桂田智司氏と朝総連本部襲撃に思うこと | 徹通塾・芝田晴彦のブログ

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民族自決 戦後体制打破
基地問題を考える愛国者連絡会 / 自由アジア連帯東京会議

朝総連本部を銃で襲撃したとされる人物の一人、桂田智司氏とは何度か話したことがある。近年は度々ザイトク界隈と共に行動し、左派市民運動を目のカタキにしていた。反共右翼の様に思われている氏であるが、元々はYP体制打倒を訴える新民族主義運動の出身だ。「今やるべきは市民運動を攻撃することでは無く、対米追従を続ける権力を糾弾することでしょう」との私の問いに、「それはそうだが、対米追従容認の日本の世論を作っているのは、実は日米安保にすら反対しなくなった今の情けない左翼だ」と譲らず、議論は平行線だった。

一方で防衛庁(当時)に火炎瓶を投げ込んだ山口祐二郎君を評価し、また、沖縄に向かった高橋直輝君を「パクられないように伝えておいて欲しい。逮捕されても何もいい事はない」と気遣っていた。

桂田氏は無名の一右翼では無い。某著名な右翼協議体の幹部であり、業界で氏の名前を知らない者は居ない。だが、逮捕収監を繰り返してきた桂田氏は右翼の現状に対しても不満を訴えていた。曰く「口先ばかりでどいつもこいつも何もしない」と。「一発の銃声は十万の動員に勝る」が口癖だった桂田氏は何と戦っていたのだろう?

私は右翼の本懐はテロであると考えている。今回の朝総連銃撃も紛れもないテロ。ただ、かつての国粋主義者の標的は「君側の奸」や「国賊」であり、「国益を疎かにして党利党略、私利私欲に狂奔する政治家」に対する天誅であった。二・二六事件の動機の一つも、天皇親政を実現することによって政治腐敗や農村の困窮の解決を求めるものであった。

一方で在外公館にも等しい朝総連本部を狙う行為は社会的にはインパクトがあっても、権力者に恐怖心を与えて目的を果たそうとする従来の右翼的なものと異なると感じている。桂田氏について、今はここに書けないような話もあり、これ以上のことは控えるが、動機の一つには今の右翼に対する苛立ちがあったのかも知れない。少なくても「義挙だ」と手放しで賛同出来る程、単純なものでは無いし、左派の一部の反応の如くヘイトクライムとも思えない。


(写真) 平成28年2月の全憂会議勉強会にて。左から高橋直輝氏、一水会・木村代表、山口祐二郎議長、桂田智司氏。