最近の読み聞かせの現場で起きたことをぜんぜん、言語化できてなくて、もったいないので、ちょっとだけ書いておきます。
12月、循環するお庭でシニアの皆さんと絵本を楽しみました。
いつもは、絵本だけを読むのですが、今回、どうしてもご紹介したくて、童話を1冊、読ませてもらいました。
読んでいる途中で
(あ。想像以上に、長いぞ)
と、シニアの皆さんに申し訳なく思いました。
20分ちょっと、かかったかな。
普通、これは 読み聞かせで選ばない。
読んだのは、こちら。
『小さな赤いめんどり』(アリソン・アトリー 作 神宮輝夫 訳 小池アミイゴ 絵 こぐま社)
この物語に登場するおばあさんが、わたしは、循環するお庭のオーナーさんみたいだ、と思ったのです。
お庭のお花を家の前を通る人に分けてあげたり、縫い物をしたり、気持ちよく、気分よく、日々を暮らしているおばあさん。
言うべきことはきっちりと、きっぱりと、毅然と言う。
物語は、優しさに満ちていて、それでいて、わかりやすい憎らしい悪者も登場し、おばあさんのお人柄が際立つ。
ドキドキハラハラの冒険もあり、思いがけないオチ。
わたしは、この物語を、2024年11月に開催された村中李衣さんの講演会「絵本と読み物のあいだの川をわたる」で初めて知りました。
李衣さんは、この童話と、同じお話で絵本になったものを読み比べてくれました。
絵本は、こちら。
『赤いめんどり』(アリソン・アトリー作 青木由紀子 訳 山内ふじ江 絵 福音館書店)
童話と絵本。
わたしも、読み比べてみましたが、これもう、明らかに、童話の方が読みやすい。
イメージしやすい。
スーッと物語が入ってくる。
なんでだろう?
その理由を李衣さんは、教えてくれました。
なるほど〜。
ちょっとこれ、わたしのメモで意味が通じるか自信がないのだけど、
ーーー
耳で聞く語りの進行方向は、前へ向かっていくけど、絵本の進行方向は左から右へ横に行く。
絵本は意識しないと横に行くよ。
明らかに前者の方が、イメージしやすい。自分の力で進んだという満足感を得られる。
後者、「ああ、そうなんですね」という感じがする → なぜか。絵本だから。絵の説明だから。
ーーー
というようなお話をしてくれました。
李衣さんは、どこに照準を持ち、どうわきまえ、子どもと本の出会いにつき合いますか、という投げかけをされました。
とても、難易度の高い投げかけだと思いました。
李衣さんに言われたら、ああ、そうか、と理解できるけど、自分でそのことに気づくのはとても難しい。
子どもたちが「自分の力で進んだ」と満足感の得られる本との出会いに大人が真剣に向き合うことによって、
標題の「絵本と読み物のあいだの川をわたる」に近づける、ということなんだなと思いました。
思いましたけど、難しい。
だから、シニアの皆さんに、読んでみたいと思いました。
この長い童話を聞いてくださるのだろうか。
面白がってくださるのだろうか。
「読んでもらえて、本当に良かった」
「自分では読めないもの」
「ありがとう」
「疲れたでしょう」
「お疲れ様」
「がんばったわね」と
口々に労いの言葉をいただきました。。。
自分で読んだらそんなに長いと思わなかったのだけど。
声に出して読んでみたら、長かったわ〜。
でも、すんごく良い物語。
もし良かったら、読んでみてください。
李衣さん、「こぐまのどんどんぶんこシリーズ」
絶賛してました。
愛知県のメルヘンハウスさんにも、棚の一角に「こぐまのどんどんぶんこシリーズ」が置いてあって、おおおお〜と思いました。
「こぐまのどんどんぶんこシリーズ」
https://www.kogumasha.co.jp/ec/product/category/168
読んだことないのばかりなので、読んでみようと思います。
旧ツイッターでつぶやいたら
村中李衣さんがコメントしてくれました。
うん、これは、ストーリーテリングにも、じゅうぶん対応する素敵な語りの物語なので、聴き手も語り手も、ジンジャークッキー片手に美味しいお茶を頂くような気分で読むと最高に胸の奥におさまります。
— 村中 李衣 (@muranakarie) December 11, 2024
ともあれ、時短要求社会に棹さす、とんちゃんのチャレンジに拍手。
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