友人とモーツァルトの交響曲第35番ニ長調 K.385「ハフナー」をいろいろな演奏で楽しみました。
この曲の第2楽章の5小節目に朝比奈隆の唸り声のような音の入った演奏を聞いた記憶があります。でも、朝比奈のハフナーは聞いたことがないし、あれは誰の演奏だったのか・・・? その部分がくると脳内でその声が聞こえてきちゃうんです(笑)
唸り声の演奏は発見できませんでしたが、今回聴いた中から2つの演奏について記しておきます。
ひとつは、友人の音源からピエール・モントゥー指揮北ドイツ放送交響楽団(1964)の演奏。
これは初めて聴きましたが、全体的に生き生きとした見事な演奏です。
セッション録音とは思えないようなライヴ感に満ち、アンサンブルに怪しさがあるんですが生命力あふれる音楽がエネルギッシュに流れます。メヌエットのトリオでグッとテンポを落とす解釈も、なんだか懐かしい・・・。
でも、良い演奏なだけにケチをつけたくなるようなところがいくつかあります・笑
とっても気になるところは第2楽章の前半リピートを抜けたあと、つまり展開部に入ったところにあります。そこのホルンが遅れるんです。これは繰り返した後も同じように遅れます。
まるで、おっかなびっくりで吹いてるアマチュア奏者のタイミングのよう。どうしてでしょうね?
ついでに細かいことをつっこむと、その後の第1ヴァイオリンのトリル(42,44,46,47)の最後にターンをつけているんですが、余計なことですね〜。
良いところはヴァイオリン両翼配置がとられていることです。
両翼配置といえばクレンペラーやクーベリックですが、今回聴いたクーベリックは両翼配置ではありませんでした。流石にクレンペラーは素敵な響きを創造していましたよ♪
このモントゥーも楽しい響きではあります。でも、もう少し第2ヴァイオリンが強くないとせっかくの両翼配置が生きない。
そして、1番の欠点は録音状態にあります。
なんとなくおもちゃっぽい響きがするんですね。周波数の高いところと低いところがカットされたような音質。いかにも「コンサート・ホール・レーベル」の音ってことでしょうか?
圧倒的に素晴らしかったのはペーター・マーク指揮パドゥヴァ・ヴェネト管弦楽団(1996)の演奏。
聞き流したら気がつかないような繊細な表情が随所に散りばめられ、強弱もテンポもリズムもデリケートに蠢きます。これ見よがしの解釈はないけれど隅々にまで神経が行き届いた、ゾクゾクするような生命の完成品です。
そんな中に分かりやすい解釈が1箇所だけあります。それは第3楽章のトリオ後半の中間主題(イ長調でミーファソ,ファミレ,ドー,レー〜)の8小節間。
マークはメヌエットに戻る(ダカーポ)時だけそっと優しく抱きしめるようにテンポを落とすのです。その優しさはテンポだけでなく音色や奏法からも感じ取れます。
夕映えの寂しさというか、えも言われぬ美しさが表出され、涙を誘います。これはもはや愛。ほんと、泣けてきます。
ミカド薬品本店、三島市大場