半熟トロトロではない。
薄く、強く、破れないように。
チキンライスを包み込み、
フライパンの柄をトントンと叩いて、
コロンと皿に移す。
完成した。
皿の上に乗っているのは、
飾り気のない、
焦げ茶色のソースがかかった、
昔ながらのオムライス。
スマホで撮っても、
決して「映えない」料理。
「……お待たせ」
健二はカウンター越しに、
皿を差し出した。
舞は何も言わずにスプーンを手に取った。
湯気が、彼女の顔にかかる。
スプーンを入れる。
薄焼き卵が破れ、中から熱気が溢れ出す。
舞が一口、口に運んだ。
健二は息を止めて見守る。
今の自分には味がわからない。
もし、分量を間違えていたら?
もし、不味かったら?
舞の動きが止まった。
咀嚼(そしゃく)する音が、
やけに大きく聞こえる。
やがて、彼女はスプーンを置いた。
うつむいたまま、肩が小刻みに震えている。
「……舞?」
ポタ、ポタ。
カウンターの天板に、
涙の粒が落ちた。
舞が顔を上げた。
その顔は、
涙でぐしゃぐしゃだったが、
子供のように笑っていた。
「……しょっぱい」
「えっ」
「しょっぱいよ、店長。……涙の味がする」
舞はもう一口、大きく頬張った。
「でも……甘い。
味噌の匂いがして、
ご飯が香ばしくて……
これだよ。私が食べたかったのは、
これだよ」
彼女は泣きながら、
猛烈な勢いでオムライスをかきこみ始めた。
「美味しい……美味しいよ、
お兄ちゃん……ッ!」
その言葉を聞いた瞬間。
健二の口の中に、唾液が溢れた。
想像上の味ではない。
喉の奥から、記憶の味が蘇ってくる。
味噌のコク、
ケチャップの酸味、
炒めた玉ねぎの甘さ。
「……ああ」
健二はその場に崩れ落ちた。
涙が止まらなかった。
数字じゃない。評価じゃない。
目の前の人が「美味しい」と言ってくれる。
ただそれだけのことが、
こんなにも尊くて、
こんなにも怖いことだったなんて。
「……やっと、戻ってきたね」
完食した皿を前に、舞が優しく呟いた。
健二は顔を覆い、
子供のように声を上げて泣いた。
厨房の窓の外では、
いつの間にか雨が止み、
白み始めた空が広がっていた。
スマホの通知音は、もう聞こえなかった。
(第9話 完)
次回のお話は・・・
料理人の魂を取り戻した健二。
しかし、現実は厳しい。
店は炎上し、
ネットには悪意が渦巻いている。
そして、健二は決意する。
第10話『告白のライブ配信』
元飲食店店長サムです。
書いていて、
私も厨房の熱気と味噌の匂いを思い出して
熱くなりました。
オムライスを食べる舞の
「しょっぱいよ」
というセリフに、
二人の苦労と絆を込めました。
次はいよいよ、
健二が社会に向き合う「第10話」です。
ラストスパート、駆け抜けます!
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それでは次回もお楽しみに!
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私はアメブロ以外にも
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