何故、日米地位協定を改定しなければならないのか | 徹通塾・芝田晴彦のブログ

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民族自決 戦後体制打破
基地問題を考える愛国者連絡会 / 自由アジア連帯東京会議

私達は沖縄の基地問題を解決する為には、何より日米地位協定の改定が必要だと以前から訴えている。その根拠は云うまでも無く同協定第二条1項(a)である。

『合衆国は、相互協力及び安全保障条約第六条の規定に基づき、日本国内の施設及び区域の使用を許される。個個の施設及び区域に関する協定は、第二十五条に定める合同委員会を通じて両政府が締結しなければならない。「施設及び区域」には、当該施設及び区域の運営に必要な現存の設備、備品及び定着物を含む』

これが第二条1項(a)なのだが、「第二十五条に定める合同委員会を通じて両政府が締結しなければならない」とあるので一見すると、合衆国=米軍がわが国のどこを使うかは両国政府合意の下で決定されるかの様にも読み取れる。

ところがこの『合同委員会』なるものの実態は、米側は在日米軍副司令官、日本側は外務省北米局長を代表とするもので、ここに民意によって選ばれた政治家は一切関わらない。つまり在日米軍幹部と官僚が「在日米軍の新たな基地を何処に作るか?」といったことでさえ勝手に決められる仕組になっている。

詳しくは別の機会に触れるが、若し半島有事の事態ともなれば、『朝鮮国連軍地位協定』によって国内の主要七箇所の在日米軍の拠点は国連軍の基地として使用される他、周辺の基地も後衛として機能する。当然、北朝鮮からの攻撃を受ける確率も高い。基地が集中する沖縄は尚更である。

日本国民、或いは沖縄県民の総意として「北のファシストは許さない、犠牲を払ってでも米国や韓国を応援すべし!」というのなら何ら問題は無い。ところが、特に左派リベラル勢力や護憲派、辺野古や高江の新基地建設に反対する運動家達でそんな主張を展開する者は皆無である。

例えば原発再稼動。法的な拘束では無いが、電力会社との協定により、選挙によって選ばれた知事の同意が必要とされている。苛烈事故ともなれば深刻な事態を引き起こす原発の運転に関してはかろうじて民意が反映される余地が残されている。然し同様に有事ともなれば戦禍に巻き込まれかねない在日米軍の基地を何処に作るかは米軍幹部の意見が優先される状況であり、そこに民意が入り込む隙間は無い。

そしてこの日米地位協定、日米安保体制の維持は過去の訴訟を見る限り、わが国の憲法よりも上位のものと判断されている。在日米軍基地問題は日米地位協定を改定しない限り解決しないのだ。つまり今、建設が進められている辺野古や高江の新基地建設は日米地位協定に照らし合わせて「合法」であり、反対する者達が「非合法」となってしまう。これでは勝ち目が無い。

三年前、日本弁護士連合会が『日米地位協定の改定を求めて』と題した提言書を発表した。同書の冒頭で同会は施設・区域の提供については「関係自治体・住民等の意見を聴取・尊重し、提供の可否・条件を決定すること」と改定せよと訴えている。新たなる米軍基地や施設を設ける場合には地元住民の同意を要求している。

一方で国防は(自治体では無く)政府の専権事項という考えもある。ならばせめて在日米軍幹部と官僚に任せるのではなく、国会が関与する仕組を作れと、私達は強く主張する。その為には日米地位協定の改定が必須だ。それで仮に、わが国の領土が米軍基地だらけになったとしても、国民が選択した結果なのであれば仕方が無いだろう。