教師の早期退職事情 | 窓越しの備忘録

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これは純粋に私の州での話。

アメリカは広いし州の自治権がかなり強いため、

州ごとにかなり違ってくる。

だから他の州の教師達とは、

多分かなり状況が違っている。

それを踏まえたうえでの話。

 

 

州年金が財政危機で大きい改正が、

1996と2014に行われた。

1996以前に雇われた人達は1群、

01/1996から8/28/2003までに雇われた人達が2群。

それ以降の人達が3群。

 

1群の人はFull Retirementだったら、

辞めた時の給料が100%保証される。

2群の人はFullでも働いた年数で支給額が決まる。

3群の人は支給額計算の%が、

2群よりも低い設定になっている。

 

それと教師の1群と2群は、

警察官と消防員と同様に、

57歳で退職ができるようになっている。

 

 

 

ここで現役教師の経済事情について。

 

教師の給与は他の分野に比べたら、

本当に低いと言われているけど、

実は年に実質10カ月未満しか働いてないから、

時給計算したらそれほど悪くはないと思う。

後、医療保険等の福利厚生がよいことや、

州年金の存在を考えればかなりいいと思う。

 

ただ初任給を比較したら、

大学卒で更に私の州は大学院卒が、

教職免許には必要なため、

かなり低く感じるかもしれない。

しかし、毎年給料は確実に上がる。

 

教員の給料はStepやLevelと呼ばれるシステムがあり、

学校区によって何段階まであるか違うが、

毎年自動的に5-8%近く給与が、

勤務年数で上がるようになっている。

 

(但し、通常Stepは14年から15年が上限。

それ以降は昇給は談合で決まった%のみになる)

 

女性にとっては、

子供がいるとChild Careの面から、

教師という仕事はほんとうにいい仕事だ。

なにせ子供が休みの時は自分も休みだから、

Child Careは小学生までで済む。

そのため早期退職ややめる人自体が少ない。

 

退職者が少ないと色々弊害が出てくる。

80年代から90年代にかけて、

高齢の教師が蔓延する状況が続いた。

誰もやめないで働き続けるからだ。

 

これには当時教員免許を一旦とったら、

殆ど資格保持の努力が要らなかったのもある。

 

(因みに、NCLBとその改正した2004と2014には、

教員資格やその保持、更に教育課程等が厳しくなった)

 

兎に角、高齢教師が幅を利かせていて、

若い人達が教職に就くのが、

余りにも大変だった90年代に、

学校区が高齢の教師の早期退職を促進するため、

Incentiveといわれる早期退職したら、

医療保険の退職後支給とかボーナスとか色々しだした。

 

(その後経済危機等でこのIncentiveは、

縮小したり中止になったりした)

 

当時は在老人医療保険やSSが

60歳から支給だったので、

これで早期退職者は若干増えたし、

1996年の州年金リフォームも後押しをした。

又、教員資格保持も厳しくなったもある。

 

然しその後、老人保健やSSの支給引き上げで、

早期退職が鈍化したりした。

 

しかしパートナーが働いていて、

そこから医療保険がもらえる人達は、

思い切って早期退職をしたりしていた。

 

 

因みに、最近のトレンドとして、

教師で早期退職する人の多くは、

他の州への引っ越しもある。

 

Pandemic後に家族で州を越えて、

物価もだけど家が安い州へ移住している。

 

これは私の州の住宅価格上昇率が、

本当に半端なく高かったため、

自分たちの家の半分以下の価格で、

家を買える州が多くあるからだ。

 

そういう人達に人気があるのが、

Texas、ArizonaとかNew Mexicoで、

NWとは真逆の気候の州だ。

 

私と一緒に早期退職したJenniferは、

今自分の家を売ったお金で

Portugalにコンドミニアムを購入して、

Retirement Visaを手にして移住した。

 

 

教師の早期退職は、

本当に人夫々だし、

州によってもかなり違うんだけど、

私の州に関してはかなり多い。

 

これは州年金があるからこそだと思う。

 

後は仕事自体がPandemic後は大変なこと。

燃え尽き症候群というか、

医療従事者がこぞってやめていったのと、

かなり共通していると思う。

 

その結果、

いま教員不足は深刻な状況だ。

特にSpecial Educationは引く手あまた。

 

早期退職の教師は、

非常勤教師として働くことが出来る。

それだと自分の都合が合うときに、

休んでいる教師の代わりをする。

仕事は担当教師の残した指導要綱をすればいい。

だいたい大半のケースは、

課題シートを生徒にさせるとかの、

かなり楽な状況なので悪くはない。

 

但し、Special Educationはそうはいかない。

だから私が非常勤で働くとなったら、

かなり引く手あまたの状態だ。

 

 

何にせよ教師の早期退職の実態は、

ほほ州年金や老人医療保険の影響が強い。